ある日のサカズキ

ある日のサカズキ


「サカズキ大将、以上で報告を終了します」


「ああ…いつもすまんな、通常の業務に戻っちょくれ」



ある報告を聞き終え、ガチャりと電伝虫の通話が終了した。


ここはマリンフォードサカズキ邸。この日サカズキは数ヶ月ぶりの有給を使い、趣味の盆栽でもしようと考えていたがある任務を任した腹心の部下からの報告を聞き、サカズキは2人のある問題児のことを思い出して痛む頭を押さえていた。


「まったく…あの二人は何を考えちょる!!どこの世界に勤務中であるにも関わらす宴会を始める海兵がおるんじゃ!!」


つい苛立ちからダンッと机を殴ってしまう。


自身の悩みのタネであり苛立ちの元凶である2人の問題児とは海軍の英雄ことガープ中将の孫であり自身もある事件を解決し、アラバスタの英雄と呼ばれている海軍の若きホープ、ルフィ大佐とそのルフィ大佐の幼馴染であり海軍の歌姫とも呼ばれているウタ准将である。


2人は現在マリンフォードのある広場で街の住人や同じく勤務中の海兵達まで巻き込んだライブ兼宴会を開き大いに盛り上がってるらしい。2人以外は海軍主催のサプライズイベントか何かと考えているらしく特に違和感を覚えていないようだが報告を聞いたサカズキには分かる、あの問題児達はなんとなく思い付いたから宴会を始めたのだろうと…!


普段着から仕事用のスーツに着替えながらサカズキは独り言ちる


「しかし、この監視任務は規律違反の為に用意した訳じゃないんじゃがのぅ…」


腹心の部下にあの2人の監視任務を任したのは規律違反の常習者だからではなくその血筋に問題があったからである。


海軍でも限られた者しか知らないことであるが片や革命軍のリーダーであるドラゴンの息子、片や四皇である赤髪の娘。いつ海軍から抜け出し親の元に合流するか分からぬ状況だったのでサカズキは独断で2人を自身の派閥に取り込み腹心の部下に監視させていたのだ。


そのせいで2人の尻拭いや責任対応に追われる日々になってしまったので取り込むのはミスだったのかも知れないと後悔してたりするが…まぁ、そこはご愛嬌というヤツだろう。


「あの2人には責任感がなさ過ぎる…コレを渡す日は一体いつになるんじゃのぅ…」


着替えを終えたサカズキがチラリと自身が愛用する赤色のスーツとは違う黒いスーツを見ながら考える、まだ早いと思いながらもつい馴染みの仕立て屋に頼み作ってもらい、シワ1つないそれはいずれルフィが大将になったときに渡す為のものだった。


はじめは厄介な革命軍の息子や四皇の娘と悪の存在だと考えて厳しい目で見ていたが2人の掲げる正義、そして何よりも大切な人を守りたいと願う心を見ているうちに段々と見守りたいと思うようになり、今ではルフィを自分の後継にしたいとまで考えていたのだ。


「それよりもまずはあの2人にまずはゲンコツを喰らわせてやらんとイカンのぅ…」


元帥となった自分に大将として活躍するルフィ、そしてそのルフィを支えるウタ…そんな未来を想像しながらサカズキは2人が開いた宴会場へと向かうのだった。


これはある1人の天竜人か引き起こし後に「神の落日」と歴史に刻まれるある大事件が起こる3日前の話である。


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