しちぶかい に なろう!

しちぶかい に なろう!


ホビローさん は 七武海 を 目指すそうです。

原作590話~七武海加入直前まで。ウニ視点。










「……すみません『キャプテン』、もう一度お願いします」

『しちぶかい めざすぞ』

「ああああ明確に文字で視覚情報に訴えてこないでくださいやっぱり読み取り間違いじゃなかったんですね本気ですか!?」

『-・・ ・-・-・ -・-・・(本気)』

「……ペンギンペンギン、何度やったって変わらねぇよ多分」

「『キャプテン』だもんね」

「知ってた……」


 項垂れるペンギンにシャチとベポが同意して、ペンギンが静かに頭を抱えた。旗上げ組が諦めたらもう決定事項なんだよなぁ、とおれ達他のクルーが遠い目をしているのを余所に、爆弾発言をぶっ込んだ当人――我らが『キャプテン』は、机の上に置かれたライトを前にたしたしと(音はしていないが)尻尾を軽く机へ打ち付けている。あれ苛立ってねぇかな、と『キャプテン』の行動に当たりをつけつつこっそり溜め息。これから大変だろうな……と今後の振る舞いを思ってげんなりした。あ、おれクルーの内の1人のウニですちょっとの間宜しくね。


 そもそもどうして今の状況――会議室として使える食堂に集まった(見張りのクルー以外の)クルーを前に『キャプテン』がしちぶかい……王下七武海を目指すと宣言した状況になっているかといえば、話は少し前、女ヶ島を出航する前まで遡る。







「おお、キミ達か……シャボンディ諸島で会ったな」

「え〜〜〜〜〜!? “冥王”レイリー!!!」

「いやいや……船が嵐で沈められてしまってねェ。泳ぐハメになってしまった。思うほど体が動かんものだな……年をとった」

「“嵐”!? “凪の帯”に嵐はねぇぞ!? ――って事はそんなに遠い海で遭難してずーっと泳いで来たのか!?」

「じゃあさっき海王類とケンカしてたのも……あんたか……!!!」


 海峡のジンベエが麦わらを宥めてくるとの事で、おれ達クルーが『プロキシ』のシャチとその背に隠れる『キャプテン』の元へ戻ってきた後の事。いつでも出航できるようにはしつつ、麦わらが戻ってくるまでは待機と命じられ水平線を眺めていたら、遠い海で海王類と何かが争い始め、姿が見えない方が勝利したのを見る事になった。そのままこちらへ泳いでくる何か――人影になんだなんだと見守れば、その人物の顔を見たペンギンの言葉にギョッとする。確かにシャボンディ諸島のヒューマンショップで見かけたと行った面々から聞いてはいたが……! と思っていれば、マントを身に着けた『プロキシ』を見て、服の水を絞った冥王は片眉を上げた。


「ほう。今日は君が『プロキシ』なのだね」

「……ええまぁ。何故ここに来たのか聞いても?」

「あァ、そうそう……ルフィ君がこの島にいると推測したのだが」

「!」


 推測したって……とおれ達の顔を見て当たっていたようだと頷く冥王に怖……と声が漏れた。あの場でおれは電伝虫を見る余裕がなかったのでどうなっていたかは分からないが、十中八九麦わらを追いかける電伝虫はあっただろうからおれ達ハートの海賊団が麦わらを回収したところは写っていただろう。だからおれ達が居るなら麦わらが居ると判断するのは合っているが、マリンフォードから姿を消したおれ達がここにやってくるかはまた別の話だ。推測なんておれは無理。


 そんな俺達を余所に、流石というか『プロキシ』は淡々と情報交換を始めていた。……やっぱり『プロキシ』になると肝も座るのか? といつもなら絶対叫んでる筈のシャチを眺めていれば、話をつけた『プロキシ』がクルリとこちらを振り返って「出航するぞ!」と口にする。『キャプテン』からの指示に否を唱えるわけもなく、アイアイ! と良い子の返事をして撤収準備を始めれば、『プロキシ』に呼び止められた。


「ウニ」

「はい?」

「ここに書いてあるもの取ってここに戻ってきてくれ。冥王に預ける」

「アイアイ」


 リストを受け取り踵を返す。船に駆け込み言いつけられたもの――大半が最近使った形跡のある薬品ばかりだ――をまとめて戻れば、『プロキシ』が冥王に麦わら帽子を渡したところだった。2人ともすぐに俺に気づいてこちらを見る。


