おやすみなさい

おやすみなさい

ねないこだれだ


 関係ないけどテレグラフNGワード無くなったひゃっほー!!

 クロスギルドの時期不明です

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 服の裾を引っ張る感触に顔をあげるとまだ服を作り始めてから半日しか経っていない。珍しいなと思い振り返るとクロが怒った顔をして座っている私を見下ろしていた。

「寝ろ」

「⋯⋯まだ作り始めて少ししか経ってないけど」

「少しだと?」

「ほら、まだ工程の三分の一も進んでないでしょう」

「なるほどその服はそうだな。それで? 何着目だこれは?」

 クロの後ろを覗き込むと並んだトルソーを数えるが5、と言ったところで言葉を遮られた。

「もういい。椅子に根を張ってるわけでもないだろうがとっとと寝ろ」

「それじゃあ、きりが良いところまで」

「アニキのきりが良いは完成までじゃねえか!大体昔からそうやっておれがいつも」

 針動かしてんじゃねェよ!という声を聴きながら手をかわして作業を続ける。別にクロを怒らせたいわけではこれっぽっちも無いけれど頭に浮かんだモノはいつか色褪せてしまうからその前に形に残しておきたい。寝るのはもったいないから嫌なんだけどどう言えば伝わるだろうか。

「クロ眠たいの?先に寝てて良いよ」

「この半月何度同じ言葉繰り返してるか覚えてねェなクソアニキっ」

 何を言っても怒りが収まらない様子にどうしようと弱っているとショコラがのんびりと部屋に入ってくる気配が背後からした。

 ギルドはショコラでも開閉がしやすい扉でとても良い。便利だ。私はこれ幸いとショコラを呼んだ。

「ああショコラ。悪いけどクロを」

 続きの言葉は服のえりをはぐりと噛まれて続かなかった。そのままズルズルと引きずられて持っていた作業具はクロに奪われてしまい寝室に連れて行かれる。

「えっ。えっ」

 行き場のない手をふらふら彷徨わせている内にベッドに放られるとショコラが乗り上げてきていつもハグする時と同じ様にのしかかってくる。と言っても少し浮かせてくれてはいるから布団ぐらいの重みしかないけれどこれじゃ動けないことに変わりはない。いや動こうと思えば動けるけどショコラが怪我をしてしまうし。

「く、クロ。ショコラのイタズラ止めて」

「何が悪戯だショコラに感謝しろよ」

 道具を机に置いて葉巻の煙を私の顔にかけるとショコラの頭を優しく撫でて何かを耳元で囁くクロに仲間外れはさみしいので手をワタつかせる。

「クロ」

「静かにしてろ喋るな目を閉じろ菓子の数でも数えてろ」

「それじゃ寝ちゃうよ」

 何故か呆れた様子のクロは肩を落としてソファからクッションを持ってくるとベッドの横に置いて寄りかかると、

「ショコラに付き合ってやる」

 と、言ったきり。一言も話さなくなってしまった。しばらくおろおろしていたけどこうなっては仕方ないだろう諦めるとなんだか暖かくて眠たくなってくる。

 私はそっと瞼を下ろして起きたらこの暖かい気持ちをイメージした服をどう描くかを考えながら気づけば眠りについていた。

 

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