スケベ勇者は淫夢で夢落ち

スケベ勇者は淫夢で夢落ち

AIのべりすと君

 運命に選ばれた勇者は、名前ではなく勇者としか呼ばれない。本当の名前を知っている人はいま、どこでなにをしているだろうか。マヌルは戦闘能力こそ僕たちには及ばないけれど、戦闘以前に必要なことを嫌がらずにこなし、僕たちの旅を手伝ってくれていた。

 旅先の村での自由時間をそんなことを考えながら過ごしていると、布に覆われた小さな出店の中から、仲間の一人であるケンシがこそこそとあたりをうかがいながら出てくるのが見えた。役職ごとに必要な道具が違う以上、僕たちはお互いの個人的な装備品について話すことはない。でも戦士と私は戦闘における役割が似ているだけに、使う道具についても理解があるのだ。

「ケンシは何を買ってたの?」

 言いながら近づくと、危険なモンスターに不意に遭遇したときよりも驚いていた。手に持ったものを背中に隠している。そんなに隠すようなものがあるだろうか。

「いや、これはその、カスパー殿がだな」

「カスパーに教えてもらったの? じゃあ僕にも教えてよ」

「~~っ、知りたければ自分で買ってくればいいだろう!」

 そう言うと、ケンシはいつも以上のスピードで逃げて行った。追いかけるのは簡単だけど、それよりも興味をひくものがある。それは彼が隠していたものの正体だ。

「あれは……宝玉?」

 どうしてこんなところで売っているんだろう。もしかしたらこの村の特産品なんだろうか。気になってしばらく見ていても、新しく客が来る様子はない。僕は意を決して店に入ってみることにした。入口の布を上げるとすぐに机があって、男の人が一人座っていた。店主らしい。

「いらっしゃい。女の子が来るとは珍しいねぇ」

 声をかけられても、僕は商品を見つめたまま動けなかった。拍子抜けだ。ケンシが持っていたような宝玉がいくつも陳列してあるだけで、結局どんな道具が判然としない。

「宝玉みたいですけど、これ……どうやって使うんですか?」

 思わず大きな声で尋ねてしまう。店主は驚いたようだったけど、僕の質問にはちゃんと答えてくれた。

「これは『夢魔の淫石』というものでね。綺麗だが壊れやすくて宝玉としては無価値さ。それでも宝玉以上の満足感を約束するよ。……うちにあるのはどれも、嬢ちゃんみたいな娘にとっては無用のものだがね」

「一個ください!」

 インセキ?がどういうものかはよくわからないけど、宝玉よりも満足できるというならすごいものなんだろう。ためらいながらも手渡されたそれを見ると、中では煙のようなものが渦巻いていた。

「お買い上げありがとう。使い方を説明するからよく聞いておくんだよ。まずそれを枕元に置いて寝る。そして見た夢の中に入るんだ。そこで自分が望む通りの行動をすればいい。うまくいくかどうかまでは保証できないがね」

 夢の中で遊べる道具なんて、それこそ夢みたいな体験だろう。ケンシには感謝だ。

「おじさん、ありがとー! また来るね」

 店を出て走り出す。どんな夢を見ることになるだろうか。考えながら僕は宿まで走った。


 宿屋の部屋に戻ってベッドの上に寝転ぶ。なんだか興奮してしまって眠れない。でも少し眠った方がいいかもしれない。

 夢の中で遊ぶためにもらったインセキを枕の下に置く。それから目を閉じて、眠りに落ちる瞬間を待つことにした。するとすぐにまどろみが訪れる。意識がなくなってしまう前に、顔を思い浮かべる。故郷に帰ってしまった仲間。幼いころからの大事な人。僕の名前を知る人……マヌル。

「また、会いたいな……」

 煙のようなものに包まれる感覚を受けながら、僕は眠りに、夢の中へ落ちていった。

***

 そこは真っ暗で何も見えない空間だった。どうしたらいいかわからず立ちすくんでいると、遠くの方でかすかに光が見えた気がした。光を目指して歩いて行くと、だんだんと周りの闇が薄くなっていく。その先には誰かがいるようだ。少しずつ近づいていくうちに、それが誰なのかはっきりしてきた。

