あるちな本番1
「で、誰かいい子、いないかしら……」
「……ほかの子の話?」
「こういう時じゃないとできないでしょ」
腕の中で、疲労の色を残したまま見上げてくる先生の額に、アルは優しく口づけを落とす。
餅は餅屋。
であれば、生徒のことを聞くのであれば、先生。
その考えに行きつくのは、当然の帰結であった。
「別に、私はもちろんあなただってかまわないのだけどもたないでしょ?」
そう耳元でささやきながら、先生の当初より大きくなってきた胸をじっくりと揉みしだく。
「積極的な生徒……アカリ、とか」
「まぁ、確かにそういう悪魔かと思ったし、実際最後まで相手できた一人だけれど」
「違うの?」
「あれは、攻めじゃなくって捕食だもの」
すごく気持ちがよかったし実際満足はできたようだ。
だが、どうやら違ったらしい。
「ぁ……そういえば」
「ん?誰かいたの?」
「チナツは前に温泉に行ったときに、すっごく積極的だったよ。女の子同士だけど、食べられるかと思うくらいに」
「……へぇ」
むらり、と、明らかにアルの中の性欲が高まり、中で出したばかりのそれが硬くなるのを感じる。
それに嫉妬したのか、
「……ご主人様。今は、私の相手してほしい」
「もう、分かってるわよ。ちゃんと覚悟しておいてよ?」
当然、目の前の彼女をそのまま、その日の夜は、先生を抱きつぶしたのだった。
「今日いいかしらチナツ」
そんな話があった次の日。
「……アコ先輩からいわれたんですか?」
「?昨日はアコ来てないわよ?」
勿論、そんな話を先日されたばかりのチナツにとって意識せざるを得ないのは先輩の顔。
「ちょっとアコ先輩からそういう話があったので……。ですけれど。私、初めてですよ」
「大丈夫よ。ちゃんと、優しくするから」
「……わかりましたよ」
連れ込まれるのは、風紀委員会のベッド。
万魔殿のいやがらせか、あるいは、風紀の誰かのいたずら心か風紀委員長室の隣に作られたそれは、防音効果が非常に薄い。
「改めてすごい趣味ね」
「本当に、そこは同意します」
そういって、二人は唇を重ねる。
初めてのチナツをリードするように、その緊張をほぐすように、優しく短いついばむようなバードキス。
一度、二度、三度。
息の苦しくない程度に合間を空けながら、チナツの初めてはアルによって奪われていく。
「ふふ……どう?初めての経験は」
「……思ったより、悪くは、ないです」
「そうよかった」
そのあとも、アルは、じっくりとチナツの体を味わう。
彼女の宣言通り、初めての相手には、よほどのことがない限り優しくしている。
……とはいえ、襲うときは、大抵、その余ほどではない状況なのだが。
「……」
だが、それでは、不満なのが彼女だ。
……別に、彼女だって、エッチなことが嫌いなわけではない。
普段は、誰もやらないようなことをやったりする真面目な彼女も、休みの日には、ゲームセンターにいったり、ショッピングセンターにいってみたり、どこにでもいる普通の少女。
えっち自体に興味がないわけではない。
それに、周りがあれだけ楽しんでいるのだ。想像以上を期待したって、いいはずだ。
しかし、与えられるのは程よい快楽。
勿論、これには理由がある。
未だ、経験のない彼女相手に、いきなりの挿入は負担になる。
だからこそ、最初は雰囲気を作って、じっくり慣らして……。
と、アルなりにプラン立てていた。
「……我慢できません」
しかし、彼女には、それが、あまりにももどかしかった。
なまじ、仲間や、知り合いが何度もしている現場を見ている彼女にしてみれば、それらの作業はひどく緩慢な下準備だった。
「へ、ちょ、ちょっと、待ちなさ……」
「待ちません」
まだ、抱き合っている段階でしかなかったのと油断していたこともあって、アルはあっさりとチナツに押し倒されてしまう。
「ちゃんと、私を味わってくださいよ……アル社長」
そういって、チナツはアルを見下ろしながら、アルの剛直へと一気に腰を下ろした。