いやや
熱いなぁ、あついなぁ。冷えたお水が欲しいなぁ。
おばあとお母の取ってきてくれたすいかが食べてえ。お父が汗垂らして帰ってきてぇ、お母が作った飯を食ってえ、おばあの漬けたきゅうり食いてえ。
おじいもいっつも将棋しか打たんさぁ、あっちの相手くらいしてくんろ、飽きてんでおばあが呆れた顔しよるに、近所の河上のじいちゃんも笑わんといて、あっちが書取りする場所ないんき。女子だからって台所立つんいややぁ、あっちやって外で遊びたいぃ。
しのとけんぞうがなぁ、いいなづけってちゅうもんらしいから色んなとこ行ったってさぁ。あっちもつれてってくんろ、あっちやって知りたい知りたい。だめなんはしゃあないけど土産話だけは寂しいんよぉ。
学校行きたないぃ、いきたくないし行くのもつらい、歩くんは別にええもん、げっこおるから楽しいもん。でもいややぁ、言いたないし行きたないぃ。
そう思えたら、よかったんになぁ。
お母もおばあもどこにもおらんし、お父もおじいもいってしもたもん。かえってきてなぁっていうたらぶっ叩かれてんよぉ、いたいいたい、いたいんやって、お母。
けんぞうも行ってしもたって、しの泣いとったんやって。みっちゃんからきいてん、なんであっちは行けんのやろなぁ、行きたないけど、死にたないけど、いややぁ。
変なバケモンよう増えとうし、見たないし汚いわぁ、いややいやや、近寄らんといてえよ、お母やおばあにも変な目でみられるのはいややぁ。
いややぁ、もぅ。