「マヌル!」

 呼びかけると彼は振り返り、笑顔を見せた。突然出て行ってしまった日の前に、ときどき僕に向けてくれた通りの柔らかな笑顔だ。感情のままに彼の方へ近づくにつれて、周囲の光景が懐かしい故郷の村であることに気づいた。故郷で過ごしていた日々は遠いように感じていたけど、実際に帰ってみると大したこともなかったのかなぁ、なんて思った。みんな僕のことを心配してくれてのことだろうか、他の村人たちが出てくる気配はない。

「勇者! 来てくれて嬉しいよ」

「僕だって、もう一度君に会いたかったんだ」

 マヌルの言葉を聞いた僕は、嬉しさを隠さずに飛びついていった。そのまま二人で抱きしめ合うと、お互いの温かさを感じることができた。

「もう離れたくないな」

「うん。ずっと一緒にいようよ」

「……本当に?」

「もちろんだよ。だから、ね……こっちに来て」

 そう言って、マヌルは僕を連れてどこかへ移動し始めた。僕がマヌルに先導されるなんて、これまでの旅の中では珍しいことだったので驚く。周りに家が見えなくなってきた。向かう先に見当がついた。子供のころ、勇者に選ばれてしまった僕が一人落ち込んでいた廃墟だ。

「ここ、覚えてる?」

「……忘れてなんかいないよ。忘れられるわけがない」

「良かった。じゃあ、ここで待っててね。準備してくるからさ。……でも、逃げちゃダメだよ?」

 マヌルはそう言うと、一人で廃墟の中に入っていってしまう。逃げるはずもないのにおかしなことを言うなと思ったけれど、彼がいなくなったことで急に不安に駆られ始めた。早く戻ってきて欲しいと願いながら、僕はその場で待ち続けた。

「お待たせ、勇者。……うわっ!?」

 ようやく戻ってきたマヌルは、驚きの声を上げた。無理もない。僕は彼に抱きついて、唇を奪おうとしていたのだから。驚かせようとしていたのかもしれないけど、そうはいかない。

「んっ……ぷあっ。ゆ、ゆうしゃ、ちょっと、いきなりすぎるよ……」

「ごめん。我慢できなくて」

 夢の中だからできたことだ。望む通りの行動をとればいいって店主も言ってたしね!

「えっと、こういうときはお互いに気持ちを高め合ってからじゃないと、上手くいかないんだ」

「そうなんだ……。じゃあ、改めてお願いします」

 僕はマヌルの手を取り、そっと口づけた。今度は彼も拒まない。しばらくすると、彼の方から舌を入れてきた。僕も負けじと絡める。

「ふぅ、はぁ……、はむ……」

「はぁ、はぁ、マヌル、好き……」

「ぼくも好きだよ、ゆうしゃ……」

 長いキスを終え、僕らは息を整えながら微笑み合った。そして、指どうしを絡めるようにして手をつないでから、並んで廃墟の中へ入っていく。「さっきの続きだけど、まずは服を脱いでくれるかな」

「わかった。マヌルも脱ぐんだよ?」

「わかっているさ。恥ずかしいけど、二人とも裸にならないと意味が無いからね」

 互いに服を脱いでいく途中で、マヌルがちょっかいをかけてきた。子供のころにはなかった、僕の大きくなったおっぱいを持ち上げるようにしてきたのだ。たぷたぷ、と重みを味わうようにしながら、意地悪い表情で聞いてくる。

「勇者、これ触ってもいい?」

「いいよ。でも優しくね? 痛くしないでね」

「うん。じゃあ、こうやって揉んであげる」

 マヌルの意外に大きな手に包まれると、僕のおっぱいはすぐに形を変えてしまう。それだけで僕は変な気分になってしまった。もっと強くしてほしいと思ってしまう。日頃着ている服がいかに高い防御力を誇っているかを理解させられる。