「お、ウニサンキュな。……こっちは胸の患部の薬、こっちは火傷用だ。麦わらのも海峡のも入ってるからちゃんと使うように言っといてくれれば」

「ああ、すまないね。恩に切る」

「……『足りなくなったら九蛇の所に医者ぐらい居るだろう。そいつに同じ薬を用意させりゃいい』。あ、一応カルテも渡しとくんで」

「うむ。預かっておこう……キミ達はまたシャボンディに戻るのかね?」

「『いいや、コーティングも終わってるしおれ達の船は“凪の帯”も越えられるからな。おれ達はおれ達の航路に戻るだけだ。麦わら屋とも航路が被らねぇ限り会う気はねぇよ』」

「ふむ……そうか。ルフィ君はキミ達に礼を言いたがると思うが……それにしても、彼はいい友達を持ったものだ」


 その言葉に反射的に『プロキシ』を見れば、シャチの帽子から覗く口元が明確にへの字に曲がっている。ついでに言うならバレないように隠しているが、クルーとして所属して長いおれにしてみると『プロキシ』の体が明確に揺れていてあー……とその背に居る存在に遠い目になった。カムフラージュとして『プロキシ』が片耳に着けているイヤホン(どこにも繋がっていないが外部には船にいる『キャプテン』と通話しながら指示をもらっているように見せかけている)を思わずと言ったように抑え、冥王に死んだ目で口を開く。


「……あの、『キャプテン』がキレてるので麦わらにうちの『キャプテン』が友達とか言わないでほしいんすけど……」

「む、不服かな。キミ達よりも遥かに格上の存在ばかりのマリンフォードに単身乗り込んで、あの場で白ひげ海賊団の次に注目の集まっていたルフィ君を治療するためだけに、海軍に喧嘩を売る……それはもう友人関係と言っても間違いないのではないかね?」

「それは同意するっすけどウァッテェ! でも『キャプテン』としては『気紛れだ』の一言で済んじゃうんすよ! おれがこのまま船に戻ったら『キャプテン』に更にどやされるんで麦わらには言わない方向で! お願いします!!」

「キミ達もキミ達で大変そうだな……分かった分かった、わたしからは言わないようにしよう」

「ありがとうございまーす! ……それじゃ、おれ達は出るんで」

「ああ、改めて感謝するよ、ハートの海賊団」

「『おれが繋いだんだから精々生き伸びろよ麦わら屋』だそうですよ。――ウニ、行くぞ」


 途中思いっきりぶん殴られたのだろう体の揺れを耳元で怒鳴られたと誤魔化した『プロキシ』の演技に流石旗上げ組……と思いながら、こちらを見据える冥王の視線を感じつつ船に戻る。出航準備を終えた船に出迎えられ、おれと『プロキシ』が乗り込んだ事を確認し船は海中に没した。せっかく女ヶ島に行ったのにな〜、と隠しきれない欲望を漏らしている男クルー達を余所に、島から離れたのを見て『プロキシ』がマントを脱いで――シャチに戻った瞬間、その後頭部を白い塊が襲った。


「イッデェ!!」

「あ、シャチ蹴られてる」

「また何かやらかしたのかシャチ」

「早めに謝った方が良いぞーシャチ」

「いやちょ……不可抗力!! あの場で倒れなかっただけ偉いと思うんすけど『キャプテン』!? あん時思いっきり殴りましたよね!!?」

「殴ったって……うわ、青くなってる」

「そしてペンギンはせめて捲るなら一言言って!!」


 ぺろん、と剥かれたシャチの背中にうわー痛そうと呟いていれば、視界の端で『キャプテン』が備え付けられているライトの方へ向かうのが見えた。クルー全体に情報を伝えたい時に、『キャプテン』が使う用のそれはライトが少し高い位置に付けられている。おれ達が押すとカシャカシャと鳴るそれを無音で操作した『キャプテン』が、さて何を言ったかといえばこれ。


