その時を待ち侘びている
ワンクッション
⚠️一切の台詞なし
⚠️タ八″ノレくんの名前すら出てこないけど一応そのつもり
⚠️相手の名前も出てないため、自由解釈でお願いします
⚠️えっちさは無いです
⚠️なんかもう描写不足だらけ
ok?
↓
とあるホテルの、とある部屋。
利用中のはずのその部屋のドアは、薄く開かれている。
その隙間から微かに漏れ出る物音や息遣いを、盗み聞きする者は誰もいないけれど。
◇◇◇
ベッドの上で両手の自由を奪われたまま、全身で快楽の責め苦を受け入れている。
『許可が出るまで一人で勝手にイッては駄目』
そうパートナーに命じられているため、理性の手綱を手放さないようにと堪えて、達してしまわぬようにと甘い刺激に耐え続ける。
過去、まだ上手く我慢ができなかった頃にそれを守れずに達してしまった時には、ただただ辛く苦しい目に遭ったために、今ではすっかり我慢を覚えた。
新しい刺激と愛撫を受けるたびに、その肢体は艶かしく揺れる。それでも嬌声は上がることもなく、絶え絶えに意味を成さない母音を溢しながら押し殺したように浅く喘ぐ呼吸だけが繰り返される。
ちなみに。以前に一度、部屋外に聞こえんばかりの声量をあげたことがあり、その際に祖父でもあるホテルの管理人から『次うるさくしたら出禁』と言い渡されているために、やたらに声を出せないのだ。
そういったたくさんの縛りを設けるのは、ひとえに興奮度合いを高めるために過ぎない。
耐えて、耐えて、我慢を積んだあとで、それらから一気に解放された時は。
それはそれは。まさに絶頂ものだと、身体が覚えてしまったから。だから耐えられる。
しばらくすると、わざと開いていたドアが閉められた。
ドアが閉まる音は彼にとっての福音。それが訪れたならば、もう我慢をしなくても良い。
閉ざされた部屋に、歓喜の声が満ちた。
◇◇◇
鍵を手に去る彼らを見送りながら、管理人は長い紫煙を吐き出した。徐に何かの操作を行うと、たった今彼らが入っていく部屋があるフロアの全室が『空室』から『利用中』に表示が切り替わる。要するにフロアごと貸切のような措置だ。
彼らが行為中にドアをわざと開けておく悪癖とも言うべき嗜好を汲み取った上での、管理人なりのサービスだった。実際のところ出禁にするつもりは毛頭ないので、存分に騒げばいいとすら思っている。
ワンフロアを貸切にしても大して支障のでないような寂れたホテルで良かったな、と。今頃真っ盛りだろう孫息子の、あの欲に濡れた瞳に向かって独りごちるのであった。