おじいちゃん先生と元教え子『黒服』

おじいちゃん先生と元教え子『黒服』


「ここにいましたか、『先生』」

「黒服か、息災か?」

「えぇ、あのあとは何とか体も持ち直しましたよ」

「・・・こうして話すと昔を思い出すのぉ。黒服、君はいつの時でもすべてに興味を持って解明しようと頑張って居ったな」

「やめてくださいよ先生。昔の話じゃないですか」

「それでも儂には昨日のように思い出せる。そのような異形になったとしても、君は相変わらず君のままじゃ」

「・・・先生は、怒らないんですか?」

「?」

「私は、あなたにとって許せないことをしてきました。きっと私と話もしたくないはずです。ですがあなたは私の目を見て話してくれる。それは、なぜですか?」

その時の黒服は少し不安を抱いているに感じられた。まるで好きな人が自分を嫌いになってしまうことを恐れているかのように見えた。


「いや?」

「?」

「別に私は君のことを嫌いとは思わん。君が今の私の教え子に手をかけかけたことは嫌いじゃけど。他の子たちも同じじゃ」

「ベアトリーチェにも、ですか?」

「あぁ。あの子については常に危惧しておった。あの子は常に1番でなければ気が済まぬ子じゃったから、きっと儂のことも一番先に倒したかったんじゃろうな。

・・・どこで間違えてしもうたかのぉ」

「いえ、すいません先生。私も気まずいことを聞いてしまったと思います。私はこれで失礼します」

そういって少し急ぐようにその場から離れようとする黒服。しかし先生は、彼ら元ゲマトリアたちの恩師は立ち去ろうとする彼の背中に向けて声をかけた。


「黒服」

「・・・」

「今度暇ができればどこかキヴォトスの外にでも飲みにいかんか?もちろんゴルゴンダやマエストロもいっしょに、じゃがな」

「・・・先生は、外道に落ちた私たちにでも優しくするんっですね」

「お主も、元ではあるが生徒じゃったからな。後輩を導くのが先輩の役目じゃろ?学校でも、社会においても」

「・・・えぇ、そうですね。本当に、そう思います」

今度こそ黒服はその場を後にした。少し経った後、生徒が呼びに来るまで老師はその場にのんびりと座っていた。

最後の黒服の言葉が震えていることに気づかなかったふりをしながら。

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