ある夏の日にて 後編

ある夏の日にて 後編


 サアアアアアアアアア…とシャワーが流れる音がし、浴室の扉が湯気で曇る

 予想だにしていなかった急展開に、立香の心臓は今にも爆発しそうであった


(なんで……!? どうしてこうなった……!?)


 思考回路が全力で熱暴走している中、さすがは最高級のホテル、部屋もベッドも大きいなぁとどこか場違いな感想が頭に浮かぶ

 落ち着きを忘れた彼が視界を向けた先にあったガラス張りの窓からは夜の暗闇と都市の煌めきが見えた


(……綺麗だな)


 自分が住んでいる場所の、普段見ない視点からの景色に焦りも興奮も忘れて魅入られる

 ベッドから腰を上げ、窓から故郷を見下ろす。自分たちが今日遊んだプールレジャーはどこだったかなと地理関係から探し始め——


「夜景が気に入りましたか?」


 スルリと右腕を取られ、柔らかな胸が押し当てられた

 背筋が跳ね、バネのように勢いよく右に向けば、そこには同じく都市の姿を見下ろすモルガンが


「ここは変わりませんね。いつどんな時も、いつも誰かが何かをしている。忙しないと評価を下すこともできますが、私はこういう変わらない人々の活気を嬉しく思います」

「なくなった施設などもありましたがね。久しぶりに帰ってきたら、お気に入りのパフェ店がなくなっててショックでした」


 忘れていた胸の激しい鼓動をどうにか気づかれないよう離れようとすれば、反対側の手もアルトリアに握られ肩に頭を乗せられた


「ふ、二人とも?」


 石鹸の香りだろうか。甘い匂いが自然と鼻腔に入り、二人のことを意識してしまう

 二人はプールでも見せた水着を着ていて、触り心地のいい生地と張りのある滑らかな肌の感触が伝わってくる

 離れようにも両腕はしっかりと握られ、動けない

 どうしようかと回らない頭を立香が必死に働かせているところで、アルトリアが口を開いた


「……話し合ったのです、何度も。どちらかが諦めるべきだと。でも、お互い諦めるのが凄く嫌で……」


 二人の手に込められた力が強くなる。離したくない、別れたくない。そういう強い執着が、二人の態度から察せられる


「好きです、立香。出会った時からずっと。ずっとずっと、あなたのことを思って頑張ってきました。……立香は、私たちを受け入れてくれますか?」


 二人が告白し、腕を掴む手に更に力が入る。俯いた顔からは、感情を窺い知ることはできない

 その様子に立香は茹だった頭が急速に冷やされ、どこか納得した心地で


「——うん、俺も好きだよ。ずっと一緒に居よう、二人とも」


 意外なほどにスルリと抜け出せた腕で二人を抱き寄せ、耳元でそう囁いた

 二人の顔は未だに俯いていてよく見えないが、真っ赤になった耳と消え入りそうなはいという声が、今の彼女たちが何を思っているのかを如実に語っていた


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「あ、あの、立香? 気持ちいいですか?」

「う、うん……気持ちいいよ、アルトリア……」

「ほっ……よかった。もっとしてあげますね」


 二人が張り切って用意したキングサイズのベッドの上、アルトリア・アヴァロンがおっかなびっくりといった様子で立香の肉棒を握り擦っていた

 彼女の手つきはたどたどしく、明らかに慣れていないどころか初めてであることが伺える

 それもそうだろう。俳優として多くの経験をしているとはいえ、中身はかつて立香と一緒に森を駆け回ったこともあるアルトリア

 性的経験など皆無である以上、愛しい男への奉仕も逐一反応を見るものになるわけで


(筋肉凄いなぁ……格好いいなぁ……う、うん、大丈夫。痛いとかそういう感情は見えない。この調子でいい筈……)


 全身裸でビクビクと震える彼の顔を見るたびに、彼女の奉仕の熱は少しずつ上がっていく


「えと……こう、かな? れー」

「うっ……あっ……! 待って、それ凄っ……!」


 髪をかき上げ、彼女は口を大きく開けて唾液を肉棒に纏わりつくように垂らす

 唾液が絡みつくことにより滑りがよくなり、さらには現実離れした美女にそれをされているという視覚的効果により立香の興奮作用がかなり高まり、再び彼女の指に肉棒が囚われた瞬間には彼はあまりの快感に大きくのけ反ってしまう


