あにあか蛇足短編集。※キャラ崩壊

あにあか蛇足短編集。※キャラ崩壊


※新作映画ネタバレ厳重注意。まあこれはマジで蛇足書いてるだけだから見なくて良い。

当SS「ONE PIECE FILM RED (with Aniwara's Pirates) 」、読んでいただけて嬉しいです。ありがとう御座いますマジで。一応「原作だと死んでもうたから生きて贖罪(心中ライブで世界を巻き込んだ分だけ)させな・・・」と思ったのが構想の始まりでした。ハイ。まあわざわざあにわらスレを埋めてまでやる必要あったか、は思いましたが。勢いとノリのまま突っ切りました。あざす。

当SSは入れたかったけど入れなかった部分や、取り敢えず書きたかった「どうでも良いシーンの短編集」です。ウタとあにわら一味を絡ませたかっただけです。よければ。


これは、もしかしたらあったかもしれない一幕である。時系列はエレジアライブ事件以後に当たる。「赤髪海賊団」は愛娘との再会を大いに喜んだが、しかしとてやるべきことも多く、急遽出港。娘と別れることを泣く泣く受け入れたシャンクスは、直前に「麦わらの一味」にしばらく彼女を見守ることを頼み込んだ。

※組み合わせはあみだくじサイトでテキトーに決めた。



①家族に送る。


シャンクスとホンゴウが、明後日いなくなる。

城中の掃除に忙しく、やっと来たお昼休憩。弁当のサンドイッチを口に入れたタイミングで、ゴードンから伝えられた報せ。ウタは激怒した。また黙って置いていくのか、と。


ゴードン「彼等もとても渋っていたが、どうやら海賊としての仕事が多いようだ。まぁシャンクスの方なんて現実逃避して無かったことにしようとしていたよ」

ウタ「・・・言ってくれても良かったのに」


しょんぼりとうな垂れるウタを撫でながら、ゴードンはこう言った。


ゴードン「彼等も子供の君をこれ以上は悲しませたくなかったんだろう。・・・そうだ、折角だから何かプレゼントでもしてみたらどうだろう。きっと喜ぶ」



午後の応接間。紅茶の香りが漂う15時。


ウタ「というわけで、ただいまより会議します!」

チャカ「成程、それは緊急だ。早急に対応せねば」

キング(チャカはまだ良いとしても・・・俺には分からんのだが)

ウタ「議題はさっき言ったとおりプレゼントに何が良いか!忌憚なき意見お待ちしてます!」

キング「適当に相手の好きなもので良いんじゃないか?」

ウタ「私、お酒分かんないもん」

チャカ「フム、親へのプレゼントか」

チャカ「私は所帯を持たずに海賊への道を選んだから家族というものがどうにも分からない。それでも、長い間共にいれば家族のように思えてくることがある」

チャカ「共にいた仲間の成長を見ることができる。これが一番のプレゼントだな。私はそう思う。・・・ハハ、まるで本当に親みたいなことを言ってしまったな」


実際の所、チャカは「一味の母」と言っても差し支えない。洗濯や日程調整、裁縫や相談などと細かい所から重要な事まで、大体率先して世話を焼いてくれている。悲惨なことになった船体を何度修繕してくれたか。何度嫌な顔せずに相談に乗ってくれたか。実はキングも色々と世話になっている節がある。主にメンタル面。


チャカ「君の特技を生かすのが一番良いだろう」

ウタ「良いね!決定!チャカさん有り難う!」

ウタ「キングはどう思う?」


困惑した。何せ家族も故郷も何処ぞの政府に台無しにされてからそういうものとは無縁なのだ。プレゼント?考えたことも無い。そもそも相談相手間違ってるぞ。何でその時部屋にいただけの俺を巻き込んだ。こんな仏頂面なぞより聞くべき人間はいただろ。

しかしどうする。こんなまるで可愛らしい子犬のような目で求められているのに何も答えないのは良くない。チャカへの同意?話を聞いているのか疑念を残してしまう。だからって代案など思い付かない。考えろ。この時俺ならどうしていたか・・・以前うるティとページワンに土産として海王類なんて持っていったら引かれたことだけは覚えている。


