おわったひと
【ここだけ冥王レイリーに子供がいたら】Byスレ主※死ネタです。
イーサンの母親・ルルワと、その双子の弟・カインのお話。
本当はイーサン視点も書くつもりだったけど、少し長くなったので、ここまで。
※死ネタです。
あの実験施設から彼に助けられてから18年ほど…そして、彼との“宝物”がこの世に生まれてくれてから17年。
初めて経験する事も多くて戸惑う事もあったけれど、大切なものがあるだけで穏やかに過ごす事が出来ていた。
そんな日々を暮らしていて、1つだけ気になっている事があった。
あの子の事。
私の“双生の片割れ”…かわいい弟。
私が助けられるよりも前に自力で逃げ出す事の出来た、あの子。
私達が住んでいるのは、東の海でも情報が滅多に入って来ない場所。
だから、生きているのだと思っていても、生きている確証が抱けないから…泣き虫で人一倍優しい子が、心配でならなかった。
「久しぶり」
ふと、そんな風に声がかけられた。
今の今まで、気配を感じられなくて驚愕と焦りをいだきながら、声の方へと振り返る。
其処には男女差はあれど、私と良く似た顔をした黒い翼を持つ同族が立っていた。
まさか。
「まさか、カイン…なの?」
問い掛ける私の声は震えていた。
そんな私の問いに同族は…カインは、昔と同じ子供の様な、柔らかい笑顔を浮かべていて。
「うん。そうだよ、ルルワ姉さん」
嗚呼…嗚呼、生きていてくれた、会いに来てくれた!
そんな想いから、昔とは違う淀んだ目の色には気付かなかった。
「カイン!!私の“双生の片割れ”、かわいい弟!」
気付く事が出来ずに近寄ってしまった。
いっしゅん、いしきがとんだ。
痛い。
どうしてじめんにたおれているんだっけ?
息が苦しい。
そうだ、なにか、しょうげきみたいなのが。
炎を灯さないと。
あ、また、いたい…?
駄目、動けない。
くちからあかいのがでてる。
何故?
めのまえにいるどうぞくをみあげる。
笑顔のまま、メイス型のモーニングスターを振り下ろしてくる弟。
…ぃたぃのもぅやだょ。
やっと理解した…壊れてしまっているのだと。
かいん…なんで…?
それでも、最期に会えて…生きててくれて、ありがとう。
ごめんね。
きづいてあげられなくて。
最期に見た空は
奇しくも、あの“地獄”が終わった日と同じくらいに
きれいだった。
“終わった人/終わった日と”