「……ふーん」


 それを見て彼女は少し目を丸くした後、先程までの臆病さが嘘みたいに自信と余裕に満ちた表情でにちゅにちゅと卑猥な音を立てながら肉棒を激しくこすり始める

 もしものための参考文献としてAVから(何度も恥ずかしさから倒れそうになりながら)得た知識だったので、彼女としては不安だったのだが、有効だと気付いた瞬間に彼女の中からその感情は即座に消え去った


「いいよ、立香♡ 一回ピュッピュしよ♡」


 代わりに沸き上がった奉仕欲求と嗜虐欲、そして燃え上がる愛情のままに、彼女は彼の耳元で幼い頃の自分の真似をしながら更に奉仕する手を速めた


「あっ♡ 待ってアルトリア♡ イく、イくから♡ お願い、止まって♡」

「ほら、イッちゃえイッちゃえ♡ 私の手に精液ぶち撒けちゃえ♡」


 積み重なる快楽に唾液に混じって我慢汁が滲みだし、にちゅにちゅという水音がぐちゅぐちゅと変わり始める

 立香の口からは自然と唾液と喘ぎ声が零れ、瞳は虚ろにアルトリアから与えられる快楽を甘受している


「イけ♡」


 ぎゅっと捩じり上げると同時、アルトリアはかぶりつくように彼の口に柔らかい唇を重ねる

 その刺激がトドメとなり、ついに今まで留めていた栓が決壊した


「んっ、あ、んああああああああああああああああああっ♡」

「んーっ♡」


 頭の後ろに空いていた手を回した彼女に支えられながら体を大きくびくつかせ、彼は激しく絶頂する

 肉棒は精液を噴水の如く勢いよく発射し、彼女の手を白い絵の具塗れにする

 漏れ出る叫びは全て彼女の口に飲み込まれ、それどころか唾液と共に甘露として飲み干された


「ぷはっ。ふふ。とても可愛らしいですよ、私の立香」

「あ……アルトリア……」


 彼女が離れると同時に彼の体は解放され、力なくベッドに仰向けに倒れ込む

 肩で息をしながら圧倒的な快楽意識を朦朧とさせている彼を前に、彼女は満足げに、嫣然と微笑んだ

 そして、好物のアイスを食べるかのように。指に、手のひらに、手の甲に纏わりついた戦果を彼女は口に含む

 その様は正しく人間から遠く離れた魔性の美そのものであり、射精により心の防壁が弱まっている立香にとっては自らを魅了するに足るほどの輝きを放っていた

 そして彼女が自らの手に付着していたそれを全て食べ終え、いざ残りを頂こうとした瞬間に——


「では、こちらは私が頂くとしましょう」

「——なっ!」

「はぐぅっ!?」


 それまで傍で沈黙を保っていたモルガンが白濁諸共肉棒を口に含んだ

 やっと息が整い、意識が復活してきた段階での唐突な快感。予想外からの奇襲により、彼の思考は再び砕けてしまう


「あっ、がっ……モル、ガ……! ちょっと、待っ……!」

「待ちません。……私だって早く立香と繋がりたいのです」


 それでも必死に意識を繋ぎとめながら絞り出された言葉に、モルガンは一度口から肉棒を解放し、そう告げる


「むむむ……あっ」

「じゅぶっ♡ じゅぞっ♡ じゅるるっ♡」

「あっ♡ おっ♡ おほぉっ♡」


 モルガンの口淫に立香はビクビクと激しく体を跳ねさせてしまう。その姿に疎外感を強く感じるアルトリアは、空いている部位で自分ができることを考え、一つ妙案を思いついたようでニッコリ笑った


(だ……駄目だ、このまま流されたら二人に限界まで搾り取られ…「立香♡」んぶぅっ! ふぁ……あぁぁあああぁぁ……」


 どうにか反撃に移ろうと力を入れることも覚束ないまま震える右手を持ち上げるも、アルトリアの胸に顔を包まれまた脱力してしまう

 柑橘系の爽やかな香りと女性特有の甘い匂い、そして水着越しながら柔らかでどこまでも沈んでいきそうな体の感触が暗闇の中で増幅され、立香の頭はすぐに桃色の霧に染まってしまった

