いい香りがする人とは以下略

いい香りがする人とは以下略

タイトルが思いつかない

ss,ぬるめのセンシティブにつき閲覧注意

実用性は多分ない

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……眠れない。

エピ先輩が僕を抱き枕代わりにしながら眠りこけているのはいつもの事だ。普段ならそれに(不本意ながら)慣れきった僕も彼が寝付くのとそう変わらない時間で眠りに落ちているけれど、今夜はどうにも目が冴えてしまっていた。

理由といえば明白で、ここ最近仕事の繁忙期も過ぎたのにちょっとした用事やメディア対応が立て込んで一人になる時間がなく……端的に言えば、溜まっているのだ。色々と。


(黙ってれば普通に美形なのになあ……)

豆電球の薄明かりの中に、すうすうと寝息を立てるエピ先輩の輪郭が浮かぶ。整った顔のライン、長いまつ毛、明かりを照り返す唇の粘…膜……いや待て、僕は何を考えていた?


(いくらなんでもありえないでしょ、男同士で、しかもこんなヒトにその……催すなんて)

これ以上顔を見ていられなくなってぎゅっと目を瞑ったけれど、完全に逆効果。

すぐそばにある体温と、品のいい洗髪料と洗剤の香り。そして普通だったら分からないような、ほのかなエピ先輩そのものの匂いさえ、視覚を奪われて鋭敏になった残りの感覚が感じ取ってしまう。

息を吸うほど胸が苦しくなって下腹部がずんっと重くなって、たまらず縋るものを探して身を寄せる。今この体をおかしくしているのは彼なのに、そんなことも構わずその原因に取り縋ろうとするほど僕は冷静さを欠いていた。

いつもとは逆に、僕がエピ先輩に抱きついて胸に顔を埋める形。それどころか、脚まで絡めていつも以上に密着したこの体勢を他の誰かに見られたらもう二度と表を歩けないだろう。


「すー……ふーっ……」


眠気はちっとも訪れないまま、呼吸するたびに頭にもやがかかったように何も考えられなくなっていく。

お腹の奥の疼きも増すばかりで、自分で気づかないうちにエピ先輩の脚を太腿の間に挟んだまま腰が揺れていた。


「はっ、はっ、ふぅーっ……」


どんどん体が熱く、呼吸が浅くなっていく。視界は寝間着越しの胸板に塞がれて、感じるのは2人分の鼓動と下腹部からゆっくり上がってくる重たい心地よさ、そして鼻から入ってくる香りは今まで生きてきた中で一番快くて───


ぶびゅっ。


粘着質な水音がやけにはっきりと聞こえたのに一瞬遅れて、頭とお腹が弾けて真っ白になったような感覚を覚えた。


「あっ、うぁ、やぁ……ぐぅぅ」


びゅるるるっ、びゅぅぅぅっ、びゅーっ……


平滑筋の長い律動が終わって、体に溜まった熱を吐き出し切った虚脱感と寒気に襲われ、体がぶるりと震える。

そうしてようやく眠気の訪れた僕は目の前の暖かい体を一際強く抱き寄せ、ほぅ、と一息ついて意識を手放した。もう、ぬるついた下着の与える不快感もどうだってよかった。

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