「次は舐めてみるね」

 マヌルの顔が近づいてきて、ちろりと先端を軽くなめられた。たったそれだけなのに、身体の奥がきゅんとする感覚があった。

「どうしたの、勇者。なんだか顔が赤いよ?」

「これくらい、なんでもない、よ……♡」

「ほんとうかなぁ。じゃあ、これはどうかな?」

 マヌルはそう言いながら、両手で胸全体を包み込むようにして動かし始めた。乳首がくにくにと擦られて、そのたびに甘い快感が全身に広がる。

「ああん……♡ それ、いい……♡」

「まだ始まったばかりだよ。こんなんじゃ終わらないからね」

 マヌルはそう言うと、僕の背後に回り込んで背中を押してきた。前につんのめりそうになる僕を抱き留めると、そのままベッドまで運んでいく。二人で仰向けになり、寝転がったままでマヌルが覆いかぶさってきた。

「ねえ、勇者。これから何をするかわかるよね」

「もちろんだよ。マヌルとセックスするんだ」

「正解。それじゃあ、始めようか」

 マヌルはそう言って、僕の下半身に手を伸ばしてくる。マヌルを待っている間に下は脱いでしまっていた。もちろんパンツも脱いできた。

「普段はちゃんと穿いてるんだよ?今日は特別だからね」

「……そうだね。特別なんだもんね。でも、どうしてノーパンなの?」

「それは……、こういうことをするためだよ」

 僕はマヌルの手を取ると自分の股間へと導いた。そこはもう濡れていて、マヌルの指先を湿らせていく。彼は興味深げにそこを撫で回し始めた。

「すごい……! ぬるぬるがいっぱい出てきてるよ!」

「……だって、ずっと待ってたんだもの。マヌルのこと、大好きだから。だから早く一つになりたいの……」

 普段なら言えないことはずのことを思わず口にした。すると、マヌルは嬉しそうに笑って股間に顔を寄せてきた。恥ずかしいところを見られている。僕はそう思っただけで興奮してしまった。

「ひゃっ!? ま、まって、そんなとこ汚いよ……!」

「大丈夫だよ。それにしても勇者のおまんこ、綺麗だね……。まるで赤ちゃんみたい」

 マヌルはそう言って舌を伸ばすと、ぺろっと一舐めした。瞬間的に背筋を駆け上る快感に、僕は身体を震わせる。

「あっ……、ああぁぁぁ……♡」

「あれれ、勇者お漏らししてるよ?」

「ちがうよぉ……。これはおしっこじゃないよ……」

「じゃあ何なのかな。教えてくれるかい?」

 マヌルはわざとらしく聞いてくる。こんな一面があるとは意外だった。きっと僕を辱めるつもりなんだろう。だけど、今の僕は彼の期待に応えるためにも、正直に答えることにした。

「きもちいいの……、マヌルに舐められて、すごく気持ちよくなってるの……♡」

「ふぅん、そうなんだ。じゃあもっとしてあげるね」

 マヌルはそう言うと、今度は割れ目に沿って舌を動かしてきた。敏感な部分を優しく刺激されて、僕の口から声が漏れ出していく。

「あぁ、いい……♡ 」

「ゆうしゃのここ、おいしいね。どんどん溢れてくるよ」

「だめぇ……♡ 言わないでぇ……」

 マヌルの言葉責めに反応するように、僕の中からは愛液が分泌され続ける。それをすくっては飲み込むマヌルを見て、僕はさらに興奮してしまうのだった。両脚を持たれて、ベッドの上を転がされる。うつぶせになって丸出しになった僕のお尻に、マヌルの両手が当てられた。そのままおっぱいよりもちょっと乱暴に揉まれる。お尻の穴まで見られるのは、さっきまでよりもっと恥ずかしい。それをわかっていてだろう、左右の尻たぶを何度も開閉するように執拗にもんでくる。

「~~~~ッ♡」

「勇者、四つん這いになって」

 耳元で囁かれると、自然と身体が動いてしまう。マヌルは満足そうに笑うと、再び股間に顔を近づけてきた。そして、あろうことか、いきなり肛門へ吸い付いてきたのだ。

「ああんっ♡ そ、そこはダメェ♡」

「どうしてだい? ここは美味しいよ。ほら、こんなにたっぷり味わえるなんて幸せじゃないか」

 マヌルはそう言いながら、口の中でアナルをかき混ぜるように動かしてきた。排泄する穴に舌を入れられて、唾液を流し込まれてしまう。そのたびに全身が震えるような快感が走った。

