お社で
ルフィ「久しぶりだなウタ…」
時刻は夕方、人通りもまばらな時間になり、すっかり人気が少なくなったそのお社に麦わら帽子を被った青年はいた。
「ここに来たらお前に会えるって聞いてよ…本当はおれが新時代を作るまで来るつもりは無かったんだけど…悪い!どうしてもお前に会いたくなって来ちまった」
ウタのライブからもう2年が過ぎた。エレジアは再び音楽の都として再スタートするべく復興が進んでいた。
そんな中歌姫ウタの歌声に救われ、エレジア復興に励む者達は亡くなった彼女のことを想い、供養と音楽の発展と平和への祈りを込めてこのお社を建てたらしい。
「にしてもでっけぇ家だな〜!フーシャ村にもお前のお墓あったけどよ…
こっちのはすっげぇ立派だな…おれも死んじまったらこれくらいでっかいの作ってもらおうかな…
そうしたらウタにまた会えたりしてな…
あ、悪りぃ悪りぃ、ウタもこんな話されても楽しくないよな!」
青年は麦わら帽子を取り地面に置いた
「酒と食いもん持ってきた!ちょっとおれの話し相手に付き合ってくれよ…海賊王になったんだおれ!…それから」
その後沢山の話をした。世界一の科学者と会ったときの話、海軍大将とまた戦った話、赤髪海賊団のみんなと宴をして馬鹿騒ぎした話、そしてこれから夢の果てが叶えようとしている話
「まだお前におれの夢の果てを聞かせて無かったな。それは…」
それはある者は笑い、ある者は驚愕し、ある者は涙を流す物だった
「これがおれの夢の果てでおれが考えた新時代だ…」
グイッ
「なんか…言えよ
頼むから…何か…言ってくれよ…
なんで…な゛ん゛で゛何゛も゛言゛っ゛て゛く゛れ゛な゛い゛ん゛だ゛よ゛
おれの夢を応援してくれるじゃ無かったのかよ!お前なら笑っておれの夢を応援してくれると思ったのに…
おれは…お゛れ゛は゛お゛前゛に゛お゛れ゛の゛作゛る゛新゛時゛代゛を見゛で欲ぢがっ゛だ…」
青年は泣いた。全部を守ると決めて2年間修行しても結局大切な人を守れず、海賊王になっても弱くて情けないままの自分に…
一番夢を叶える瞬間を見て欲しかった人にはもうこの世にいないという事実に…
「悪い…ちょっと取り乱した。酒を飲み過ぎたのかな…でもそうだよな
おれなんかよりウタの方がよっぽど辛れぇんだ。
おれだけ生きて新時代を一人で作ろうとしてんのにおれがこんなに辛そうにするのはおかしいよな…酒ももう飲み干しちまったしもう行くよ。じゃあなウタ…また来ると思う」
そう言うと青年は麦わら帽子を被り直しお社を後にした