あるちゃん×女先生(ラスト)
跪いて、彼女を見上げる。
「本当にいいの?」
指先で、チョーカーを弄るご主人様は、私の顔を見る。
それは、そうだろう。
だって、それは、契約の証。
ヘイローをそのまま模したそれを付ければ、私が誰のものか。
はっきりとわかってしまう。
けれど、私はそんなことを理解しながら、何度もうなずく。
こんなお預けは、残酷だ。
私の視界は、みんなを見てしまった。
チョーカーを付けているのは、ムツキとヒナだけ。
けれど、ほかの子たちも、しっかりと同じ紋様の入ったアクセサリーを付けている。
例外は、一人だけ。
私以外は、バラの紋様を付けている。
ただ一人。私だけがこの場で部外者なのだ。
「私を、ご主人様のものに、してください」
私は、頭を地面へと擦り付ける。
こんなのじゃ、足りない。
本当は、服だって投げ捨ててするべきなのに。
「もう……そんなに、不安にならなくていいのよ?先生」
かちゃん、と。
首の後ろで響く音。
そのすぐ後に重力に従って首に触れるレザーの感触とちゃりっとこすれ合う金属の音。
指先で、そっと、首をなでれば、そこにはもう、私が欲していた重さが、私を縛り付けていた。
「ちゃんと、私のモノに、してあげるから」
耳元でささやかれる声に、私の中心が、きゅんっと跳ねる。
「ほら、上を向いて?」
「ぁ、え、っと、ごしゅじんっっっ」
その声に彼女を見上げた瞬間に奪われる、私の唇。
そういえば、キスなんて、初めて。
彼女としていたのも、奉仕であって、……そんなことはしたことがなかった。
熱いものが、私の中に入ってくる。
ご主人様の一部が、私の内側を撫でまわすように、貪っていく。
私の舌が、吸われ、食まれ、撫でられ、味わわれる。
「ほら、……そういえば、先生とはキス、まだだったものね?」
「ひゃ、ひゃい……」
そういって、情けなく彼女を見る私は、ご主人様に体を寄せられ頭を撫でられる。
昂る、私の心を落ち着かせるように。
経験豊富な、目の前の生徒相手に、先生であったはずの私は、一人の生娘であると教えられる。
ご主人様は少しだけ離れて、私に落ち着く時間をくれる。
そして、ふと、私は視線を感じた。
それは、辺りにいるみんなからのもの。
今まで、大人である先生に向けていたものじゃない。
……それは、いうなれば、後輩。
新入部員を見守る、優しい先輩たちの瞳。
途端に、顔が熱くなるのを感じる。
別に、今まで、彼女たちを下に見ていた、というわけじゃない。
自分のほうが弱くて、守られているのは、ずっとわかっていた。
だが、心の中であったのだろう。
大人なのだから、彼女たちとの線引きとして、見てあげるべきという、そんな意識が。
これから、私は、みんなの後輩になる。
いや、なったのだ。
「……、皆さん、どう、したらいいか、おしえて、ください……」
だから、助けを求めてもいい。
先生、じゃなくて、ここにいるのは、彼女たちの後輩の……。
えっちはつたいけんの一年生だから。
そして、その助けを求めた声は、彼女たちに届いた。
「もー。しょうがないなぁ」
「ほら、足を開いて?」
耳元で、いじわるな女の子の声と、冷静そうな少女の声が響く。
そういいながら、先輩たちは、恥ずかしがってもじもじとすり合わせていた私の脚をあっさりと開いてしまう。
「つぎは、かわいくおねだり」
「だいじょうぶ、アルはちゃんと先生のことも食べてくれるよ」
二つの声が、耳元で私を蕩けさせる。
やさしい、やさしい、二人の悪魔のささやきに、私は、自分の普段から、使ったことのないその場所を指先でしっかりとひらいて、ご主人様に見せつける。
「ごしゅじんさまっ……き、きてくださいっ……」
秘所を開く指先はここまでで蕩け切った私の蜜が、絡みつく。
熱くて、ここに来るまでで冷え切った冷たい指が溶けてなくなってしまいそうだ。
一体、今の自分は、どんな顔をしているのだろう。
もう、何もかも分からなくなった私は、ただ、目の前の人に乞う。
慈悲と、恵みを。
「えぇ、ちゃんと、食べてあげるわ。先生。骨の髄まで」
ただ、違ったことは、……私が自分を捧げた相手は、多くの悪魔(ゲヘナのせいと)たちを飼い慣らす悪魔たちの首領であったこと。
やっと、私の前に現れた彼女の肉棒は、ただそれだけで、私の心臓の動悸を速め、私の体を熱くさせる。
彼女は、そのまま、濡れた私の肉壺へと先端をあてがい、ためらいもなく私の奥へと突き入れる。
「ぁっ♡そこっ♡♡」
初めての痛みなど、感じる暇はない。
彼女の与える快楽は、それ以上。
一体、どれほどまでにそういう経験を積んだのだろう。
数度かき回しただけで、私の弱点はあっさりと暴かれて、私の体は快楽に抗えずに何度も跳ねる。
「ふふっ、簡単に蕩けた顔して、かわいいわよ」
たん、たんっと、腰を打ち付けられるたびに、私は自分の性器がいやらしく、卑しく、彼女のふたなりに媚を売っているのを自覚する。
離れていくのを逃がすまいと、ご主人様の精をはやくとねだるように、私の雌が彼女のそれにまとわりつく。
けれど、まだ、まだ駄目と、彼女の肉棒はあっさりと私のそれを引き離して、辛い待てを命じてくるのだ。
まるで、私がずっとご主人様のモノになれなかったときのように。
「♡だ、め♡ごしゅ、さま♡わた、し、たえられなっ♡」
だが、そんな強烈な攻めに、私の体は耐えられなかった。
体に与えられた快楽は、まだ、ご主人様を気持ちよくさせてないのに、勝手にイこうとする。
食いしばって、それに抗おうとしてる私。けれど、ご主人様に突き上げられるたびに歯が浮いて、ほどけそうになる。
「いいのよ、耐えなくて、……イって。私に、かわいいところ、見せて頂戴?」
「ぅ、ぁあああああっ!!!!~~~~~~~♡♡♡」
そんなことを言われたら、頑張れない。
私の快楽に耐える心のダムはあっさりと決壊して、流れ込む快楽に身を任せて達する。
けれど、ご主人様は、そんな私の痴態を眺めながら、ゆっくりと私の体に触れていく。
「大丈夫、今日は、私のことを気持ちよく、なんてかんがえなくて。ちゃんと使ってあげるから……」
だから、私の前で蕩けて、なくなっちゃいましょう?
ねぇ、先生?
彼女の、柔らかくて甘い、悪魔のささやき。
それが、私が先生でいられた最期の日の記憶であった。