「やだっ、恥ずかしいよぉ……♡」

「そうかな。こんなにも喜んでいるのに?」

 マヌルが指先で膣内を刺激してくる。同時に両方の性器を犯されているような気分になり、僕の頭はさらに混乱していった。

「どっちもいいの……♡ おかしくなりそう……♡」

「いいんだよ。僕の前ではどんな姿になってもね」

 マヌルはそう言うと、僕の身体を抱き起こして正面から向かい合った。マヌルのモノはもうすっかり大きくなっている。早く欲しい。僕は我慢できなくて、自分からマヌルの上に跨って挿入しようとした。

「待って。まだ入れちゃいけないよ」

「どうして……?」

「だって、ちゃんと解さないと痛くなっちゃうからね」

 マヌルはそう言って僕の両足を掴むと、股を大きく開かせた。秘所はもちろん、お尻の穴まで丸見えになってしまう。恥ずかしいけれど、それよりもマヌルと一つになれる喜びの方が勝っていた。

「ああ、勇者のおまんこ、とっても可愛いよ」

「もう、そんなに見つめないで……。恥ずかしいんだもん……」

「ごめんよ。でも、可愛くてつい見惚れてしまったんだよ」

 マヌルはそう言って僕の唇を奪った。舌を差し込まれると、自分の方からも絡めていく。お互いの粘膜同士が擦れ合う感覚はとても心地良いものだった。キスをしながら、マヌルの手が下の方へと伸びてくる。やがて、彼の手が股間のすぐ近くまで到達した時、僕はあることに気付いた。

「あっ……! ま、待って……!」

「どうしたんだい?」

「あの……、わたし、まだ準備できてない……」

「ああ、そういうことだったのか。それなら心配しなくても大丈夫だよ」

 マヌルはそう言って僕の頭を撫でると、ゆっくりと手を下ろしていった。そして、ついにその場所に触れた。マヌルの人差し指が、僕の小さな穴の中へと入っていく。初めての感触に戸惑っていると、彼は優しく微笑みかけてくれた。

「怖がらないでいいんだよ。力を抜いて、僕に全てを委ねてくれ」

「うん……♡」

 マヌルの言葉に従って、僕は身体の力を抜いた。すると、彼の手の動きが少しだけ大胆になる。奥深くまで入れられた中指に続いて、薬指も入ってきた。

「んっ……」

「もう少しだからね」

 マヌルはそう言うと、さらにもう一本指を増やした。そして、今度はバラバラに動かすように動かし始める。最初は異物感しか感じなかったのに、しばらくすると不思議なことに痛みが消えていた。代わりに、じんわりとした温かさが広がっていく。

「あぁ、なんか変な気持ち……♡」

「よかった。痛くはないみたいだね」

「んっ……、平気だけど……、ちょっと怖いかも……」

 初めて感じる感覚に戸惑いを覚えていると、マヌルが優しく抱きしめてくれる。耳元で囁かれる言葉には、とても安心できる響きがあった。

「大丈夫だよ。すぐに慣れるさ」

 マヌルはそう言うと、三本の指で膣壁をなぞるように動かしてきた。

「んぅ……♡」

「ほら、わかるかい? ここが君の弱点なんだ」

 マヌルはそう言いながら、お腹の裏側にある一点を集中的に刺激してきた。その瞬間、今までで一番強い快感に襲われる。

「ひゃああんっ♡」

「可愛い声が出たじゃないか。もっと聞かせておくれよ」

 マヌルはそう言いながら、そこを何度も押してきた。頭が真っ白になりそうなほどの快楽だったけど、不思議と恐怖心はなかった。むしろ、もっともっとして欲しいという欲望が芽生えてくる。

