あなたなしでは生きていけない!

あなたなしでは生きていけない!


「…あかん。どないしよ。いやほんまに何があかんかったんや…」


色移りしたシャツを見ながら、1Kの部屋で独り言つ。

せっかく覚悟を決めて家を出たというのにこんな体か。辛い。

掃除は出来る。料理はこの際外食でいいし流石に冷凍食品くらいは用意できる。

問題は洗濯。家では女中にポイで良かったからホンマに右も左もわからん。

まあ、こういうのはGo〇gle先生に聞いておけば大体何とかなる。家にいるうちにネットに慣れておいたのがナイスプレイすぎる。自分を褒め称えたい。

「えーと…漂白剤使えばええんよな。これか」

とりあえず手元にあったハ〇ターをぶち込んで、色移りした服をまとめて入れる。

洗濯機のスイッチを入れる。まあどうにかなるやろ。




どうにもならんかった。

今度は真っ白になったシャツと睨めっこする羽目になって漂白剤に種類があることを知った。どうせいっちゅーねん。

もうちょっと詳しく調べてからやるべきやった。今となっちゃ後の祭りだが。

腹も減ったし、メシ食ってくるついでに服買うか…


「ミラノ風ドリアとグリーンサラダで」

「ミラノ風ドリアとグリーンサラダですね。お飲み物はお付けいたしますか?」

「大丈夫です」

やっぱりサ〇ゼは最高や。安いしうまいし大体どこにでもある。うん、自炊せんでも呪術師は給料高いしなんとでもなるな。この間料理大会で作ったオムライスという名のダークマターから目を背けているわけではない。決してない。

腹を満たして、ユニク〇に向かう。とりあえず同じシャツを買い足しておく。黒はええ、多少任務で血がついても平然とした顔でいられる。

そう、今日も任務で汚れた服を洗おうとしてあんなことになったのだ。さすがに血の付いた服をクリーニングに持っていくわけにはいかへんし、死活問題と言える。

まあさすがに何回もやれば覚えるやろ!



今日も今日とて血の落ちない服と目を合わせる。どないしよ。

今回は何があかんかったんやろか。普通の洗濯はできるようになったんに…

流れるようにGooglechr〇meを開いていろいろと調べていると、ある一つのページを見つけた。

「呪術師専門クリーニング店…?」




店員さんに血塗れの服を預け、外の自販機で下段左から二番目のボタンを押す。

この店に始めてきてから数年立った。多少料金は割高だが、爆速で完璧な仕上がりを提供してくれるためすっかり常連になってしまった。店長曰く、術式を利用して洗濯は一瞬で終わらせ、残りの時間はほとんどアイロン掛け等に使っているらしい。

ガコン、と音を立て落ちてきたココアの缶を拾い上げフタを開ける。

毎日同じ甘ったるい味と、毎日家事を人に任せて甘ったれている自分が重なるような気がしなくもなかった。

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