その黒は安心を与える
少し肌寒い風が吹く午後のサニー号
温かいコーヒーでももらおうかとキッチンに向かっていたら、甲板でゾロとチョッパーがお昼寝しているのが見えた
ゾロの大きな翼がチョッパーを包んでいて、黒い羽毛布団みたい
それを見た私は、空島でのことを思い出した
空島に行ったのは、まだ私が一味のみんなと行動するようになってから日が浅い頃
当時彼は私の事を誰よりも警戒していた、なのに私をエネルから守った
あの時、私を覆い隠すように広げられた黒い翼
遠のく意識の中で微かに見えた黒色に、私はひどく安心した
彼の翼は大きくて黒い
黒は不吉な色として忌避されることもあるけれど、私達にとってはそうではない
強くて優しい、安心をくれる色
そんな事を思いながら、私は彼にかけるように毛布を取りに行った