ある寒い日の夜のおでん城
季節はそろそろ11月に迫りワノ国の一年も終わりに近づいていた
城の隙間風から外の木枯らしが入り込んでくる、また違う日には大雨
女心と秋の空である
赤鞘達を寝かしつつ、当番の看守を遠くに誘導しつつ、おでんはいつもの最上階の自室に誘う
「この季節は空気が済んでていいな!」
「…もっと寒くなって雪が降ってくれればおれ好みの季節だ」
「さみーのが好きなのか?おでん鍋物や食べ物はうまくなる季節だが、寒いのは苦手だなあ」
「おれの育ったところがそうだったんでな、肌に合うだけさ」
「寒いと動けなくなるならやっぱり抱き合うしかやることなくなるか?」
そういってあっけらかんにカイドウに冗談交じりの誘い文句を言う
「…今日は気分じゃねえ」
「…珍しいな」
「ゆったり過ごしたいときがあってもいいだろ」
「そうだ、先程赤鞘達と食べたおでんの具の残りがある、温めてもってきてやるよ、そこの囲炉裏温めてくれるか?」
深夜のおでんパーティーが始まった実質サシ飲みになるのだが、勿論カイドウ側は酒が進み少しずつ上戸混じりになってきた
「おめぇは給仕でもねぇのに飯炊きがうめぇな」
「おでんが好きなだけだ、自分の名前には愛着持ちたいだろう、それにワノ国の飯は世界一さ、おれが断言する」
「ああ、ちげえねぇ、とにかくこの国の作る酒はおれに合う、ああ…そろそろ眠くなってきたな」
「おれが片付けておく、ゆっくり休んでくれ」
「おでん…」
カイドウが追加で言う
「片付けさせといて悪いが、終わったら…おれのそばにいてくれ」
……………………
「腹の上じゃなくていいのか?」
「任せる、寝るまで側にいてほしかっただけだ」
「なんだ、そんなことか、見届けてやるよ、他に注文あったら聞くぜ」
「…寝たあと夜這いするなら叩き潰す、それ以外はそうだな…ワノ国の昔話や民話を聞かせてくれ」
「民話?ははは読み聞かせかいいぜ、怪談?漫談?どんな話もござれだ
「…寝るときぐらい酔いながら楽しい話でいい気分で寝たいんだ、昔からあまりゆっくり寝れたことがなくてな」
「わかった、よ〜し任せろ…おぅそうだ!」
「…なんだ、もう寝たいんだが」
「…朝以降はおれの“自由”だよな?!言っておくがお前、たまに寝た翌日おれの体尻尾で固定したまま寝てるからな?」
「…好きにしろ」