いや待て。待てこのクソボケ共

いや待て。待てこのクソボケ共

距離感バグってるが故の行動力の化身

終始ライオさん視点で進みます




確かに、一大事ではあった。

何せ、あのツララが大怪我で入院する羽目になったのだ。

親族以外の面会謝絶にドゥウムは食ってかかり、ちょっとした騒動があったりした。

それが何かの琴線に触れたのだろう、それは分かるが。

分かるのだが。


「そういうことはまず上司のオレ様に報告すべきじゃないかなあ!!?」

「「?」」


二人して首を傾げるな首を。

なんで一切理解してないんだ。


「いーや!どう考えても身内が先に報告されてない方がおかしいだろ!」

「ああ、じいさんには報告済みだぞ」

「それは正しい!!!!!!!」

「そうか、親御さんには報告済みか男前だなってそうじゃない!!」

「ドミナ、ここ一番の声量だったな」


なぜこんなことになっているのか。

それは数分前に遡る。




「はあああああああ!!!??!?!??!?!!?」


その日、魔法省に響き渡った悲鳴。

それを上げたのは、普段声を荒げることすら滅多にない神覚者の一端カルド・ゲヘナ。

そんな異常事態に神覚者一同とドゥウムで慌てて駆けつけてみれば、そこにいたのは腰を抜かして椅子から転げ落ちたカルドと困った表情のツララだった。


「どうしたカルド!?」

「え、あ、つ、ツララさんが…」

「書類出すついでに入籍して苗字が変わったので報告しただけですよ」

『はい???』

「ああそうか、カルドさんは人事だからな」

「いやいやいやなんでそんな冷静なんだドゥ…まさか」

「ああそうだ、まだ言ってませんでしたね。私とツララ、この間入籍しました」


そして冒頭に戻る。




「やっぱり付き合ってたんだろう。そうだと言ってくれ」

「「いや付き合ってはなかったですが」」

「なんでだよ」

「どうしてそこ飛ばした?」

「付き合ってはなかったのに入籍はしたの?大丈夫?入籍の意味分かってる?」

「なんで父さんには報告したのに僕たちには知らされてないのかそこだけ教えてもらっていい?」


神覚者たち(一部当事者の親族)は大混乱しているというのに、当の本人たちは至って冷静だ。


「いや、この前ツララが大怪我して面会謝絶になった時があったじゃないですか」

「あったな」

「それでいろいろあって二人で話し合った結果、入籍しようかという話になりまして。二ヶ月前に入籍することに」

「結構前!!!」

「え、式とかは…」

「今更そんなことする仲でもないし別にいいかなって…」

「いいかなってじゃないいいかなってじゃ」

「どうしようデリザ兄さん、僕目の前が真っ暗になった気がするよ」

「大丈夫だドミナ、オレもだから」

「ところでそこの話し合い詳しく聞かせていただいても」

「「いやプライベートなことなんでちょっと…」」

「そりゃそうだよな」

「え、てことは兄貴ツララさんにプロポーズしたの?それともツララさんが兄貴に?」

「プロポーズ…」

「………したか?」

「………したっけ?」

「どうせだから結婚するか、といったニュアンスのことは言った覚えがあるが…」

「今更歯の浮くようなセリフ言い合うってのもちょっと…」

「なんでしょう、今ものすごい勢いで私の中の結婚に対するイメージが崩れていっているんですが」

「一般的な結婚とこれを一緒にしないでほしい」


思わず真顔になってしまった。

言っておくが、オレ様はちゃんとワイフとお付き合いした上でプロポーズして入籍しているからな。


「「まあ、そういうことなので…」」

「いや待て。待てこのクソボケ共」

「何有耶無耶にしようとしてんですか逃しませんよ」

「「ええ…」」

『ええじゃない!』




この後色々あって盛大に式を上げることになるんじゃないかな…知らんけど

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