「あんなこと、もう二度としたくない」
ななしのだれか「はかせて」
爪のない血まみれの手で俺にすがりつく、鳥籠から救い出した男はそう言った。
「はらの、なか、あいつの、たからもの、おれのなかに、いっぱい、ある」
枯れ枝のようにガリガリにやせ細った、傷だらけの痛ましい体の、そこだけ異様にぽこりと膨れた、彼の腹。
なあ、そこに、何があると言うんだ。
「こんなもの、なかに、あるの、やだ」
血と青痣と珀鉛とで、傷つき病んだ彼の青白い顔。瞼が腫れて上手く開けられない目を懸命に開けて、彼は俺に懇願する。
「はら、なぐって。けって。のどに、てをつっこんで。なにしても、いい、から」
こんなにもやせ細り傷つき弱った体に、無体を働くなど、したくない。
でも。
「もう、こんなの、おれのなかにあるなんて、やだあ」
ぐしゃぐしゃに顔を歪めて、声をあげる力すら残ってない彼は、それでも肩を震わせて、言葉にできずとも、助けて、と泣いて俺に乞う。
なら、俺のやるべきことは一つだ。
「……まず、お前の口に俺の手を入れて、喉を刺激する。それでも吐けなかったら、腹を殴る。苦しいだろうが耐えてくれ。
大丈夫。お前の中にあるいやなものは、俺が全部、吐き出させてやるからな」
泣きじゃくる彼の背を撫でる。真っ赤に腫れて涙で濡れた目で、俺を見つめる彼は、おずおずと口を開いた。
これは彼の為の行為だ。彼の望みを叶える為の、仕方のないことなのだ。
ああ、でも。
俺を見つめる彼の、怯えを含み涙を流すその目は、昔、俺が父に向けたものと同じだ。
傷つけられることに、恐怖する、踏みにじられる者の目だ。
「いくらでも俺を恨め、トラファルガー」
俺はこれから、お前の為に、お前をたくさん傷つけ苦しめる、ひどい奴だ。
だから、俺にひどいことを頼んだと、後から悔やまなくていいんだ。
俺は、お前を助けたいのだから。
小さく開かれた彼の口に、俺は人差し指と中指をまとめて突っ込んだ。
※後に「あの時はお前にひでぇこと頼んですまなかった……俺を助けてくれたのに、あんなこと、させちまって……」「いやそんなこと気にするな、あんなものは吐かせて正解だ。そもそも悪いのはドフラミンゴだからな、お前は何も悪くない」と謝罪合戦が始まるIFローとIFドレーク
※IFローが【宝箱】にさせられてたのは知ってるけど、何を飲まされていたかまでは知らない正史組。知ってるのは飲ませたIFミンゴと飲ませられたIFローと、全部吐かせてあげたIFドレークだけ。え、吐かせた中身? アロサウルスくんが全部踏み潰しておきましたよ
※元気におにぎりを頬張る、ふっくらした人並みの肉つきに戻ったIFローを見て、チキンライスがちょっとしょっぱくなるIFドレークなのであった