この後一ヶ月……に続く

この後一ヶ月……に続く


はいったりはしてないけどやってる……感じがするので閲覧注意です

その割にあんまりエロくはないです


あんまり話には関係ない設定

色々終わってみんな座みたいな場所にいるよ!伊織も色々と自由だよ!

解釈違いだったらごめんね!!









「そういえば、どうして昨日は交じらなかったのだ?部屋の前までは来ていただろうに」

 朝餉の米を口に運びながらセイバーが疑問を呈する。何にとは言われていないが、それが意味するところはわかっていた。必死に気配を殺して立ち去ったが、セイバーの勘の良さの前では無意味だったようだ。

「何故も何も、そもそも俺が入るべきではないだろう。その……夫婦のあれそれに」

 口早に言い終えると、羞恥を紛らわすために自分にも用意されている米を口に含む。ここが食事の不要な座であれど、わざわざ用意されたものを無下にする道理はない。それに、ここでも食事を取れば気力が漲る感覚がする。おそらく食べる行為が満たされる感覚に繋がると頭が覚えてしまっているのだろう。

「そんなこと気にしなくたって……私たちだってイオリくんがいた方が楽しいのに」

 頬に手を当て首を傾げているのはセイバーの妻であるオトタチバナヒメだ。『そこは気にしてくれ』と言いたいところだが、カヤを思い出す顔立ちのせいでいつも強く出られないでいた。

「そうだぞ。そりゃあ、イオリが遠慮ではなく本当に嫌なら私たちだって無理強いはしない。だけど君、あの後一人で楽しんでいただろう」

 セイバーのその発言のせいで、思わず喉を詰まらせそうになった。一体いつ気づかれたのか……いや考えるまでもない。今朝、俺を起こしに来たのは二人だ。

 昨夜の痴態を思い出すと顔から火が出そうになる。最初は昨夜垣間見たせいで覚えた熱を沈めるだけのつもりだった。それなのに、自分を暴けば暴くほど、一つの思考に囚われてしまった。――足りない、と。思い出すのは毎夜のように与えられる、受け止めきれないほどの快楽。あれに比べれば自分のそれなど物足りず、何度果てても飽き足らないと自分を執拗に追いたててしまった。

 最後の方は記憶もおぼろげだ。ろくな後処理もせず倒れ伏していたことだろう。寝起きの意識が朦朧としているのが日常茶飯事なことも相まって、二人が起こしに来たときどんな有り様だったかなんて意識に及んでいなかった。

 一体、自分はどれだけ腑抜けてしまっているのだろうか。生前はそういった欲自体も薄かったというのに。これは良くない傾向だ。いつこんな面白味のない男に飽きるかもわからないのに、満たされないようになってしまえば辛いのは自分だ。……何とか、しなければ。

「イオリ?」

「イオリくん?」

 二人に呼ばれて意識をそちらに向ける。思っていたよりも長考していたようだ。二人の器はもう空になっていた。

「で、本当のところはどうなのだ?どのような内容であれ、私たちはイオリの意思を尊重したい」

「……それを言うならおまえたちの方もだろう。俺への興味がいつまで続くのかは流石に皆目見当がつか――」

 最後まで言い切る前に、空気が一変したのを感じた。二人がすっと立ち上がり、こちらへ近づいてくる。滲む怒気を感じながら、今のは言うべきではなかったと遅まきながら気づいた。

「イオリは、愛いな」

 セイバーが自分を右側から抱き締めながら、自分と比べれば華奢な手が髪をすく。囁くような声が染み込むように入ってくる。

「癖のある髪も、夜をうつしたような瞳も、剣を振るうため鍛えられた肉体も」

 その手がそのまま下りて、胸元へ入る。その仕草が、声が、夜を思い起こす。何度気を遣っても終わらない、気持ちいいことしかわからなくなる、夜を。

「ああ、その覚えのいい頭も好きだな」

 食事と同じだ。勝手に思い出して、期待して、頭が蕩けていく。身体が疼いていく。

「――っ!」

 突然、直接的な快楽が身体を走る。思わず下を見れば、左足に座ったオトタチバナヒメがなめらかな手を下へ滑らせ、布越しに触っていた。

「あんなに愛していたのに、好きだと伝えていたのに、ちっとも伝わっていなかったんですね」

 そのまま握られると四肢の力が抜ける。直前触られたわけではないのに、腰砕けになってしまう。

「それはちょっと、ううん、凄くすごーく悲しいです」

 二人の手が服を寛げ、中へと入ってくる。華奢な手は胸の頂に触れ、滑らかな手は直前扱っていた。俺よりも俺の身体を知ってる、気持ちよくなると分かっている手で触られたら、もう我慢なんて出来なかった。

「神代の……貴方に比べればカミに近い私たちの執着を分かってくれていなかったんですね」

「あっ……う、あ」

 何か言うのと、その手がぐり、と先端を摩るのはほぼ同時だった、ように思う。熱が弾け、頭が真っ白になっていく。それでも手は止めてくれなかったが、頭は幾分か冷静さを取り戻した。

 ちゃんとした呼吸もままならない中、何とか薄目を開けると二人が顔を見合わせていた。何だろう……凄く嫌な予感がする。

「どうすれば分かってもらえますかね?」

「うーん……ああそうだ。イオリが分かるまで続ければいいんじゃないか」

 いまだに燻る身体の熱とは裏腹に、背筋がすっと冷えていく。続けるとは、一体、何のことだろうか。

「ま、まって、くれ」

「大丈夫だ。だってイオリは理解が早い男だもんな」

 俺の制止の言葉も聞かず、セイバーが力の入らない身体を抱えて歩いていく。近くにいる彼女も、それを少しも止めなかった。

「だから、その馬鹿な考えもすぐに捨てられるよな」

「なら、その馬鹿な考えもすぐに捨てられるわよね」

 いつの間にかたどり着いていた二人の部屋の布団に押し倒された。浮かべた笑みと、有無を言わせない声色に、怒っているのだと理解した。

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