アオイちゃん××××たいそう編

アオイちゃん××××たいそう編


エリアゼロでのコライドンとの死闘から早一月、アオイには悩みがあった。

否、出来た、と言うのが正しいのだが。


ある日の授業が終わり、放課後にネモとのバトルを楽しみ、夕食はボタンとスター団幹部達に誘われ一緒に過ごした。充実した一日である。自室に戻り、ふぅ、と息つく。毎日が楽しい。授業もバトルも友達もそして…………

脳裏に浮かぶのは、ごめんな、今日補習があって…と申し訳なさそうにする彼の姿。その隣にはバトル学教師のキハダ先生の姿があった。また明日遊ぼーぜと手を振る彼の目線はなんとなく先生の正面……具体的に言うなら胸部に目が行っていたように見えた。


「……………。」


自室の鏡の前で制服を脱ぎ捨てて行く。下着姿になりアオイは顔を下に向ける。全くない、事はないむしろそれなりには……。おもむろに下着も取り払い、全裸になった彼女はまた顔を下に向ける。


「あれ?」


さっきよりも、ない。自分が多少なりともあると思っていたのはあくまで下着をつけた上で寄せて上げられた物であったのか。それは彼女にとあることを想起させた。


コライドンとの決戦にエリアゼロに向かった際の彼の目線の先を。そう、彼は自分には見向きもせず、大人であるオモダカやチリに目を向けていた。いや、人物と言うよりとある体の部位……


つまり彼は、ペパーは、胸が好きなのではないか。


よく聞く話である。男はみんな好きとか、ABC飛ばしてGIHだとかなんやかんやだ。そも、アオイは十代前半、成長期真っ只中であり、そこまで焦る必要性は薄い……筈なのだが。


「わたしの、ちっちゃい……」


同学年にはネモがいる。彼女の斜めに掛けたバッグ、その紐は胸と胸の間を横断する様に掛かっており双丘を強調するようである。間違いなく大きい。スター団のビワ、体格もそうだが彼女の胸も弾けんばかりのハリと大きさ。ジムリーダーのカエデ、柔和な雰囲気も然ることながら膨らんだ柔らかな生地のような胸…………挙げ出したらキリがなく恋する乙女の不安を煽った。


そう、アオイの悩みとは、好きな人が巨乳好き(疑惑)であり、それに反するような自身の控えめな胸元であった。


なお、ペパーの名誉のために述べるが、巨乳好きと言うのはただのアオイの憶測であり、彼女自身の焦燥が見せた幻である。


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