キング「・・・・俺も手伝う。どうせやることもないんだ」


絞り出した答えは彼女に取っては嬉しかったようだ。その邪気のない笑みはいつも苦手だ。どう思えば良いのか。



だからと言って。


キング「・・・おい」

ウタ「ん?」

キング「特技として自らの歌を録音して渡すのは分かる。だが俺のコレどうにかならなかったのか」


両手にあるのは、銀に光るトライアングル。鳴らすとのっそりと発する金属音がシュール過ぎる。


ウタ「だってこの歌シュールさで推してるし。キング重要ポジだからミスしないでね」

キング「お、おぅ・・・」


その後録音室を通りかかった仲間に悉く笑われたが、何とか曲は完成した。ロロノアには「ウチの故郷でやってる葬式みてぇ」と言われた。もう少し物の言い方をだな・・・・


チャカはその様子を見守っていた。録音後も、牧場で乳搾りを一緒にやったり、寝落ちしたウタに毛布をかける所も大体は見ていた。


ウタ「重い!コレ持って!」

ウタ「違うよ、ここはもっと可愛らしいデザインで・・・」

ウタ「キング~助けて~」


キング「ええい、勝手に先々行くな!ちゃんとやるからじっとしてろ」

チャカ「まるで妹ができたみたいだな」



ウタ「シャンクス、これ。皆で分けてね。昔みたいに独り占めとかしないでね」

シャンクス「誰がガキだってんだ!・・・随分と用意してくれたんだな」

ウタ「そ。ウチ特産の牛乳とバターと私の新作を録音したのとキングが作ってくれた写真立てと海王類の干物とアルバムとガラス細工と・・・・」

チャカ(まるで妹にせっつかれている兄だったな、微笑ましいものだ)

キング「何生暖かい目で見てるんだやめろ」



②師匠と弟子とライバル。


エレジア島・海の見える丘にて。


カイドウ「良いか、どんなヤツでも体力はいる。まあ病み上がりだができることから鍛えるぞ」

ウタ「はい、師匠!」

ロー「調子に乗ったらドクターストップをかけさせてもらうからな」

ウタ「へっへー、私そんな弱くないもん」

ロー「知らねぇからな」

カイドウ「そうだな・・・まずはどこまでできるかを見たい」


(カイドウが横にあった5メートルくらいの岩を片手で掴む)

(まるでボールを扱うように軽い感覚で海に向かって投げる)

(海王類に当たる)

(海王類が白目を剥いて沈む)


カイドウ「やってみろ」

ロー「できるかぁ!」

ウタ「は、はい!」

ロー「真に受けるな!」

ウタ「うーん、うーん・・・師匠、無理!」

ロー「本当にやろうとするな!腰を痛めたらどうする!」

カイドウ「あー無理か・・・なら」

ロー「そうやって別の無茶させようとすんじゃねぇ!普通に軽いストレッチとジョギングからで良いだろうがァ!」

ウタ「大丈夫、私トラ男には負けないから」

ロー「ハッ、海賊が一般人に負けるかよ。てか何だその渾名」

ウタ「いずれ、ジェルマの格好良さ、その身に刻むって決めてるから・・・」


正統な読者「あ?何言ってやがる・・・ソラこそが至高だろう!」

視聴者から紹介されてはまった女「遅れてる~。最近はジェルマの方が人気あるし」

厄介オタク「んだと?」

隠れたジェルマガチ勢「実際この前のスピンオフなんてソラよりも・・・」

北の海生まれの性「やめろその話するな俺届いてから(記念日に合わせるため1ヶ月前から)まだ読んでないんだぞ!」

ウザ絡み大好き「よーしネタばらしー!このスピンオフのオチは、ソラが」

意外に素直じゃないヤツ筆頭「待て!叫ぶな!逃げんじゃねぇ!」

意外にかまってちゃん「やだー!」


キャーキャー ドタドタ・・・ ワーワー


この時のトラファルガー・ローはそこまで考えてはいなかったが、「歌姫」の回復を心から喜んでいた人物の1人「であった」。ホンゴウから治療と回復までの道のりを支える役目を引き継いでから、彼女を無事に治そうと貢献していた。最初は事件のこともありショックを隠せず、内向的になっていたのも仕方が無いことで、それでも精神的に少しでも楽になれたら、と色々と試行錯誤を経て現在に至る。怪我に関しては大分治癒が進んでいたのが幸いした。

最初はいたたまれなかった。時に泣き出し、俯き、何も口にしないこともあった。事件のことは勿論、再び親と離れることが余程堪えたのだろう。どうしようもなかった訳ではないが、どうすれば良いのか彼女の幼なじみや音楽の師にヒントを求めることもあった。

しかし、水をやれば芽が生えるのと同じで、大切に接し続ければいつしか心を開くこともできうるのだ。彼は家族やコラさん、くれはから受け取った愛と優しさを不器用ながらウタに分け与えた。どんな心変わりがあったのかは分からないが最後には笑顔で親を見送ることもできたようで、「また会えるから、その日が楽しみ!」と言っていたのを見てどれ程安心したことか。

