いつもの匂いが良い
『力強く完璧な香り』『儚くも繊細な香り』
『あなたはどちらを選ぶ?』
『君の勝負服は俺たちが仕立てよう』
「何で服脱いでるんだろ」
ベッドに寝転びながらスマホで見てるのはユッキーとプリンスが出てる香水のCM、元々プリンスが一人でやる予定だったらしいけどユッキーとやりたいって駄々こねたらしい。二人でのんびりしてたらいきなり「ユッキー!キミもCMに出てみないか?」ってどっかで聞いたフレーズ使って誘ってきた。
話を聞いてはみたけど俺はそう言うのよく分かんないし興味も無い、だけどユッキーがやる気だったから応援しながら送り出した。俺は出来る飼い主だからね、玲王も褒めてくれて満足だ。
しかしプリンスとユッキーが並んでると体格差が凄いね、もしかしてその辺で何か狙ってたのかな。ワイシャツをはだけさせてるのもベッドに寝てる二人に花びらが散ってるのもそう言う需要があるのかな。玲王もマーケティングするなら顧客の年齢層や性別を考えるべきだって言ってた記憶がある。今度玲王に聞いてみよっと。
「凪くんそれって俺とクリスさんのCM?」
シャワーを浴びてきたユッキーが頭を拭きながら俺の隣に座る、ユッキーが使ってるボディソープの花っぽい匂いを感じた。
「公式サイトで公開されてた。ユッキーお仕事頑張ったんだね」
「うん、香水のCMは初めてだったけどクリスさんのおかげでスムーズだったよ」
「ふーん、俺香水とか使わないけど部屋に置いてみようかな。靴もインテリアになるって何かで見たし」
「俺がいるから大丈夫だよ」
「あーユッキーお花だからインテリアになるじゃん、うっかりしてた」
よくよく考えたら香水なんてあっても邪魔になっちゃうしユッキーの匂いだけで良いや。玲王に自慢しよっかな、ユッキーがいれば香水いらずだって。
あれこれ考えてたら何か疲れちゃった、ゲームのミッションとかも終わってるしもう寝てしまおう。今日の凪誠士郎は早寝早起き元気な子なんだ。スマホを枕元に置いてごろりと仰向けになる。蹴り飛ばしてた掛け布団を足で取ろうとしたらユッキーが先に取ってくれた。
「ん」
お腹のあたりに乗せられた布団を持ち上げてユッキーにも入るように促す、笑いながら俺の隣で横になったユッキーにいつものように抱きつけば良い感じの温かさが俺の眠気を刺激してくる。お世話してくれるし抱き枕になるしインテリアにもなるなんて優秀だよね本当に。
「おやすみユッキー」
「おやすみ凪くん」
実はプリンスに香水を渡されてたりする、撮影の報酬みたいなものだって言われた。ユッキーモデルの香水は容器も綺麗だったし漂う香りもユッキーっぽいかなとは思った。でもやっぱり…
『いつもの方が良いよね』
ユッキーの匂いに包まれながら目を閉じる、きっと今日も快眠だ。