『-・・-・ ・・-・・ ・・-・ ・-・-・ ・・-・・ --・・- ・-・-- ・- --・-・ ・-・-(もっとちゃんと否定しろ)』

「否定したじゃないっすか!! そもそもおれ達の行動そう取られても仕方ねぇじゃないっすかァ!!」

「なんだなんだぁ……?」

「何を否定しろって話なんです『キャプテン』?」

「ウニ知ってたりは? 一緒に戻ってきただろ」

「あー……冥王曰く麦わらとおれ達は友人だとか何とか」


 あー、と他のクルー達からも納得の声が上がって、『キャプテン』が苛立たしげに『なんでだ』とライトをチカチカさせる。それにそりゃあ、と呟きながら近くのクルー同士で顔を見合わせた。


「『気紛れ』で『麦わらが死んでもつまらない』って理由だけで死地に飛び込むのは、普通やっても麦わらととんでもなく密接な関係がある奴ぐらいっすよ」

「おれ達は『キャプテン』の事分かってるから、ホントに気紛れなんだって分かりますけど外からすれば分かりませんからね」

「そもそも医者がほぼイコール人助けになるのに海賊と兼任してる時点でまぁ……」

「『キャプテン』根が良い人なんですもん」

「はいここでキャプテン経験のあるジャンバールさん一言」

「おれに振るのか……シャボンディで初対面の相手を助けに格上の跋扈する戦場に突撃はおれならしない。というか普通の海賊団はしない。盟友などでもない限り」

「答え出ちゃいましたね」

「冥王側は麦わらの方を知ってるんでしょ? 麦わらなら有り得そうだって思われたとか?」

「ほら圧倒的同意!! おれちゃんと言わないでって言いましたァ無罪!!!」

『・-・・・ -・・- -・--- ・・・(お前ら)……』


 声であればドスが利いた声だろう勢いでライトをカカカカカ! と操作しそう示した『キャプテン』が、ゆらりと立ち上がり前足(人なら腕)を上げた途端、一瞬視界に青が写って――次の瞬間天井スレスレの空中にいた。おわ! と慌てて体勢を整えればどうにか受け身を取る事ができる。『キャプテン』が能力で天井に転移させたのだろう。『キャプテン』を見ればその手元には大量の小さな玩具のコインがあり、おれ達が元々立っていた場所にいくらか散乱していた。『キャプテン』の能力の1つの“シャンブルズ”は物と物の位置の交換だ、転移させたい場所に物体が存在していない時に『キャプテン』が投げて使うのがこのコインだった。コイン入れ代わりの『キャプテン』が背負えるサイズのリュック引き寄せてるじゃん怒ってる〜〜! と新入りかつこの場で一番大きいのもあって除外されてるジャンバールが目を白黒させているのを余所に着地しては飛ばされ着地しては飛ばされを繰り返していれば、何回目かで空中に放り出されるのが止んだ。がっくりと肩を落とした『キャプテン』に地面に落ちたコインを回収しつつ、やろうと思えばもっとえげつない事もできるのに高所からの落下で済ませている『キャプテン』の“癇癪”に微笑ましい顔を向ける。


「……まぁ麦わらと航路が交差する事も滅多にないでしょ。むしろ麦わらは療養が必要だろうし、それまでに遥か先へ進んどけばいいんじゃないっすか? 海軍だって、警戒はするだろうけどまさかおれ達が麦わらを救った理由が気紛れだなんて思わないでしょうし、邪推させときゃいいっしょ」

「それよりも今回の件でより目を付けられるんじゃないかって方が気になるんですけど……」

「旗上げ組大将から逃げ切ってるしなぁ……どれぐらい上がると思う? 今1億だろ?」

「上がっても5000万とかじゃねぇ? 2億いったら笑うけどな……ペンギンやシャチは暫く陸に上がる時は帽子変えとけよ、これで写真取られりゃハートの海賊団初の個別賞金首になっちまうぜ」

「『プロキシ』できなくなるのは困るしな、気をつけるさ」

「おれ達も強くならねぇとなぁ……おれ達の目標を思えば格上賞金首にも余裕で勝てねぇとだし」


 クルー内から上がった言葉にその目標――『キャプテン』を人へ戻す、本人や旗上げ組からすれば悲願だろうそれを達成するのに必要な要素を思い浮かべる。直接の元凶であるホビホビの実の能力者、そいつが従う海賊、そしてその海賊団に付随する称号。どの要素を取っても格上だ、戦力も情報も足りないのは明白で、つい思った事が口から溢れる。


