ある日のお昼寝
「ほら、貸してあげるから横になったら?」
昼食も終わった昼下がり、普段なら勝負の一つでもするところだけど、午前中にガープ中将の特訓と名ばかりの思いつきに巻き込まれそんな余裕もなくなっていた。
特に集中的に被害にあったルフィは疲れ果てている様子で今にも眠たそうにしている。そんなルフィの顔を見ながら姿勢を崩して自身の太腿を軽く叩く。
「わりぃ、ウタ」
そう言って太腿を枕にするように横になる。
芝生の匂いと太陽の日差しが心地よく、昼寝にはちょうどいい気温でもあり横になったルフィはすぐに目を閉じた。
そうやってしばらくルフィの顔を眺めていると、まだ寝ていなかったのかルフィが左手で私の左手を握りながら言ってくる。
「ウタの歌が聞きてぇな」
普段のルフィとは異なる優しい声質はどうやら歌のリクエストらしく、自分のレパートリーから良さそうな歌を選んで答える。
「この風はどこからきたのと―――」
そうやって歌い終わる頃にはルフィはすっかり寝てしまった。
トレードマークである麦わら帽子を胸元に当てて気持ちよさそうに寝ているルフィの頭を撫でながら、この時間を堪能する。
握りっぱなしの左手はゴツゴツしていて、それでいて優しさで溢れる手と無邪気に眠るその姿に思わず笑みを浮かべていた。
それと同時に胸の内から湧き出てくる温かい気持ちで一杯で、言葉として漏れ出してくる。
「大好きだよ、ルフィ」
この溢れ出す気持ちは、私の全ては、ルフィだけのものだから。
「ウタァ・・・ずっと・・・一緒だぁ・・・」
「うん、ずっと一緒にいようね」
彼の寝言に返答するように、思いを告げる。あの日誓った約束と、変えることのできない存在へ、置いていかれる絶望とそこから救ってくれた、大切な大切なルフィに向けて。
この気持ちは、いつか世界を揺るがせても、誰であろうと揺るがないから。
【あとがき】
part61の119の絵を見て作った30分クオリティ、絵があるなら書くしかねぇよな!
それとルフィが疲れ果てるならガープが最適やろ、何やっても驚かないだろうしくらいの便利枠