「この話、ゾロさんにはナイショですよ?」

「この話、ゾロさんにはナイショですよ?」


ここだけの話なのですが、私本物の幽霊を見た事があるんです

もう2年前の話なんですけどね

スリラーバークでの戦いを経て、私が正式に皆さんの仲間になってから2日後くらいでしょうか

私は何故かいつもより早く起きてしまいました

もう一度眠ろうにも、目が冴えてしまって寝つけませんでした

ガイコツなので目はありませんけど!ヨホホホホ!

仕方ないので散歩でもしようかと思いまして、皆さんを起こさないようにそっと起き上がったその時、私はその幽霊を見かけたのです


その方は雪のように真っ白な長い髪に黒い着物という格好で、顔は髪で隠れていたのでお嬢さんかどうかはわかりませんでしたが、なんとも美しい雰囲気の方でした

私はおもわず叫びそうになりましたが、何故か声が出ませんでした

幽霊は眠っているゾロさんの傍に近付くと、彼の胸元に手を伸ばしました

スラリとした指をしていましたが、その肌は錆び付いた金属のように赤茶に爛れていました

手はそのまま外傷なくゾロさんの胸に入り込み、そこから何かを取り出しました

それは黒いヘビのような形をしていて、逃げたがっているように手の中で激しくもがいていました

幽霊はそのヘビのようなものを一瞥した後、

「これが私の最期の務め。お前は私が連れていく」

と言ってヘビを一息に飲み込んでしまいました

その後幽霊はゾロさんに微笑み、額に口付けをして消えました

ゾロさんが墓場に来たのは、その数時間後でしたね


私、思うのです

あの方はゾロさんにとって大切な方なのだと

そして、あの方にとってもゾロさんは大切な方なのだと

だって、そうでなかったら額にキスなどしませんもの

ゾロさんがあの途方もないダメージから生還できたのは、きっとあの方が助けてくれたからなのかもしれません

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