すっぽりイサムちゃん

すっぽりイサムちゃん



俺は箱の中にいた。すっぽりと収まる狭い空間は妙に居心地が良くて…そう感じる自分に少し嫌気が差す。また、変態に捕まってしまった。どうして俺は変態に捕まりやすいのか。

普段活動している風都だろうと、最近よく行くようになった聖都でも俺の前に変態は立ち塞がる。最近ではライダーとの戦いは変態との戦いでもあるのではないかと思い始めている。

けど、今俺を捕まえている聖都の箱詰めフェチのミツヒラさんはそこまで危険度の高い変態は無いのがまだ良かった。もし風都の変態なら箱に入れられた時点で詰んでた。

五体満足の人間ならバラバラにされただろうし、そうじゃなくても性具の類や残忍な玩具にされ使い潰されてしまうだろう。俺はよく知っている、何度か似たようなことをされてきたから。


「ねえ、イサムくん。箱の中の居心地は良好ですか?」

「うん…悪くないよ」


少なくとも生命の危機は微塵も感じないから。


「イサムくん、最近また痩せましたね。箱の隙間が増えている。それに前より軽い…」

「そんなことないだろ。ちゃんと食べてるよ、一応」

「信用出来ませんね…前も同じようなことを言って全然食べていなかったじゃないですか」

「そうだっけ?」

「そうですよ。覚えてないんですか? 今日は絶対我が家に寄っていってご飯を食べて貰いますからね…」

別に食事のことなんて気にしなくて良いのに。全くもって物好きな変態だ。ミツヒラさんは。



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