「――王下七武海の情報集めるの絶対時間かかるよなぁ……」

「そもそも世界政府の下についてる酔狂な海賊団だろ? まあ海峡や女帝はやっててもおかしくない性格だったけど……世間一般じゃ海軍同様お味方さんだし、そんな奴らの情報とか守られてそうだよな」

「そもそも七武海同士ぐらいじゃないのか? 七武海やってる海賊の繋がりって」

「ありそう無関係な海賊団が嗅ぎまわった瞬間に海軍にジュッとされる可能性ありそう」

「黄猿のレーザーみたいに? 嫌だぜ跡形もなく消し炭になるとか……」

「見聞色の覇気磨かなきゃだな……『キャプテン』? どうしました?」


 思い思いに言い合う中、ただでさえ静かな『キャプテン』が顎に手を当て考え込んでいるのを見止めたペンギンが問いかける。問いかけに対して『キャプテン』は、しばらくたった後にぽん、と(無音だが)手を叩いた。


『・-・ -・--・ -・・ ・・-・・ ・・ ・-・(なるほどな)』

「?」

『-・・-・ ・-・- -・・-・ ・-・- -・・・ ・-・-・-、-・・ ・・-・・ -・・ ・・ --・ ・-・・ ・・ -・-・- -・・・- ・-・-- ・-・・ ・・・、-・ ・・(諸々は、ほとぼりが冷めてから、だ)』

「あー、まぁまずしばらくは追っかけられないかを見てからっすよねぇ……」

「どれぐらいで気にされなくなるかなぁ」

「長くても1ヶ月ぐらい……か……?」

「まぁ元々お尋ね者だけどなおれ達!」


 違いないと言い合って、おれ達はまた日常に戻っていった。







 ……そう、この時点で多分『キャプテン』は考えていたのだろう。即ち「七武海の情報が欲しいなら七武海に入ればいいじゃない」、と。


 ……ただ聞いた結果、もっと早く言ってくれても良かったんじゃねぇかな!? とおれ達クルーの感想が一致したのは、女ヶ島から出航して既に1ヶ月半近く経っていたからだ。潜水後初めて浮上した時に飛んできたニュースクーからおれ達の賞金が2倍に跳ね上がった手配書を手にして乾いた笑いが漏れたりだとか、おれ達の戦力を底上げするためにノルマを決めて積極的に海賊団を狩るようになっただとか、『キャプテン』が今まで作ってはいたけどあまり使っていなかった能力の技を試すために賞金首をたびたび気絶させた後にどの臓器が一番効果的に敵対心を削げるかの検証を行ったりだとか……これまではさほど積極的に活動していなかった『キャプテン』が最近よく戦うようになったけどどういった心境の変化で? とクルーから疑問が上がり、それにそういえば言っていなかったなと言わんばかりに丁度良いからと集められたおれ達が聞かされたのが、冒頭のセリフだったのである。


『--・-・ ・・ ・・- -・・ ・・- ・-・-- -・-・ -・・・ ・- -・--・、・-・・ ・- ・・・- ・・ ・-・-・ ・-・・ ・・・ ・-・・・ -・- --- ・-・ ・-、・-・-- -・-・・ -・-・ ・・-・ ・-・・ ・--・ ・・ -・-- -・--・。・- ・- ---- ・・-・・ ・--・ ・・ ・・・- -・・・-(情報手に入る、海軍から追われない、敵に近づける。いい事づくめ)』

「……いや、まぁ、元々ピースメインっすけどね……?」

「でも『キャプテン』、世界政府嫌いじゃないの……?」

『・-・ ・-・-・ ・-・-- ・・(なんで)』

「だって何度か政府関係の記事見てた時尻尾びったんびったんなってたよ……? だから、好きじゃないのかなって……」

『………………-・・-・ ・・-・・ -・-・ -・・-・ ・・-・・ ・・ -・--・ -・ -・・・- ・-・ ・・・、-・-・- --・-・ ・・ -・ ・・(元に戻る為なら、些事だ)』