 そしてそこにモルガンから与えられる肉棒への刺激もあるのだ。立香はもう我慢するという選択肢すら浮かばず、ただ与えられる快楽を甘受する

 そして、肉棒が震え始めたのを見て二人の奉仕に熱が入る。肉棒を見る瞳は蕩けており、色気を濃厚に孕んだ吐息が無遠慮に吹き付けられる

 度重なる刺激に肉棒は大きく膨れ上がり——


「んっっっっ……♡」

「きゃっ♡」

「うわー、凄い勢い……♡」


 息が途切れ、体が大きく跳ねると同時、粘度の高い白い液体が噴水のように噴き出しモルガンの顔と胸を汚していく

 彼女はそれを甘い声を出して喜んで受け止め、付いた精液を手指で掬いながら味わった


「はぁ……♡ 立香♡」


 アルトリアが、立香を解放しその上に跨る。玉のような汗が彼女の体を伝い彼の体に当たり、熱い吐息が喉元に当たる

 モルガンは今も精液を飲むことに熱中しており、自らの胸を口で弄っていた


「……アル、トリア……♡」


 瞳を潤ませ涎を垂らした、だらしのない蕩け顔。長い間一緒に居ながらずっと見ていなかった新しい顔を今、自分が独占できている事実にアルトリアは背筋を震わせる

 股からは粘液が垂れてきており、太ももを伝ってベッドに染みを作って行く

 アルトリアは自らの内から生じる熱のままに立香と体を重ねようとして


「……っと、忘れてました。これ使うんでしたね」


 ハッと何かを思い出した顔で、彼女は一旦踏み留まる。そして傍の戸棚を開くと、そこから小さな紙の箱を取り出した


「スケジュールの調整とか色々ありますので、申し訳ありませんが、生は避けさせてください。デキ婚とかしたくないですし……子作りは、結婚後に」


 中から袋に包まれたゴムが取り出され、そのまま封を切られる。彼女は中身を掴むと、少し苦戦しながら肉棒に薄いそれ——コンドームを被せた


「では、改めて」


 彼女は指で水着をずらすと、金色の薄毛で包まれた割れ目をゆっくりと開く

 誰の侵入も許していないピンク色のクレパスはひくひくと物欲しそうに痙攣しており、奥からはポタポタと粘着質の液体が滴り落ちてきていた


「入れ、ますね……♡」


 優しく肉棒を掴み、位置を合わせると、彼女はゆっくりと腰を下ろしていく


「はぁ……ぁ……♡」


 処女の締りの強い膣は不思議なくらいに順調に肉棒を飲み込んでいき、むしろ早く奥に来いと言わんばかりにずるずると引き込んでいく

 途中、プツリと何かが切れる音と共に僅かに血が膣から流れた


「ふぅ……んんんっ♡ 入っ、たぁ……♡」

「うっ……あぐぅ……アルトリアの中、締ま、る……♡」


 ピッタリと腰が重なり、幸福感が彼女の全身を貫く。ただそれだけで彼女の体は一度イッてしまい、膣が激しく締め付けられる

 その刺激に立香は再び射精しそうになりながら、息も絶え絶えに上に乗ったアルトリアの顔を見上げた

 結合部からは血と愛液が混ざったピンク色の混合液が垂れていた


「はぁ……ふぅ……♡ 立香の大きくて、私の気持ちいいところ全部当たってます♡」


 馴染ませるように、あるいは感触を楽しむように、アルトリアは押し付けるように腰を動かす

 それに伴い膣壁が形を変えながら肉棒を強く圧迫し、内部の襞が舐め溶かし、奥の子宮口がゴム越しに亀頭をパックリ咥える

 いわゆる名器と呼ばれるそれに食われた立香は悶えることしかできず、痺れさえ覚えてきた肉棒諸共蹂躙されるしかない


「立、香……♡ 立香♡」


 そこに更に上乗せされるように、アルトリアの腰が上下に動き出した。両の手は強く指を絡め合うよう握られ、程よくある美乳が動きに合わせて激しく揺れる

 膣は肉棒が引き抜かれる度に逃がさないとばかりに搾り取りにかかり、突き込まれた時は甘やかすように絡みつく

 長い金の髪が振り乱され、その度にフェロモンが部屋中に充満し二人の思考を性欲一色に染め上げていく

 パンパンパンパンと激しく肉がぶつかり合う音。体液が衝撃で弾けて飛び散り、二人の体を汚していく


「好きっ♡ 好きぃ♡ 立香、立香大好きぃ♡」

「アル、トリア♡ 俺も、俺も好き♡ アルトリアのこと、俺も好きぃ♡」


 別れる前、言えなかった言葉を大人になった今告げる。何度も何度も、相手の心に擦りつけるように


「立香っ♡ 立香ぁ♡」

「アルトリア♡」


 腰の動きが早くなっていく。二人とも全身を包む快楽に夢中になり、ただひたすらお互いの体を貪っていく

 そして彼女の腰が深く彼の体に沈んだ瞬間——


「あっ、あぁぁああああああああああっ♡」


 ゴム越しにアルトリアの子宮に立香の精液が叩きつけられ、二人の視界が激しく明滅する

 意識は押し寄せる快楽の濁流に翻弄され、ぐちゃぐちゃになっていた


「ぁ……はぁ……あー……」


 射精が終わった後も、二人は荒い息だけをして動かない。手は未だにしっかりと繋がれ、結合部からは白濁液が零れていた


「お、おぉぉぉ……♡」


 絶頂から帰ってこれず、未だ快楽に魂を囚われたアルトリアの口から、太い下品な喘ぎ声が漏れる

 立香もまた息が時折崩れており、まだ意識を取り戻していない

 とっくに清掃を終えていたモルガンはその様子に一つ息を吐くと、ヌポンッとアルトリアの膣から立香の棒を引き抜いた


「あっっっっ♡」


 抜ける際の刺激で、アルトリアの体が跳ね、プシャァと愛液が噴き出す

 肉棒についたコンドームは精液で膨らみ切っていた


(……凄い量ですね。生で出されたら妊娠確定ですか)


