たまには猫で

たまには猫で

モテパニ作者

それは思いつきだった。

ふとそれを着けてみたくなったのだ。

エレン「ふんふんふ〜ん♪」

そしてそれを着けたままリビングへと向かう、そこには当然同居人の姿もあった。

C拓海「………エレン、それどうしたんだ?」

その同居人の目に映ったのは人には無い感覚器官。

いや正確には人とは形が違う感覚器官、すなわちケモノ耳、ネコミミであった。

エレン「これ?前にハロウィンの仮装で使った物なんだけど、見かけたから着けてみたの」

なんの気無しに言うエレン。

それもそのはず、彼女は元々メイジャーランドの妖精であり本来は黒猫であった存在だ。

そんな彼女がネコミミを着けたところで恥ずかしい感情など湧くはずもない。

むしろ昔の気持ちになって少し浮かれているくらいだ。

とはいえこれで街に出かけるほど非常識ではない、あくまで家の中だけのお遊びだ。

しかしそれは同時に家の中にいる相手には見せるということでもある。

C拓海「〜///」

エレン「拓海どうかしたの?」

C拓海「いや、その…」

エレン「もしかしてこれ似合ってない?」

C拓海「いやそんなことは無い!すげー似合ってる!」

エレン「そっか、よかった。それじゃあなんでそんなそわそわしてんのよ」

C拓海「そりゃ…エレンが可愛いもの着けてるから…」

エレン「えっ///いやいやただ猫の耳着けてるだけでしょ?猫が可愛がられてるのは知ってるけどこんなの着けただけじゃ…」

C拓海「いや、むしろ動物なりきりは耳が一番重要と言っていい。人間の要素を邪魔せず動物っぽさを出すのに最適だからな」

エレン「なんか急に語り始めた…」

C拓海は生まれてからまだ日が浅い、しかし元が健全な男子中学生だけあってそういった事には人並みに興味がある。それが好きな相手ならなおさらだ。

エレン「私は別になりきりたいわけじゃ無いけど、他にどんな事が重要なのよ?」

C拓海「う〜ん、やっぱり鳴き真似と仕草?」

エレン「こんな感じ?にゃ〜」

C拓海「」ズキューン!!!

エレンが猫の手を作りそれを折り曲げ猫の鳴き真似をする。

それを真正面から目撃したC拓海はあまりのショックに倒れた。

エレン「ちょっ!拓海!しっかりしなさい!」

C拓海「我が人生に悔い無し…」

エレン「いやもっと悔い残しなさい!こんなのいくらでもやってあげるから!」

C拓海「マジか!?」

エレン「うわ起きた。…まあ、猫っぽく振る舞うくらいならね」

C拓海「頼む」

エレン「(なんでこんなのにそんな真剣な顔で…)」

その後エレンはC拓海の要望に応えて猫らしく振る舞う。

元々猫だった彼女には容易い事だったし拓海が喜ぶのでまあ悪い気はしなかった。

ちなみにC拓海は何度かトキメキの許容量を超えて消えかけた。


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