高咲侑に見るデウス・エクス・マキナ

高咲侑に見るデウス・エクス・マキナ

@kleine_comet332

※虹アニメアンチ記事なので、見たくない人はブラウザバックしましょう。


こんばんは。くらいねです。

僕は「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」のアニメが嫌いでしょうがないのですが、Twitterでそんなことを言うとボコボコに叩かれてしまいます。かといってただただ嫌いと言って理由を説明しないアンチになるのも嫌なので、いい機会なのでまとめようと思います。


嫌いな理由を一言で言うと「高咲侑が嫌い」だからです。


話を始める前に、タイトルにあるデウス・エクス・マキナとは何か、wikipediaから引用します。


デウス・エクス・マキナ(deus ex machina、: deus ex māchinā デウス・エクス・マーキナー)とは演出技法の一つである。古代ギリシアの演劇において、劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥った時、絶対的な力を持つ存在()が現れ、混乱した状況に一石を投じて解決に導き、物語を収束させるという手法を指した。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AD%E3%83%8A


いい例えが思いつきませんが、劇場アニメ「プロメア」とかを想像してもらえると分かりやすいんじゃないでしょうか。プロメアではラスボスを倒すために何の前触れもなく「デウス・X・マキナ」という最強ロボットを与えられてラスボスを倒して終わります。「ご都合主義」とか「どんでん返し」とかの言われ方もしているような気がします[要出典]。

https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%87%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AD%E3%83%8A

ニコニコ大百科の方がオタクにとって分かりやすく説明されてる気がしますね。長いので引用はしません。

じゃあ高咲侑のどの辺がデウス・エクス・マキナなの?ってなると思いますが、とりあえず1話から順を追って高咲侑中心にあらすじを説明します。

その前に

まずはラブライブ!とは何か、という私なりの解釈を話しておこうと思います。ラブライブ!とはズバリ、「スクールアイドルの甲子園」です。※スクールアイドルとは学校でアイドルをする部活みたいなものです。基本的にはラブライブ!でもラブライブ!サンシャイン!!でもラブライブ!スパースター!!でも目的は様々ですがラブライブ!と呼ばれる学校でアイドルする人を対象にした大会で優勝することを目標に頑張っています。虹は違います(後述)。

第1話はじまりのトキメキ

この物語は件の高咲侑と彼女の幼馴染、上原歩夢がショッピングする場面から始まります。ここで高咲侑は上原歩夢に「歩夢は何着たって可愛いよ」とか女性向けゲームの男性ヒロインみたいなセリフを言うのですが、それはどうでもいい話。

ショッピングしている途中で彼女らは自分達と同じ学校の生徒の楠木t...優木せつ菜の路上ライブを目の当たりにし感銘を受けます。アニメを見る限りでは、彼女とのスクールアイドルとの最初の出会いでした。そして次の日の放課後、スクールアイドル同好会の部室を探しますが、生徒会長(優木せつ菜の変装)から廃部になったことを知らされます。残念がる彼女は学校の中庭で次のセリフを言います。

「夢を追いかけている人を応援出来たら私も何かが始まる。そんな気がしたんだけどな」

そのセリフを聞いた歩夢は悩んだ果てにその日の夜、「二人で始めよう」といいます。いいですね、ラブライブ!の予感...。

第2話Cutest◇ガール

「でも!こんなの全然可愛くないです!」

結論から言うと、同好会が廃部になったのはメンバーの方向性の違いでした。上記のセリフはラブライブ!で優勝することに必死な優木せつ菜からそんなパフォーマンスでは大好きは伝わらないと言われかすみんが放った一言でした。かすみんは羽陽曲折あってスクールアイドルになりたい歩夢に指導することになるのですが、恥ずかしがる歩夢に自分の思うかわいいを押し付けているのではないかと絶望します。こんな自分が同好会を元に戻すのは無理なんじゃないか、そうかすみんが悩んでいるところに、困るかすみんの想いを聞いた高咲侑は以下のアドバイスをします。「たぶんやりたいことが違ってもきっと大丈夫だよ、うまく言えないけどさ、自分なりの一番をそれぞれ叶えるやり方ってきっとあると思うんだよね。探してみようよ、それに、その方が楽しくない?」解決策が示されているわけでもなく(2話の文脈の中にノンバーバルに示されているのかもしれません)希望的観測にすぎませんが、かすみんは納得し、再び同好会をみんなで始めることを決意します。

第3話大好きを叫ぶ

「せつ菜さんの大好きは自分本位のわがままに過ぎませんでした」

優木せつ菜がスクールアイドル同好会を廃部にしたのはラブライブ!に勝ちたいという気持ちをメンバーに押し付けてメンバーを傷つけたと思ったからでした。しかし、メンバーはそんなことは思っていません(ガバ要約)。せつ菜を同好会に呼び戻したいと思ったメンバー達は、放課後、せつ菜を屋上に呼び出します。そこに待ち構えていたのはなぜか高咲侑。私がいたら(メンバーを傷つけるから)ラブライブ!に出られないというせつ菜に対して高咲侑は「だったらラブライブ!なんて出なくていい!」と言い放ちます。アイドルがいてファンがいればそれでいいんじゃない?と。そこでせつ菜は何か大切なことに気が付き同好会に戻ることを決めます。

