その回答は、持ち合わせずして。

その回答は、持ち合わせずして。

私はロリコンではありませんが恋に翻弄される少女は可愛いと思う


「主さま...あの...み、見ました...か...?」

屋敷わらしは頬を紅く染め、しおらしく視線を外した。けれども主人に対して完全に目を離せないでいた。


 事の発端は今日のVRオンラインイベント。

この日はカジュアルなデッキがメインだったのもあって彼女の主人の対戦相手は昨今では中々見れぬガスタデッキの使い手であった。

 本来誘発カードはこのようなカジュアルマッチではあまり良い目で見られるものではないのだが屋敷わらしは彼のデッキに入っていた。主人もまた、使えるタイミングがあろうとも彼女を手札から捨てなかったのも見るに明らかなアイドルカードであった。


 それがちょっと破廉恥なイベントを起こした。


「わらし、お願い」

『えっ?わ、私ですか?』

人に見えず、出力を抑えた精霊体でわらしは驚きを隠していない。というのも屋敷わらしは己の効果の出番ではなく、通常召喚としてフィールドに呼び出されたからだ。

 屋敷わらしの姿がソリッドビジョンに映し出されると最初は他のデュエリスト達も怪訝な顔をしていたがそれが召喚権を通したものだと分かると次第に笑いの渦となった。相手に至っては使うタイミングがあったのも関わらずフィールドに現れたのもあって大ウケである。


「ならば屋敷わらし召喚に合わせて伏せカードオープン!」

相手がノリよく開いたカードは『ガスタのつむじ風』。 強風と共に相手は墓地のガスタを戻して『ウィンダ』を特殊召喚。


  無論この強風は演出なのだが、ソレが行けなかった。ソリッドビジョンはデュエルをより盛り上げる演出の一環。結果、つむじ風は屋敷わらしを襲った。屋敷わらしは慌てて己のゴシックスカートを両手で抑えるが、後ろばかりはどうにもならなかった。幸いにして目撃者は彼女の主人だけであったものの屋敷わらしはひどく破廉恥な思いをした。


 そんなことだから、ログアウトしてすぐに屋敷わらしはキラートマトのように真っ赤っかになってしまった。


「ど、どうなんですか......」

「ここに建前の嘘と現実の本当があるけどどっちかを選んでくれれば答えるよ」

というのに、彼女の主人は顔色一つ変えず屋敷わらしに試合後無理やり電源を引っこ抜かれたVR機器のメンテナンスに入った。


「じゃ、じゃあ...えっと、その...本音の方を...」

最後の方は完全にボソボソとしていて聞き取るのが難しいくらいだったが様子から察した主人は答える。


「見えたよ、黒のちょっと大胆そうなの」

何の気なしに。平然と。


「で?それがどうかしたの」

遂には湯気が頭から出る屋敷わらし。顔を見ると目をぐるぐると顔は更に紅潮している。

「主さま...!そんなまじまじと見るのは辞めてください!」


「それとその...えっちです...」

ボソリと、視線を下に逸らすわらしだがその様子は満更でもない。


「僕はわざわざ聞いてくるわらしの方がムッツリスケベだと思うけど...」

それに対するは無表情の応酬。いや、下着を見て取るに足らないとしたのだから『押収』かもしれないが。


「わ、私が?ち、違います!」

屋敷わらしは必死に否定するが、実際のところこの下着は備え付けのものではないので主人の指摘は的を得ていた。


「と、とにかくこれからはスカートの中なんて見ないでください!」

「見ようと思って見れるものじゃないと思うけどね」

「も、もう!」

主人は内心、『ただの布ではないか』とまるで無頓着だったが恥ずかしがってる屋敷わらしは非常に面白い為、この話題はもう少し引っ張ろうかなと悪戯心をこしょばせた。


「わらしこそなんであんなの穿いてたのさ。誰に見せる訳でもないのに」

「そ、それは...秘密です...」

「そういえば前に僕の寝巻きを手にしてた時も様子が変だったけど。やっぱり屋敷わらしはちょっとそういうのに興味あるんだねぇ」

「ち、違いますったら。アレはたまたま脱ぎ捨てられたのを運ぼうと思って......」

そこで弄ばれてることに気付いたわらしはムッとなってカウンターを繰り出す事にした。


「主さまこそ、そういうのはど、どうなんですか!」

「...知りたい?」

「えっ?」

「...知りたいの?わらしは...」

カウンターは予想だにせず倍返し。主人により壁端に追い詰められたわらしはしおらしく


「し、知り...たい...です......」

満更でもなく了承の返事を出した。

屋敷わらしは主人のピンクの唇が開くのを待った。内心熱いなにかが破裂しそうなほど、うごめいて自身を興奮に導いているのを分かっていながら。

────それに身を委ねた。



「もっと大きくなったらね」

けれど、屋敷わらしの額になされたのは接吻でもなく優しき愛撫だった。


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