いけない遊び
サオリからの連絡があって数日、約束の日。
「それにしてもサオリが、ねぇ」
あそこまで無知とは思わなかったし、そのせいでハマってしまったんだろう、私もその…初めてえっちなこと体験した時は夢中になっちゃったし、気持ちいいことって欲しくなるのが人間だもんね。
「だから私が、おねーさんとして相手してあげないとね☆」
サオリの方が年上に見える?それ見えるだけだから、あの子中身幼女だから、などとくだらないことを考えていると指定された場所に着いた、んだけど…
「…廃墟?」
いや流石に言い過ぎた、廃棄ビルだ、原形は残っている……いややっぱり廃墟でいいよねこれは。
放浪中でロクなもてなしも出来ないがとは言ってたし私だって贅沢言う気はなかったけど、これはサオリが心配になる、とは言え私の家って今は寮だしトリニティの敷地に誘い込むわけにはいかないからなぁ…
「ミカ、来てくれたのか」
出迎えてくれたサオリは心なしか嬉しそうに見えるし、なんだかウキウキしてない?そう感じつつ寝室に入ると
「あ、意外と綺麗」
「どんな環境でも眠れるが、清潔である方が回復効果は高いからな、外観はともかく内部にはそれなりに気を遣っている」
そっか、思ったより落ち着いていられるようで安心した、これなら私なんかが心配しなくても大丈夫そうだ。
「それで、その…今日は私からしてみたいと思うんだが、いいだろうか?」
「それはいいけど…前みたく、ちゅって口づけしてはい終わり、みたいなのはヤダよ?」
うん、知らなかったとはいえあれはない、とはいえ挨拶なら実際あんなもの……いやいや挨拶代わりにキスするような関係ならもっと情のこもったものになるはずだし!ナギちゃんとかそうだったし!セイアちゃんはキスしてくれなかったけどね。
「大丈夫だ、あれから私も勉強したからな、喜んでくれると嬉しい」
なんだろう、ふんす、って擬音が聞こえる気がするしサオリについた尻尾がブンブン振られてる幻覚まで見える、外見これで中身幼女って反則じゃないかな。
「それじゃよろしく、お願いね?」
ウインクして微笑んでみるとサオリがちょっと赤くなった、可愛い☆
「それじゃ…するぞ」
そう言ったサオリに両手首を掴まれて壁際に追い込まれる、って壁ドン!?知ってる、コハルちゃんの漫画で見たやつ!実際やられるとサオリの方がずっと身長が高いのもあって覆い被さられてるみたいで……全部サオリのものにされてしまったようでドキドキする。
「ミカ、可愛いぞ」
「ふぇっ!?」
「こんな天真爛漫で無邪気な子を私は知らなかった、そんなミカと今日キスできるなんて、私は幸せだな…」
「ちょ、ずる……んんっ」
その顔と声でそんなこと言ってくるなんてずるい、そんな抗議もサオリのキスで塞がれてしまう。
唇をくっつけるだけの稚拙な子供のキス、それでも暖かい思いが胸に湧き上がってくるような気がするし、掴まれた手首からは甘い痺れを感じる。
もっと欲しい……
そう思っていたのに、サオリは唇を離してしまう。
「…どうだった?」
「すっごくよかった…ね、もっとシよう?」
「もちろん、私もまだ足りなかったところだ」
そこからはベッドの上で抱き合ったりしながら啄むようなキスを繰り返す、どちらかが上になったり、あるいは二人横に並んで添い寝したり、様々な体勢になってもする事は軽いキスだけ、それだけで二人とも満たされて幸せになるから、心が癒されていくのを感じるから。
でも、幸せな時間は過ぎるのも速くて
「もう、戻らなきゃ…遅れたら外出も制限されちゃう……」
「それではしょうがないな……その、また今度、いいだろうか…?」
「もちろん☆また今度、ね」
名残惜しさを振り切るように明るく振る舞う、また今度があるのだからそれで我慢しなきゃね。
「ああ、また今度、約束だ」
そう言って送り出してくれたサオリの言葉を胸に帰っていく私の心の中は、満足感と次への期待で溢れていた……♡