 肉棒からコンドームを取り外し、モルガンは改めて袋に溜まった精液に顔を赤らめる

 彼女は名残惜しそうにしながら精液が漏れないよう封を結ぶと、事前に用意してた水が入ったペットボトルを取り出し、二人分のコップに水を注いだ後に一言


「……一旦休憩ですね」


 さて、それは自分のためなのか。あるいは、二人のためなのか

 モルガンはただ、目の前に広がる死屍累々を眺めるしかなかった


 それから少しして、二人が絶頂の余韻から帰ってきた後


「あのー……モルガン?」

「ん……なんでしょうか、立香。いえ、我が夫、と呼ぶべきですね」

「我が夫!?」


 モルガンは今、立香に正面から甘えていた

 背中に腕を回し、肩に頭を乗せて、腰を足で挟んだその姿勢は、対面座位と呼べるものだ

 リボンや生地の部分は最高級のものを選んでいるからか、ふわりと柔軟な触感をしておりまるで天女に抱かれている感触を彼に与えていた

 彼女は遠慮なく水着越しに秘部で股間を圧迫しており、柔らかな刺激を受けた肉棒が幾度の酷使の疲労を忘れて立ち上がる


「? 受け入れると告げたのでしょう? ならば、これは婚約。夫扱いをするのは、そう不思議な話ではないと思うのですが……」

「な、なるほど……? 未来そうなるのなら、今呼んでもおかしくない? と、となると、私の方も呼称を変えるべきでしょうか? え、えーっと、あ、あなた?」


 その論理はおかしい

 立香はそうツッコむこともできたが、顔を赤くしながら自分のことを夫扱いしてくる二人にグッと来たので、あえてスルーした

 それどころか、受け入れの意思表示のために深く抱き返した


「ん……では、今後はこのように呼びましょう。指輪と式場の準備もしなくては。ああ、ドレスもですね。二人分、しっかり用意しましょう」


 自分の願望が通ったことに、モルガンは少女の頃の笑みを浮かべて抱き締める力を強める

 二人の間は隙間もないほど密着し、二人の心の距離感を表していた


「妹ともども末永くよろしくお願いしますね、我が夫」


 舌を入れない、唇を重ねるだけの軽いキス

 結婚式の誓いのキスのようなそれは、彼女の中に強く残る少女性を立香に意識させ、愛おしさと今から彼女を汚すという性欲を湧き立たせる


「わ、私とも、私ともしましょう!」

「ええ、もちろんです。二人一緒でないといけませんから」


 欲望のままに立香は手をモルガンの胸に持っていこうとしたが、横合いからアルトリアが割り込んでくることで興奮がリセットされ理性が再起動する

 彼女の言葉にモルガンは微笑んで頷き、彼女がしやすいように少しだけ上半身を離した


「あ、そ、その……セ、セックスした後言うのもアレですが……」


 気恥ずかしいのか、あるいは気まずいのか。アルトリアは顔を真っ赤にして、しどろもどろになりながら立香に近寄る

 そしてゆっくりと、しっかりと彼の顔を手で挟む


「この心も体も全部あなたのものですから。私たちのこと、一生離さないでくださいね?」


 彼女の唇が立香のと当たる

 少しの間見つめ合った後、感極まったのかアルトリアは嬉しさいっぱいに彼に抱き着いた

 モルガンもまた再び立香に距離を詰め、アルトリアごと立香を抱き寄せる。そして耳元に口を寄せると甘く囁いた


「来てください、我が夫。あなたの妻の体を、しっかりと脳に刻み込むのです」