「随分溜めましたね」

「もー、無理には聞かないけど無理しちゃ駄目なんだからね! おれ『キャプテン』が嫌な思いするぐらいなら大変な道の方がいいよ!」


 そうだそうだ、と同意するも僅かに視線を逸らしただけで『キャプテン』は首を横に振る。またこの人は抱え込もうとしてるな、とこういう時しっかり主張できるペンギンに視線が集中し、背を押されたペンギンが『キャプテン』の前にきて視線の高さを合わせつつじっとそのビー玉の瞳を覗きこむ。


「『キャプテン』、ホントに良いんですか」

『--・-- --・--(ああ)』

「おれ達は『キャプテン』が本気で決めた事なら反対しませんが、本気じゃないなら止めますよ。もう1回聞きます。――本当に七武海を目指すんですね?」

『・・・- ・・-・・ ・・ ・-。-・-・- ・- -・ ・-・-・ ・--- -・・・- -・-・- ・・ -・-・- ・-・ -・-・・、・- ・--・ -・・- ・-・-- ・・ -・・-・ -・ ・・-・・ ・・ --・ ・--・ -・-- --・- -・--- --(くどい。最短を目指さなきゃ、いつまでも辿り着けねぇよ)』

「……無理はしないでくださいよ」


 ダメかぁ、とおれでも尻尾が下がっている様子から大丈夫じゃないんだろうなと分かるのに言わなかった『キャプテン』に隠れてため息を吐く。うちの海賊団は『キャプテン』に救われ、『キャプテン』の望みを叶えたいと願う者ばかりだ。即ちさきほどベポが口にした『キャプテン』の為なら日の中水の中発言はクルーの総意だというのに、『キャプテン』は自分が傷つく可能性を良しとしてしまう。そういう人だ。これはどこかで旗上げ組に頑張ってもらわないと……とクルー同士で目配せしあい、?と首を傾げる『キャプテン』に話題を変えるべく話を振った。


「――で、七武海にどうやってなるとかいう明確な指標はあるんです?」

『--・-- -・--・(ある)』

「具体的には」

『・-・・・ --- -・ ・・-・ ・-・・ ・・ ・-・・ ・- ---・ ・・ ・・・- ・--- ・--・ ・-・・ -・・- -・--- ・・・ --- -・--・ ・・-・・ --・-・ ・・- -・・・- ・- ---・- --- -・・・ ・・ ・- ・-(おれ達が海賊を捕まえられると証明すればいい)』


 『キャプテン』が見せたのは、最近担保として奪うようになったキューブ――心臓。実際にどくどくと脈打つそれは、遠く離れていても物理的に息の根を止める事ができる物騒アイテムだ。これがこちらにあれば相手は心臓にナイフを突き立てられたくないが為にこちらに従順になるしかないし、これを海軍に渡せば、海軍は戦闘する事なく海賊を捕まえる、もしくは始末する事が可能になるだろう。そういや今20個ぐらいになってきていたっけ、と思いながら『キャプテン』が続けた点滅を注視して、


『・-・・・ --- ・・-- ・・-- ・・- --・ ・・・- ・・-・・、・-・・・ --- -・ ・・-・ ・・-- ・-・・・ ・-・-・ ・・-・- ・--・ --・ ・・・- ・-・・ ・・ --・-- --- -・・・ ・・、-- ・・- ・- -・ ・・ ・-・- ・・-?(おれの能力と、おれ達の隠密力があれば、容易だろう?』

「「「「「「「「「「きゃ、『キャプテン』~~~♡」」」」」」」」」」


 信頼しきった言葉に思わず声が揃った。心なしかニヤッと笑っているように見える『キャプテン』に流石『キャプテン』オモチャだろうと『キャプテン』のカッコよさは失われないんだよなぁ! と盛り上がる。途中であれ丸め込まれたか? とも思ったが、七武海を目指そうという方針を詰めていく中口にするのは野暮だと思ったため気づかなかった事にした。まぁ……最悪旗上げ組が聞くだろうし。






 そうして海賊狩りが始まり、どうせなら100個ぐらい集めてやろうぜとそこらの海賊団を襲っては心臓を奪う生活を進めていたおれ達だったが――ロッキーポートで起こった事件によって、政府の方から七武海打診が来るとは、この時のおれ達は思っていなかったのだった。


Report Page