・・・・・・ただ、ここまで鬱陶しくなるとは思わなかった。


ウタ「食らえ!ウタウタの四の字固め!」

ロー「離せ、てかちゃんとできてねえじゃねぇか!絡まってるだけだ!」

カイドウ(俺のバカ息子もこれくらい素直で元気だったらなァ・・・)

偶然通りがかったルフィ「いや止めろよ」



③幼なじみ。


ウタ「そう言えばさ、2人から見てルフィってどうだった?」

ドレーク「・・・どうした?」

ウタ「私、小さい頃のアイツしか知らなくて。だから2人はどう見てるのかなーって」

ゾロ「あー・・・」

ゾロ「アイツとの出会いは、俺が海軍に捕縛されていた時だった」

ゾロ「それで、言われたんだ。基地に侵入してきたアイツに」


“お前の刀は取り返してくる!だからおれの仲間になれ!”


ウタ「・・・脅迫?」

ドレーク「まあ脅迫だな」

ゾロ「それで俺もついていったのさ。アイツは俺の夢を笑わなかった」

ウタ「夢?」

ゾロ「世界一の大剣豪。幼なじみと誓ったんだよ」

ウタ「幼なじみ・・・」

ゾロ「丁度お前みたいなお転婆なヤツだった。まぁお淑やかなとこもあったにはあったが・・・」

ドレーク「成程」

ウタ「「みたいな」ってどういうことさ「みたいな」って。ドレークも同意しないで」


人の夢は決して笑わない。それがルフィのスタンスである。かつて自身がそうだったことが影響してか基本的に弱虫には冷たいが、それでも勇気を出した者とは対等に接する。その姿勢が一貫していることに、ウタは嬉しさを感じた。変わっていないのだ、あの時と。フーシャ村のはなたれ小僧はそのままに、大きく成長していた。そして、ゾロ達と自分達が同じように映った。きっと、子供の頃ながら真剣に考えたのだろう。


ウタ「良いね、お互いに誓った夢。ドレークはどうだった?」

ドレーク「俺は幼なじみはいなかったが・・・そうだな、海軍にいた頃には沢山の仲間がいた」

ドレーク「その中でも、いつも葉巻咥えた厳ついヤツがいてな。そいつとはよくつるんでいたものだ」

ドレーク「今となっては海賊に墜ちたことで敵同士だが・・・お互いに掲げた「正義」の2文字は変わらない」

ウタ「唐突にぶっ込んできたね凄い過去」

ゾロ「そんなこと言ったらお前も・・・」


ドレークには幼なじみはいないが、沢山の同期や仲間に囲まれていたのは事実だ。上司であるセンゴク相手でも突き通した自らの揺るがない「正義」。それが不変のものだからこそ、センゴクも彼の脱隊を認めたのだろう。ドレークのことを最も信頼していた同期はそれを認めなかったが、それでもお互いの信条を疑うことはしなかった。


ウタ「変わらないものかぁ・・・」

ドレーク「譲れない己の根幹でもあるからな」

ウタ「私も頑張らないと」

ゾロ「じゃ、言ってた復興ライブだったか?今度こそ呼んでくれよ」

ドレーク「いや、前回はお前等が酔い潰れてただけでは・・・」



④サニー号内キッチンにて。


まずは、カンカンに熱した中華鍋に油を注ぐ。パチパチと跳ねる音。熱気が厨房を駆け巡り、カウンターに座る2人の五感も持っていってしまう。

油の次は溶き卵。明るく、オレンジがかった黄色が油・空気と混ざり、その次に真っ白な米を投入するときには卵は既に加熱済み。しかし、休ませる暇も無く一気呵成に炒める。混ぜる。薄い黄色と淡い白が軽やかに混ざる。

さて、主役の次はそれを彩る具材。エビ。貝。あとは見た目と薬味のためにネギをたくさん。そして秘伝の香辛料も忘れずに。


サンジ「さ、できたぞ」


大皿に盛られたのは、黄金のチャーハン。


ルフィ・ウタ『いただきまーす!』


サンジが驚いたことは2つ。1つ目はこの「歌姫」、結構食べる方なのだ。

当然ルフィやゾロ程では無いにせよ(寧ろ彼等が異常)、平均的な量を一回り超えるくらいならペロリと平らげてしまう。まあ先日のライブで久々にやってた「チキンレース」、アレを見て「まさか」と頭の横隅で考えていたが本当にそうだとは。美味しく味わって貰えることは料理人名利に尽きる。


もう1つ、これは驚愕よりも個人的関心に近いものだが。


ウタは奉仕的精神が強い。配信も「皆のため」、例の「計画」も「皆の笑顔」を守るため。何なら「エレジア残留」も、恐らくだが「育ててくれたゴードンへの恩返し」もあるのだろう。あくまで個人の考えだが。