 すっとアルトリアが離れ、モルガンは立香ごと仰向けに倒れ込む

 彼女は立香の手を取ると、期待に頬を紅潮させながらリボンを握らせて嫣然に微笑んだ


「……行くよ」

「えぇ、どうぞ」


 生唾を飲み、立香は震える手でモルガンのリボンを握りしめる。少し引っ張れば、するすると結び目は解け、中のピンク色の乳首が露になった


「んっ……触れてください」

「あ、う、うん」


 醸し出される色気に立香は思わず見惚れるも、モルガンの言葉で自我を取り戻す

 今にも爆発しそうな心臓の音。アルトリアの時とは違う淫靡な空気に戸惑いながら、立香はモルガンの胸にそっと触った


「んっ♡」

「だ、大丈夫? 痛かった?」

「いえ、少し肌が敏感になっているようで……その、はしたないお願いなのは理解していますが、もっと触れてくれませんか?」


 ビクンとモルガンの体が跳ね、瞬間的に立香は手を放す。それに対して彼女は恥ずかしさから目を逸らして、しかしすぐに流し目で続きを要求した

 立香の中の何かが千切れた


「ひんっ♡ わ、我が夫、いきなりそんな強く♡ あっ♡ あぁっ♡」


 先ほどまでの遠慮気味のから一転して、肉欲に任せた相手のことなど考えない手つき

 手に収まらない大きさの胸を揉み潰し、乳首を抓って弾き、立香は思うがままに蹂躙していく

 モルガンはそれに痛がることなく快楽に溺れた嬌声を上げ、足をばたつかせてよがっている


「うわー、立香ってば激しー。……あれ? これ外から見たら、私もこんな感じでした?」


 可愛らしい喘ぎ声が部屋中に響き、モルガンの股から断続的に愛液が噴き出す

 その様子をアルトリアは遠巻きに眺めている


「っ……! モルガン! 入れるよ、入れるから!」

「……あっ♡ はい、来てください♡ 私を、あなたのものに……♡」


 我慢できなくなった立香が乱暴にコンドームの封を切り取り付けると、自分の肉棒を握りモルガンの蜜孔に押し当てる

 彼女はそれを滲んだ視界で収めると、自ら股を開いて入口を指で押し広げた


「あぁっ♡」


 瞬間、ズブンッと勢いよく肉棒が膣内に突き刺さる

 ミチミチと肉をこじ開ける音がし、瞬く間に最奥まで到達する

 ギュッとモルガンの足が立香の腰に絡みつき、同時に内部に肉棒を捕らえた膣がガッチリ固定してくる


「んん……ふぅ……♡ 頭がジンジンしますね、これは……♡」

「ちょっ……♡ モルガ……♡ 締め付け凄っ……♡」


 ぎゅうぎゅうと圧迫してくる膣内。内部の襞がピッタリと彼の肉棒にくっつき、奥の子宮口がゴム越しにディープキスを交わす

 彼女の腕が立香の背に回り抱き寄せられ、腰をしっかり挟み込む足も併せて立香は上に乗った有利な体勢にも関わらず動けなくなってしまった


「このまま中に出して下さい♡ 我が夫の熱を、感じたいのです♡」


 ぐちゅぐちゅと密着したまま、腰が振られる

 ピッタリ体が重なっているからか、胸が激しくこすれ合い、マシュマロのように柔らかい感触が立香の自意識を削り取りに襲い来る

 熱い吐息が耳元に吹きかけられ、首元と髪から香る彼女の匂いと甘いフェロモンが彼の鼻腔をくすぐる

 立香もまた彼女に合わせるように腰を振り、膣内を必死に掻き回す


「あぁ♡ はぁ♡ あぁ♡ これいいです、我が夫ぉ♡」

「はぁ……はぁ……モル、ガン……♡」


 二人の腰が加速し、密着が更に強まる。お互いの背に腕を回し、より相手の存在を感じ取ろうと首元に顔を埋める

