あるヴァンパイアの災難
ベリーメロン「んぅっ♡やめ、んんっ……」
ベッドに押し倒されたヴァンプ・オブ・ヴァンパイアはくぐもった声で叫んだ。
吸血鬼の王の配下である彼女は、その息子である少年にこうされるなんて予想していなかっただろう。
聖痕を持つ聖女と吸血鬼の王の間に産まれた彼はまさしく何でもできる怪物で、一介のヴァンパイアでは一溜りもない。
「お、お止めください、王子!」
服を引きちぎられ、乳房を我が物顔で揉みしだかれながらそれでも止めようとする。
されど聞かない。なんせあの王の息子なのだから。
「んぅっ♡」
勉強は嫌だ。でもこうやって女に手を出すのは楽しい。そんな趣味をしているらしい彼は、母親からの勉強責めから逃げ出してきたのだ。
「お、王子っ……わ、私はまだハジメテでっ……」
首筋を甘噛みしつつ、剛直した肉杭を擦り付ける。
ハジメテなんだ?じゃあ卒業できるね?と軽い調子で彼は彼女の中へと腰を押し進めていく。
「んんぅっっ♡ああっ、そんな、あっ♡」
吸血鬼はこういった色事が好きだ。
嫌がっていてもこうして犯せば好き勝手できる。なまじ父親がそうやって母親を手に入れたのだから、彼の価値観も完全に染まっている。
「ひうんっ♡んあっ♡んんぅっっ♡」
胸を掴んで揉みしだきながら腰を振るえば、彼女は大きく乱れるばかり。
このままたっぷりと子種を刻んで……
「――ほう、脱走したかと思えば、婦女暴行とはな?」
聞こえてきた声に、少年はぎょっとする。
焦って逃げようと窓から飛び出すがもう遅かった。
「おしおきだ、バカ息子め」
閃光が彼を包む。それが強烈な雷だと知っていたが、彼はそのまま意識を途絶えさせた。
「全く……」
黒焦げとなったバカ息子を担ぎ上げるヴァンパイア・ロードの妃となったフルルドリス。
彼女は非常に不本意ではあるが、なんとか立ち直ったのちに吸血鬼全体の意識改革を起こすことにしたという。
それがどんなものだったかは置いといて、最強の聖女騎士が吸血鬼の力をてに入れたのだから、今となってはロードですら喧嘩で勝てないと噂されるようだ。
「えっと……こっわ……」
ヴァンプ・オブ・ヴァンパイアは一連の騒動を見ながら、ただ一言そう呟くことしかできなかったという。