だいじょばない

だいじょばない

再会したら今度はキングがずっと話してる


·研究所脱出後のキングとキャメルのSS

·過去スレの話題から

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 キャメルくんから聞く話は大抵が弟のものばかりだ。

 百獣海賊団に入る気はないということだしカイドウさんから

「お前はうちには向かねェな」

 という言葉もあり同船しているだけとなっている。

 出会ってから暫くたつが弟の話が出ない日はない。よく話が尽きないものだ。

 キャメルくんの思い出は弟に出会ってからはっきりとしていてそれ以前は覚えていない、というより覚える価値がないので忘れたというのが聞いていて近い。

 言葉になっていない声、小さな手、見つめる瞳柔らかな感触。それからミルクを飲ませ食事を食べさせ言葉を喋り歩き出したことまで事細かく話してくれる。聞いていて疲れないと言えば嘘になるが大切な人がいる今なら気持ちは理解できると思う。

 最初は無表情だと思っていたが長い事見ていると家族の話をするときはわずかに緩んだ目もとくらいは気付けるようになった。前に一度

「そんなに大切なら探して会いに行かないのか? 弟もすっかり大人だろうに」

 と、聞いたことがあるがキャメルくんはぎこちない笑顔で

「クロはもう大人だから大丈夫。そういう風に育ててきたからね」

 と答えた。それにクロは元々しっかりしていてね私が怪我した時もとっても冷静で落ち着いていて⋯⋯と弾んだ声で話す様子に今まで聞いた様子から言いようのない不安がよぎったが会ったこともない家族の事に他人が口を出すのも悪いだろう。ぎこちなくも笑った顔を初めて見れてほんの少し動揺したのもあるが。



 だからその一ヶ月後

「クロに会いに行く!」

 そう言い出したキャメルくんにおれは安心したのだ。

 カイドウさんは酒の席での突然の発言に驚いていたがそれも一瞬のことで

「お前はいつも突然だな」

 といつもの調子にすぐ戻っていた。

「そうか。残念だが⋯⋯家族に元気な姿を見せないとな」

 きっと喜ぶよ、という言葉に無表情ながら会うのを楽しみにしている様子のキャメルくんは

「今度来る時は服の一つも仕立てられるようにしとくよ。後悔させないようなのをお礼に作るから楽しみにしていてね」

 それに確かに以前の笑顔を思い起こされて楽しみにしてる。と、約束を交わしたのだった。

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