 そして二人がとうとう言葉すら発さず、押し殺したような息だけするようになってすぐ


「んっっっっ♡」


 ひときわ強く抱きしめられ、モルガンは噛みしめるように絶頂する

 膣内では精液が流れ込んでくる感触が走り、彼女に深い充足感を与えた


「ふぅ……ふぅ……」


 何分か二人して余韻に浸っていた後、立香はヌポンと音を立てながら肉棒を引き抜く

 精液を溜める袋はアルトリアの時と同じく真っ白に膨れ上がっていて、自分はこんなに出したのかと感慨を立香に抱かせた


(さすがに疲れた……もう寝ようかな)


 棚に置かれている時計を見れば、既に十時を過ぎていた

 ベッドは汗や愛液でグチャグチャになっていて、使われる前の清潔感はどこにも見当たらない

 これではもうシャワーを浴びても意味ないだろうと立香はコンドームを取り外した後、背からベッドに倒れ込む

 何かシュルシュルと布を擦るような音がしたが、気のせいだろうと立香は切り捨てた

 そして二人はどうだっただろうかと既に眠気が襲ってきた頭を働かせながら、二人がいるであろう場所に目を向けて


「……え?」


 新しくコンドームを取り出している全裸になった二人の姿に、疑問符を浮かべた


「え、もう終わりじゃないの」

「? えっ、何言ってるんですか? まだ一回目ですよ?」

「その通りです。これで一巡目。まだまだ離れていた時間の穴埋めには足りません」


 ズイッと二人が両側から迫ってくる

 二人の目は据わっており、瞳孔の内側には昏い炎が見えた

 この瞬間、立香は自分が昼前に思ったことを思い出す


(……そういえば、五年間ずっと思われてたんだった)


 そりゃそこまで保たれる熱量とか尋常なものではないよね、と立香は一人納得し


(次の朝には自我が残っているといいな)


 獲物に飛び掛かる肉食獣のように襲い来る二人の姿に、今日の生存を諦めた


「んーっ♡ んーーーーーーっ♡」


 その夜、ホテルの一室では大きな粘ついた水音と幸福に満ちた悲鳴が響き続けたという




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 翌日


「そういえば、二人を受け入れると言ったけど、具体的にどうしようか」

「その件については問題ありません。あなたはただ、私たちが迎えに来るまで待っていてください」


 シャワーを浴び、喉を潤し、三人で朝食を楽しむ中、立香はふと昨日思ったが言うタイミングを失った疑問を告げる

 自分が今住んでいる国も、二人が今拠点にしている国も、両方とも重婚を許す法律がない

 片方愛人にするのはちょっとなぁと悩む立香に、モルガンは済ませた顔でそう告げた後に悪い魔女のような笑みを浮かべた


「安心なさい。必ず、なんとかしますので」

(あ、これ目的のために障害物なぎ倒し爆走する猪モードだ……)


 倫理と恋情の板挟みに悩み苦しみ続けるアルトリアにハーレムを提案したのは彼女なのだろうと立香は予想し、高校大学時代の彼女が行った悪辣極まる謀略の記憶と、それを為した理由の重過ぎる家族愛に軽く引きつつ頼もしいと思った

 アルトリアは朝食の美味しさに笑顔で舌鼓を打っていた


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