しないと出れない部屋━🐊👑🐪

しないと出れない部屋━🐊👑🐪


※ オチは無し。





「おさえてろ」

クロコダイルは返事も聞かず医療品が置かれていた部屋へ向かうがキングはそれに何時ものように言い返しはせず黙ってキャメルをうつ伏せのまま拘束する。今回ばかりは彼の意見に賛同しかねるからだろう。

「なんなのさ」

不満そうに呟くキャメルの腕からじわじわと広がる赤色にぞくりと恐怖がこみ上げるのを感じていた。



部屋に閉じ込められ壊そうとしてもどの技を使おうと傷一つつかない事実を確認させられた後昨日それぞれどこにいたかの情報共有をしようとしつつ出口だろうと推測される簡素な扉のある部屋に入り、扉の上に部屋から出る為の条件が書かれていたのを三人が見つけた。


次の瞬間。クロコダイルの

「キング!」

という怒声、キャメルの肩から噴き出す血。砂で弾かれる大鋏とキングが床に叩きつけたのは文字通り瞬く間に起こった出来事だった。

キャメルの右肩にクロコダイルの砂が止血するように纏わりつく。

「大きな声出してビックリしたじゃないか」

「馬鹿が。あんな条件鵜呑みにするんじゃねぇよ」

「でも他の部屋から出るのも無理そうじゃない?」

試してみようよ。という言葉にキングがゆっくりと首を振る。

「やるとしてもそれは最終手段です」

「真っ先に試す事だと思うけど」

クロコダイルは舌打ちをして話にならないと会話を打ちきってしまった。

そして、冒頭に戻る。



キングはキャメルの余りの判断の速さ──“誰か一人の利き腕を切断すれば解錠する”という文言にノータイムで行った──にも驚いたしクロコダイルの予測していたかの様な動きにも動揺していたが、目を覚ました時のことを思い出して“もしも”を考えゾッとする。

キングが一番最初に目覚めすぐ隣に二人が寝ていて異常に気付き起こしたが、もし、もしも。

キャメルが一番最初に起きていたら?

「アルベルくん、ちょっと重いんだけど」

この場とそぐわない言動の軽さに思考を中断されキングはため息を吐くと荒れているだろうクロコダイルにほんの少し同情したのだった。

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