たのしい悪魔ごっこ

たのしい悪魔ごっこ




「最高の気分だ!」「こんなに楽しいって知ってたら早く魔性転生したのになー」「どうだ俺たちこんなに巨きくなったぞ」「お前たちなんかもう怖くない」「今度はこっちがひねり潰してやる番だ」「次はどこを潰そうか」「栄えてる都がいい。たくさん人がいるところがいい」「おーい、誰が一番多く踊り食いできるか競争しようよー」


「……お前ら、本当に何とも思わないのか?」

「ムカつくし腹立つしいつだって迷惑な連中だけど、お前らはそんな風に笑って虐殺できるような奴じゃなかった」


「はあ?そんなのお前が勝手に思ってただけですぅー」「虐殺?」「それがどうした」「何も思わないね。俺たち悪魔なんだから」「生まれた時から悪魔だって言っただろ」「お前たちは信じなかったけどな、どうだ思い知ったか。ざまーみろ」「まあ、人間ごっこも楽しかったよ」「でも俺たちってやっぱり悪魔だからさ」「こっちの方がずっと楽しいんだな!」「みんな殺しちゃえ!」「みんな死んじまえ!」「さっぱりすっきりするまで殺そう!」「いいね、やろう!」「そうだ、やろう!」「今すぐやろう!」「さっさとやろう!」「とことんやろう!」「どこまでもやろう!」


「げらげら」「ぎゃはは」「わはは」「あはは」「いひひ」「けたけた」「かんらかんら」「けっけっけ」「んはは」「うっはっは」「んふふ」「ぎひひ」


「────トンチキ王子ども、いい加減にしやがれ」

「"そう"なる前に妹と両親を遠く逃したくせに何が悪魔だ」


ぴたり。笑い声が止まった。


「くだらねえ言い分でてめえらの所業を誤魔化すな。お前らは揃いも揃ってろくでもねえ最低の"人間"だよ」

「歯ァ食いしばれ!アホ従兄弟ども!」

「そのふざけた怪物ごっこをやめねえなら、きっつい一発をお見舞いしてやる───」



「─────────」



「………………………」


「やっぱり、俺たち」


「お前、きらい」


最高(さいあく)の気分だよ、と呟いたそれは、やはり人間の声(もの)にしか聞こえなかった。

Report Page