金髪

金髪


ここは新世界のとある島。

「あんたら、準備はいいわね?」

「アイアイ!!サンドウィッチも持ってきました!!」

「買い物も爆速で済ませました!!」

「買い漏らしもなしだ」

「ちゃんと値切ったぞ!!」

「オーケー。それじゃあいくわよ…」


「…」

いつものように放浪するロー。

「それでさー、俺、こけちまったんだぜ?なにもないところで」

「マジかー、ドジだな」

「うっせ」

談笑している男2人。そのうちのドジ、と呼ばれた赤目で大柄な男を

「…」

ローは思わず立ち止まって振り返ってしまった。

「…そっか」

ボソ、とつまらなそうに呟き、また歩き出した。




「きゃぷてぇぇん…」

そんな様子を涙ながらに眺めているシャチ、ペンギン、ベポ、イッカク、ジャンバール。本日の買い出し組である。

「こら、ジャンバール、隠れきれてないわよ!」

と小声で突っ込むイッカク。

「あ、す、すまん…」

「あ!また振り返った!」

「やっぱり懐かしいんだろうなー、今日はコラさんの、十一回忌って、言ってたしな…ウウ…ヒック…あれ…視界が…」

「うう…せんちょお…うう…」

「…コラさん?」

ジャンバールが頭上にはてなを浮かべる。

「ごらざんばね、ぎゃぶでんのね、ズビー おんじんなんだあ゛、ヒック」

涙と鼻水でぐしょ濡れになっているベポ。

「おぢづげベポぉ…ズビー」

同じくずぶ濡れのシャチとペンギン。

旗揚げの頃からいる三人の涙腺は決壊しまくっていた。

「あんたも大概ね。ほら三人とも!これで涙拭きなさい!…でも、いくらなんでも足を止めすぎじゃない?」

「だな。あ、また止めた」

イッカク、ジャンバールはキャプテンへの愛は三人に負けていないと思っているが、流石にこの光景にはドン引きしている。ついでにイッカクは身体中の涙を出さんばかりに泣いている三人にティッシュを投げて寄越した。


「…?コラさん…じゃない、か」

「船長…その人…目、青いよ…」

未だに涙を出しまくっている三人を置いといて尾行を続ける二人。

「………」

「…船長…」

「…今の、写真の人と似てるか…?」

「ぎゃぶでぇん…」


「違う、違う、もっと振り返るならそっくりさんにしなさいよ!」

「姐さん、声出てる!静かに、静かに!!」

そうこうしているうちにもう太陽は登りきった。

食事場所を探す人達があっちへこっちへ行こうとする中、ローだけはあれじゃない、これじゃない、と煙草を売っている店を転々としていた。

「…なあ、」

「うん」

「全然…似てない、よな、あれ。なあぺンギン」

「おれも、そう見えるわ、シャチ」

「キャプテン、全然似てないよ、その人!」

さっきまで泣いてた三人も元気を取り戻していた。

「その人目が青いよ…」

「船長しっかりして!ついに赤目ですら無くなったよ!!」

尾行なんて関係なしにぎゃあぎゃあしだした五人。

この船長の買い物兼船員の尾行は、ローが目当ての煙草を購入するまで終わらなかった。

「なんだかんだ楽しかったわね!」かなり元気いっぱいなイッカクと対照的に、

「船長…」

「なんだか疲れた…」

とヘトヘトのシャチとペンギン。

「でも結局あの煙草なんなんだろう?」

「あれか?」

と、後ろからぬっ、とジャンバールが顔を覗かせた。

「知ってるのジャンバール!?」

「あ、ああ。かなり珍しい銘柄だが、コアなファンは多いと聞く。おれの船員も愛用していてな。確か名前は___」



「__ホトケノザ。あんたの好きだった煙草だ、コラさん」

船長室の一角。そこには長身の男と、今日購入した煙草が置かれていた。

「…センゴクさんもこの銘柄が好きだ、って言ってたな。おれは吸わねェし、残った分は送ってみるか。」

海賊からの贈り物なんて受け取らないと思うが。と付け足す。

「なあ、コラさん。」

「大好きだよ。ずっと。ずっと…!」


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