ある海兵の気づき

ある海兵の気づき


ふと思った


「コビー大佐はわざと黒ひげに攫われているのではないか」と

この数ヶ月後何週間に一回突然現れてコビー大佐を誘拐していく黒ひげとその海賊団達。

どんなに隠してもどんな僻地へ出航していても絶対に現れるその姿はまるでストーカーだ。

海軍としては一分一秒でも早く捕まえたい存在ではあるし、将校達はいかにして捕まえるか、コビー大佐を守り抜くかよく会議をしている。そこには副官であるヘルメッポ少佐もいる。

だが努力も虚しく誘拐され戻ってきた時の姿は言葉にできないぐらい惨い、絶対に耐えられない姿だ。

でも何回もその姿で戻ってきている。 何故?

考えたくない、思いたくもない あの「ロッキーポート事件の英雄が」だなんて

でも調べないといけない もしこれが事実なら重大な軍議規定違反にあたる 。


だから調べる事にした 1海兵が調べられる事なんてたかが知れてる ましてや大佐の海賊誘拐事件なんて軍の記録で公にされてる訳が無い。 コビー大佐の小隊に所属しているから見れるだけであってこれがどこか別の所属している海兵ならこの記録すら閲覧できない


そして黒ひげ海賊団に最初に攫われた日と最近見つかった日までの期間を調べたら気づいてしまった。

××月○○日 コビー大佐誘拐

××月□□日 コビー大佐保護


○○月××日コビー大佐誘拐

○○月△△日 コビー大佐保護


    ………


「なんだよこれ……」

愕然とした まるで定期的にコビー大佐の身体が回復したタイミングをねらってあいつらは現れて大佐を誘拐していく

そして言葉にできない行為をして棄てていく

1回や2回なら偶然からなる物だがあまりにも頻度が定期的な上に多すぎる

「とにかくこれを上に……いやその前にコビー大佐に確認しなければ」

事実なのであれば大佐に何故こんなことを、あなたの望みは何かと聞かなければ 

 

そしてまた黒ひげに誘拐されて計算したように1週間後に棄てられ 療養したコビー大佐は仕事に復帰した



「あのコビー大佐お話が」

普段話しているはずなのにこの緊張感はなんだろう

まるで死刑台に行くような感覚 

「どうしたんですか?お話なら僕の部屋でしましょうか、警護上ヘルメッポさんもいますが大丈夫ですか?」

少佐にもこの話聞かれるのか?大丈夫か、いや聞こう




「あの、大変言い難いのですが、最近大佐が黒ひげ海賊団に誘拐される事件が相次いでるのは自身でもお分かりですよね」



「うん、ごめんね心配かけて」


まだ、大丈夫 隣にいる少佐は見れない


「それで、あの、その」


声が出ない、今からやっぱ戻るか?


「大丈夫だよ、話して」



大佐の声は驚く程に優しい 自分の事なのに

「ここ数回の記録を調べたんです。そしたらあまりにも期間が定期的、しかも大佐の体が回復したタイミングなんです」

もはや大佐の顔も見れなかった




「もしかして大佐はわざと黒ひげに攫われ………」




その瞬間顔を上げたら  大佐は泣いていた そして叫んだ


「どうして僕が好き好んで海賊に誘拐されに行かなきゃならないんですか?!?! あの瞬間あの時何をされどんな思いで生きたいと思っているか!!!」


そして気づいた時にはヘルメッポ少佐に胸ぐらを掴まれていた 

「お前言っていい冗談と悪い冗談あるの知ってるか…?俺達がどんな思いでコビーを探してるかお前もわかってるんだろ?!なぁ!!」


間違えたのだ やはり 聞くべきではなかったのだ  


次に声が出せる時には騒ぎに気づいたボガート将校も「大きい音がしたがどうした」と入ってきたがコビー大佐が「ちょっと次の海賊討伐の事で言い合いになって、ね、ヘルメッポさん」とその場を収めその日は解散になった。


考えるのはやめようと集めた記録も全部捨てた。

誘拐を大佐が自ら望むわけが無い

そう自分の中で結論付けた


そしてその出来事から数日が経ったある日の夜

俺はコビー大佐に呼び出された 

今日は少佐はいないしこんな夜に1海兵に何の用事が……?




「失礼します」

大佐は正義の文字が書かれたコートを脱いでいた

「あ、来ましたね 待ってました」




「お話って言うかお願いなんですけど」


なんだ、この違和感 聞いてはいけない気がする

今すぐ逃げないといけない気がする





「この前調べた事実 他の人には




内緒ですよ」


そういった大佐はにっこりと妖しく笑っていた


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