そうして少年は祈り続けた
ポッカ※デイぐだ子です、ただしぐだ子のセリフ無しです
※【焼き付いた者】の続きですが読まなくても多分大丈夫です
※キャラが掴みきれていない部分が沢山ございます、ご了承ください
※突然始まり突然終わりますし誤字脱字あるかもしれません、ご了承ください
※なんでも楽しめる人向け!!!!
※OK?
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【最終決戦後、ミクトランパにて】
「………………」
あの世界の命運をかけた大決戦の後、オレはミクトランパにて休息を摂っているのだが、どうにも胸の内が焦げていてもどかしい気がする。チリチリと小さな火が紙の端から少しずつ燃やしていくように、時間をかけてじっくりと燃やし尽くしていくようで…
「……この感覚は、一体…」
「よぉ相棒、どうした?そんな死にそうな顔して」
「…テスカトリポカ?オレはそんな顔をしてるのか?」
「あ?あー、すごい顔してるぜ?まるで…そうだな……【恋しい】って感じか?」
「……………は?まってくれテスカトリポカ、恋しい?どういうことだ?」
「おいおい無自覚かよ!……お前さん、まさかあのお嬢に懸想してるのに気づいてないのか?」
「──────────────」
息が詰まる、声が出ない、鼓動は止まったかのように……あぁいや、もう心臓はないんだったか……とにかく、頭の中がミキサーで混ぜられたかのようにゴタゴタと騒がしくなっていた
オレが彼女……藤丸立香に恋をしている?どういう理由で?何故?何を根拠に、どのポイントで……
「あ」
「お?」
まさか、まさかとは思うが……オレはあの時に……?
最終決戦の一歩前、ORTへとこの身を投げ出したあの時、あの時初めて彼女と真正面を向いて話た気がする……その前のチチェン・イッツァでの会話はこちらから一方的に手助けしただけだから、正真正銘あの時だ。まさかあの一瞬で…?
ただ、彼女の橙の髪や同色の瞳、表情、声、香り……それらが脳裏に焼き付いているのは事実だ。その当時は全くもって意識してなかったし、気づかなかったが…なぜ今になって……
「…………テスカトリポカ」
「あぁ?」
「オレは…………いや、いい。大丈夫だ」
「はぁ?」
「ふふふ、おかしな話だよな……オレにはもう、心臓は無いのに」
「おいおい、いきなりどうした……恋していることに気づいて頭おかしくなっちまったか?」
「あぁ、恐らくな。ただ、とても心地いいんだ、どうしてだろうな?」
「…………さぁな。じっくり考えてみることだな、デイビット。そのための時間はたっぷりある」
「…あぁ、そうするさ、テスカトリポカ。ありがとう」
そう告げながら、空を見上げる。霧に包まれた薄暗い安寧の空……その先には、晴れ晴れとした青空があって、彼女がその下で戦っているのだろう。想像に難くなかった、サーヴァントたちに指示を出し、作戦を練り、コミュニケーションを取る……少々…いや、物凄くだな。彼女のサーヴァント達が羨ましいな
あぁ、なんだか甘酸っぱいな……感じたことの無い味だ、すごく心地よくて、すごく苦しい…これが、テスカトリポカの言っていた恋しいというやつなのだろうか
「オレにも、君と同じ心臓があれば良かったのにな」
「………………」
「なんて、オレが望んで心臓を取り出してもらったんだ、今更後悔はないさ……あぁ、でも、願わくば」
君にこの祈りが、想いが、少しでもいいから届きますように
彼の胸中に芽生えた無垢な想いは、焚き火の煙に乗って天へと昇って行ったのでした