かまくら

かまくら

モテパニ作者

拓海「降ったなー」

そろそろ立春が近づくこの時期、今シーズン一の寒波が日本中に到来しおいし〜なタウンにも雪が積もった。

そんな中拓海は父の不在もあり、宿泊客の安全と通行の助けのため家の近くの雪かきを行っていた。

ダークドリーム「えっほ、えっほ。拓海ーこれどこ持ってけばよかったっけ?」

そして拓海同様に働く者がもう一人。

集めた雪をスノーダンプに乗せて移動させているダークドリームだ。

拓海「とりあえず裏に集めといてくれ」

ダークドリーム「わかったー」

ゆい「拓海〜」

雪を運んでいったダークドリームと交代で幼馴染のゆいがやってくる。

拓海「ゆいも雪かきか?」

ゆい「うん。お父さんいないし、雪を退けなきゃお店開けないから」

拓海「大変だよな。昔遊んでるだけの頃は気楽だったもんだ」

ゆい「でも悪いことばっかりじゃないよ。お母さんが雪かき終わったらご褒美にお餅くれるって!」

拓海「お、雪に餅ってことはあれか?」

ゆい「うん!それじゃああとでね」

拓海「おう、こっちが終わったらそっち手伝いに行くからな」

ゆいは自分の持ち場に戻る。

またまた入れ替わりでダークドリームが戻ってきた。

ダークドリーム「全然雪集まってなくない?なにサボってるのよ」

拓海「おうダークドリーム。ちょっといいか?」

ダークドリーム「うん?」

〜〜〜

拓海「よっしゃ完成だ!」

それからしばらくして、拓海たちは雪かきを終えて目的の物を作成した。

目的の物、それは雪の宿かまくらだった。

ダークドリーム「七輪オッケー!」

ゆい「お餅もオッケー!」

拓海「よし!焼いてくぞ!」

ゆいリム「「おー!」」

三人はかまくらに入って餅を焼き始める。

ゆい「あ!味付け忘れた!」

拓海「大丈夫、もうすぐ来るはずだ」

拓海がそう言うとちょうどよく彼女がやってくる。

みなみ「お待たせ兄さん。お餅のお供持ってきたわ」

拓海「おー、ありがとうなみなみ」

やってきたのはみなみ。

体裁上は宿泊客の一人である彼女を雪かきに参加させるわけにもいかず中で待機してもらっていたが、かまくらに参加させるのならいいだろうと声をかけておいた。

ゆい「みなみちゃんなに持ってきたの?」

みなみ「あんこ、きな粉、砂糖醤油よ」

ダークドリーム「私あんこがいいー」

ゆい「じゃああたしきな粉ー」

拓海「じゃあ俺は砂糖醤油にしとくか」

各々好きな味付けを指定し準備する。

みなみ「あとこれも。兄さんが準備してたのよね?」

ダークドリーム「拓海、それは?」

拓海「甘酒だ。寒くなるみたいだったから昨日から準備しといた」

ダークドリーム「え?お酒って飲んじゃダメなんじゃ?」

拓海「大丈夫だ、これは米麹で作ったアルコールゼロのただのジュースみたいなもんだからな。あったまるぞ」

四人はそれぞれお餅と甘酒を取り、かまくらの中でそれを堪能するのだった。

みなみ「かまくらかぁ…」

ダークドリーム「みなみは何かかまくらに思い出あるの?」

みなみ「かまくらとは少し違うのだけど、前に大雪が降った日学園のみんなで雪のお城を建てた事があったわね」

ゆい「お城!?すごいね!」

拓海「建てたって言うくらいだからもしかしてけっこうなデカさだったのか?」

みなみ「ええ、さすがに本物のお城ほどじゃなかったけど、家くらいの大きさにはなってたわ」

ゆい「なんでそれ作ろうって思ったの?」

みなみ「友達の一人が本物のお姫様でね。故郷のお城を懐かしく思ってたみたいで、もう一人の友達がお城を作ろうって。最初は小さなお城のつもりだったけど寮のみんなが集まってせっかくだから大きなお城をって」

ダークドリーム「さすがエリート校、有能な人材揃い」

拓海「別に土建のエリートがたくさんいるわけではないと思うが、そういうアグレッシブなところは素直にすごいな。…というか本物のお姫様が友達なのか?」

みなみ「ええ、今は故郷に帰ってしまって簡単には会えないけれど、いつか機会があれば兄さんたちにも紹介したいわ」

ダークドリーム「それにしても本当のお姫様ねぇ」

ゆい「あ!あたしもいるよお姫様の友達!あ、いや確か王女様だったっけ?」

ダークドリーム「え?そうなの拓海?」

拓海「いや、俺も話には聞いてるけど詳しくは知らないな。父さんも知り合いらしいけど」

そんな風に他愛無いと言うには少々派手な話だが、本人達にとってはただ楽しいだけの会話を繰り広げながら平和に時間は過ぎていく。


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