このあとめちゃくちゃ開発された。

このあとめちゃくちゃ開発された。



※現パロ

※≠転パロ。あくまで現パロとしてお読みください。

※ふわっと! フィーリングで! お願いします。

※猫のいる島めっちゃいきたい







にゃおーん。んなー。

「テスカトリポカ。やめろ」

ンルルル。うなお。

「テスカ。おい、やめろ、本当に」


「これはやめないだろデイビット……」

そう言って、テスカトリポカはスマホを構えていた。どう見ても動画を撮っている。力づくで止めればいい話なのだが、今のデイビットにはどうしようもない理由があった。


「猫を引き連れたオマエ、なんて今後見れないだろうからな」


そう。

どこからひったくって来たのか知らないが、テスカトリポカが持ってきた旅行券。行き先は人より猫が多い、ということで有名な島だった。珍しいこともあるものだ、と比較的穏やかな心持ちで乗ったのだが。


「んなーん!」

「なー」


「退いてくれないか……」

これである。

なぜだかデイビットは、猫に好かれるたちであったらしい。

手元には特に何もなく、強いて言うのならショルダーバッグくらいのものだ。そちらにも猫が好むような物は入っていないはずだ。貴重品のみ。

であれば服に紐でもあったか、と思うが周りにいる猫たちがこちらにじゃれつく様子もない。本当に着いてきて時折足にちいさな体躯をすり寄せるだけなのだ。

いっそ走って撒こうか、とも考えるがただの人間である自分が猫たちから逃れられる気もしない。むしろ踏みつけるのが関の山だろう。


そういった訳で、甘んじて数十匹を引き連れる羽目になったデイビットを笑う者がひとり。


「オマエ、やはり面白いヤツだな」

笑いが隠せていない。あとで一発入れる。

密かにのちの予定がひとつ決まった。



***



ちょっとしたハプニングが発生した旅も終わり、数日後のことだった。

家で片付けをしていると、突然呼びかけられた。

「デイビット、これ見てみろよ」

「……俺は今忙しい」

「後からだっていいだろ? いいから来い」

一瞬目をつぶって逡巡し、結果諦めて片付けを途中終了する。後からまた片付けを始めやすいようにして、声の主であるテスカトリポカの座るソファの隣へ腰掛けた。


「なんなんだ」

言外に早く終わらせろ、と意味を込めたものだった。

「まあ見てみろ。ほら」

肩に腕を回されて引き寄せられる。長くなるな、と悟った。

ため息ひとつ、気の乗らぬまま覗いた液晶には、デイビットの写真があった。……SNSに投稿されているものが。

「は?」

ほぼ反射的に声が出た。テスカトリポカは画面をスクロールさせてこれも見ろよ、と投稿に対する反応を示す。



バカなんじゃないか、と思う数の反応がついていた。


いわゆる『バズってる』状態、である。



同時に寄せられたコメントが目に入る。

『イケメンと猫最高か???』『どっちと代わって欲しいかわからん』というものから、『ネコチャン! ネコチャンひきつれるの羨ましい!!!』『なんでそんなことになってるの……………?』というものまで千差万別だ。


先ほどの逡巡よりもずっと時間をかけて、ようやく言葉を絞り出した。

「…………、お前が投稿したものではないな」

「ああ。居合わせたヤツがいたんだろ」

画像はそれなりに距離がある場所から撮られていた。近くでずっとスマホを構えていたテスカトリポカには無理な一枚だ。

「それで、これだけか?」

長くなる、と思った割には大した話でないことに不穏なものを覚えた。


「ああ——、」

スウ、と彼の目が細まる。思わずのけ反ろうとして、ついぞ逃げることはできなかった。

とすり、とソファに押し倒された。何を考えているんだ、という意味で怪訝な視線をこれでもかと投げつけてやる。

「猫がすり寄るのはマーキングらしいな」

「……? ああ、そんな話もあるが」

肩から手を離される。が、ソファに寝転ばされたままで、デイビットの足はテスカトリポカの手と肩に拘束されてしまった。

そのまま、裾を避けて右足のアキレス腱あたりを軽く噛まれた。

「っ!?」

「オマエから俺の匂いがするようになったら、マーキングになるかもしれないぞ?」



ああこれは相当長くなる——と片付けを諦めた。ヤツの様子の限りだと今日は脚にひたすら執着されるだろうな、とも。


「はあ……。もう好きにしろ」


なんだかんだと受け入れるデイビットに、テスカトリポカは答えの代わりとしてもう一度同じ場所を噛んだ。

Report Page