「ねえ、マヌル……。お願いがあるんだけど……」

「なんだい?」

「わたしのこと、たくさんいじめて……♡」

 自分でも驚くほど大胆な台詞を口にしていた。マヌルは一瞬驚いた表情を浮かべたものの、すぐに嬉しそうに笑った。

「いいよ。いっぱい可愛がってあげるからね」

 ゆっくりと体重がかけられていく。勇者としての旅の中で鍛えられた身体にとって、マヌルは重苦しくなく、むしろ心地よい重みを伝えてくれた。

「ほら、これが欲しかったんだろう?」

「ああんっ♡ そんなの入らないよぉ♡」

「嘘つきだね。こんなにもヒクついているじゃないか」

 マヌルはそう言うと、一気に僕の中へ挿入した。あまりの質量に息ができなくなってしまう。

「かはっ……!」

「大丈夫かい?」

「う、うん……。でも、苦しい……」

「ごめんよ。もうすぐ楽にしてあげられるからね」

 マヌルはそう言うと、腰を動かし始めた。僕の呼吸に合わせてくれているため、それほど苦しくはない。それよりも、全身を満たす幸福感の方が強かった。

「ああ、気持ちいいよ……。勇者のおまんこ、最高だよ……」

「わ、私も……。マヌルのおちんぽ、すっごく硬くなってるよ……」

「君だって、お尻の穴がキュッと締まって可愛いよ」

「やぁん……。恥ずかしいこと言わないでぇ……」

 マヌルに言葉で責められるたびに、胸の奥がきゅんきゅんとうずいた。同時に、下半身の方も熱を帯びてきて、どんどん敏感になっていく気がする。

「ああ、もうダメ! イッちゃいそう……!!」

「僕もだよ。一緒にイこう」

「うん……!」

 僕はマヌルにしがみつくと、強く抱き寄せた。マヌルもそれに応えるように、より激しく突き上げてくる。そして、一番奥まで突かれた瞬間、僕の意識は弾け飛んだ。

「あああああっ!!♡」

 絶頂を迎えたと同時に、熱いものが注ぎ込まれる感覚を覚える。しばらくの間、お互いの荒い吐息だけが響いていた。やがて、マヌルのものが引き抜かれると、栓を失ったそこから精液が流れ出てくる。

「んっ……♡」

「ふぅ、疲れたぁ〜」

 マヌルは大きく伸びをしながら言った。彼はベッドの上で仰向けになると、そのまま寝転んでしまった。戦闘職でないマヌルにとっては、今の一戦は苦しいものだったのかもしれない。僕も隣に寝転んで、彼の顔をじっと見つめてみる。寝入ってしまいそうな表情でも、あの柔らかな笑顔の片鱗が浮かんでいるのが分かったので、僕も満足した。

「おつかれさま、マヌル♡」

 そう言っておきながら、僕自身なんだか眠くなってきた。何かに引き戻されるようにして意識が遠くなっていく。遠ざかるにつれて、ここまでの場面がすべて夢の中の出来事だったことを思い出してきていた。


 這い上るようにして意識が覚醒した。外は日が昇りかけて間もないようだ。体を起こすと、枕の下で不自然な音がした。めくってみると、バラバラに割れ散ったガラスみたいなものがあった。店主の言う通り、たしかに壊れやすいもののようだった。破片を片付けている間、下半身がじっとりとして不快だったので、服を脱いで軽くシャワーを浴びた。身支度を整えてから部屋を出る。

 廊下でケンシとすれ違った。

「おはよう、今日は早いね」

「ああ……」

 いつも通りの挨拶を交わす。何だか顔色が悪いような? それはそうと感謝を伝えておきたかった。夢の中とはいえ、あんな体験ができたのはケンシのおかげだから。

「昨日はありがとう! おかげですごく楽しい夢を見れたよ」

「…………今俺に夢の話を振らないでくれ。思い出したくないんだ」

「え?」

 どうしたことだろう。なぜか会話が噛み合っていない。まるで僕の記憶違いみたいだ。いや、実際にそうなのかも? 困惑していると、カスパーも起きてきた。

「おはようございますケンシさん。昨夜は楽しめましたか?」

「……生憎のハズレだったよ、カスパー殿」

「夢魔の淫石の話? 僕はすごく楽しめたけど」

「「勇者(様)!?」」


おわり

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