そこにサンジは親近感を感じ取った。自分も「人のために何かをすること」に最も喜びを感じる。別に報酬なぞ求めてはいない、ただ「自らを許してくれる居場所」さえあればそれで良い、それ以上は求めないし迷惑はかけられない。ずっと冷たい牢獄の中で全てを否定された日々が時に思考と心を蝕むが、仲間達が居場所を守ってくれているから何とか元気にやっていけているし、過去も自分なりに清算できた。

その点彼女のことが心配だ。余計なお世話かもしれないが、過去の清算というのは少なくない比重を占める。耐えられずに逃げ出してしまうこともある。差し伸べてくれた手を、優しさを知っておきながら拒んでしまうこともあるかもしれない。果たして彼女が乗り越えることができるのか。もしもあの時(皮肉にも自分も望んでいたことだが)助ける事を諦められたら。同じようなことが彼女の身に起きたなら。・・・そんな考えが、サンジの脳内をぐるぐると回る。

それに同じ立場とはいえだ。自分からは心配の声をかけることすらできない。何故?心配してくれること、自らを思ってくれることの暖かさと、そして同時に来る冷たさを知っているから。「相手の負担になってしまう」という罪悪感が、まるで重しのついた錠のように纏わりつくあのぞっとする感覚を経験しているから、何も言い出せない。

そう思えば、何度も救われてきたもんだ。義兄弟を失ったのに、家族も国も奪われたのに、忠誠を誓った者がいなくなってしなったのに、妹と最悪の再会を遂げたのに、信じてきた現実を不条理によって覆されてきたのに、夢を誓った幼なじみを失ったのに、出来損ないとして捨てられたのに、思い出したくもない過去を背負っているのに、いつのまにか夢を見ることもできなくなっていたのに。その手を差し伸べてくれるお前等だって、居場所を創ってくれるお前等だって、無理してるじゃないか。だから、俺だって。そう思ってしまう。

だから、このレンゲを持っている、小さく繊細な手を、守ってくれる人が離れませんように。お互いに相手のためを思える、そんな縁に温かく包まれますように。サンジは何も言わない。ただ、自分のできることをするのみである。


2人『サンジー!おかわりー!』

サンジ「オーケー、少し待っててくれ」


だから今は、自分の思いの結晶を味わってくれますように。


⑤可愛いもの。


ウタ「そう言えばさ」

モネ「どうしたの?」

ウタ「あの子の名前、無いの?」

モネ「無いわね」


おかしい話である。仮にもずっといる仲間なのだから、名前くらいあっても良いだろうに。水辺でいそいそと脚を掻いて泳いでいるドラゴンを見守りながら、その話題は始まった。ここは晴れの日は絶景のビーチとなる。


ウタ「じゃ、名前つけてあげよう」

モネ「あら、考えてくれるのね」


「一味」のネーミングセンスは揃って壊滅的なので、これが非常に助かる。


ウタ「うーん・・・ドラちゃ」

モネ「その呼び方は何かと被るから良くないわ。それに性別が違うかも」

ウタ「え?あ、そうだね。じゃ、ゴn」

モネ「それも何かと被るから良くないわ」

ウタ「え~?難しいなー」


否定されたのが悔しいのか、むすーっとした表情で考え続けるウタ。


モネ「フフ、可愛いわね」

ウタ「モネは何か無いの?案」

モネ「そうね・・・・・・」


ふと思い出す情景。それは故郷の家で、初めてのペットとして買ったカナリア。まだ小さかった妹と、必死に考えて決めた名前。結局そのカナリアは天寿を全うするまで一緒にいたが、妹と2人で仲良く育てていたことだけは覚えている。


モネ「一応は考えているのだけれど・・・「ラズリ」なんてどうかしら」

ウタ「良いじゃん」

モネ「でしょ?でも反対されたのよ。かっこよくないって」

ウタ「風情のない奴等だなぁ」


そう言って再び、海に視線を向ける。そうあの日と同じ。あの日も妹と一緒に、その小さな手を握りながら、海を見ていた。出身地特有のギザギザとした海岸から、雄大な世界を見ていた。軍艦と落下傘が故郷にやってきたその日まで。

そのすみれ色の瞳と、今はもう側にいない妹の翡翠の瞳が重なる。どうやら、自分はまだ妹離れできていないらしい。

今は申し訳ないかもしれないけど、彼女を通してあの日々に思いを馳させてほしい。自ら除いた手の代わりに、翼をもってウタの頭を撫でる。どうやら相手も悪い気はしないらしく、なついた犬のようにご機嫌に寄りかかってくる。愛しさと幸せに満ちたこの時間がいつまでも続くように。



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