第4話未知なるミチ

「彼方ちゃん壊れちゃうよ~!」

愛さんはとくに高咲侑は絡んでないので飛ばします。

門前仲町に愛さんの実家のモデルになったもんじゃ焼き屋さんがあるのでぜひ。

気になる方はアニメ見てください。

第5話今しかできないことを

「私、見てくれた人の心をぽかぽかにするアイドルになりたいって、でも、私は一番近くにいるかりんちゃんの心も温めてあげられてなかった。」「わたしもっとかりんちゃんに笑っていてほしい、もっともっとかりんちゃんのこと知りたい!」

エマと果林回。

ここも高咲侑は関係ないので飛ばします。

第6話笑顔のカタチ(⸝⸝>▿<⸝⸝)

「想いを伝えることって難しい」

ここも高咲侑はあんま関係ないので飛ばします。

まぁ、ちょっとだけアドバイス「今はできないことあってもいいんじゃない?」を出しますが、自分のアイディアで克服するので割愛。

第7話ハルカカナタ

近江姉妹の回です。

第8話しずく、モノクローム

しずくとかすみんの回です。

第9話仲間でライバル

スクフェスのモブにライブにでないか誘われた虹ヶ咲アイドル同好会。そこに出れるのは一人だけ、果林が出ることになります。ライブの雰囲気に圧倒されて怖気ずく果林。みんなに励まされて舞台に立ちます。ここも高咲侑関係ねぇな。

第10話夏、はじまる。

「みんな、すごいな、自分がやりたいことしっかり分かってて。私も何か」

学校で合宿します。

合宿中の夜、高咲侑とせつ菜ふたりにきりになったとき、せつ菜は3話の時の高咲侑の言葉があったから今スクールアイドルができている。ありがとう。と感謝を告げ、高咲侑の大好きが見つかったら応援すると告げます。

終盤突然のプール回。高咲侑は「今度の私たちのライブ、虹ケ咲だけじゃなくてもっと大きなライブにしたい」といいます。スクールアイドルもファンも学校も関係なくみんなが楽しめるライブがしたいと。歩夢を除き全員が賛成します。

第11話みんなの夢、私の夢

「だから、私だけの侑ちゃんでいて」

歩夢は高咲侑の提案に納得していませんでした。理由は、「侑ちゃんだけのスクールアイドル」でいたいからでした。おそらく、歩夢は高咲侑が好きだから高咲侑が好きなスクールアイドルを始めたのでしょう。そのことは1話で高咲侑の前で歌った曲「Dream with You」に端的に表現されていると思います。夢の正体は不明ですが、彼女の夢はYOU(侑)ありきなんですよね。

第12話花ひらく想い

「私ね、やりたいことが、夢ができたんだ」

侑の気持ちと歩夢の気持ちは平行線のまま交わることはありません。それもそのはず、歩夢が見てもらいたかったのは侑ちゃんだけでした、しかしスクールアイドルをやっているうちに、自分を好きでいてくれるファンも大切に感じるようになってきて、自分はどちらを大切にしたいのか分からなくなってきます。高咲侑が出した答えは変わらず。花を渡しその花の花言葉は「変わらぬ思い」ということを伝え、よう分からんけど、たぶんせつ菜との前後のやりとりがあったからでしょう。納得したようです。「前に進むって大切なことが増えていくってことなのかな」

第13話みんなの夢を叶える場所(スクールアイドルフェスティバル)

ついに開かれる、高咲侑が提案した学校の垣根を越えたスクールアイドル好きがみんなが楽しめる「スクールアイドルフェスティバル」。高咲侑以外の9人が最終話でみんなで歌った歌は「あなたのための歌」高咲侑への感謝の歌、そして高咲侑の音楽科への転科を応援するエールの歌でした。そして流れる映像はメンバーと高咲侑の2人でいる場面をメンバーそれぞれの分を流すというもの。


...閑話休題。話を戻します。さて、本題は高咲侑のどこにデウス・エクス・マキナを感じたのかです。まずですが、高咲侑がいなければ同好会は元に戻っていません。彼女のかすみんとせつ菜に対する神がかったアドバイスがあったからこそ今の同好会があります。物語を先に進めるための神がかったアドバイス...?

ーー劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥った時、絶対的な力を持つ存在()が現れ、混乱した状況に一石を投じて解決に導き、物語を収束させるーー

何となくデウスエクスマキナの匂いがしてきますね。

しかし、これ以降は高咲侑は大人しく、基本的に発生した問題とか葛藤とかは虹ヶ咲のメンバー内で解決していきます。しかし、10話から暗雲が立ち込めてきます。10話では上記の様にせつ菜が高咲侑に感謝の言葉を伝えます。この辺から、高咲侑は虹ヶ先の一員というよりは今風に言うとコンサルのような、エグゼクティブ・アドバイザーのような雰囲気が高咲侑に感じられるようになってきます。

さて、コンサルとしての頭角を露わにしてきた高咲侑は10話終盤で学校の垣根を越えたファンもみんなが楽しめるお祭り、通称スクールアイドルフェスティバル計画を立ち上げます。その提案をみんなが大絶賛する中、(果林「侑って本当にすごいことを考えるわね」(大絶賛))そこに待ったをかけ挑戦するのは上原歩夢でした。彼女は高咲侑はみんなの高咲侑ではなくて私だけの高咲侑であることを望みます。しかし、結局は彼女も心境の変化をコンサル高咲侑にぞっこんのせつ菜にうまく突かれ、高咲侑の送る花言葉にとどめを刺されます。そして上原歩夢の要求は一切通らないまま、歩夢もコンサル高咲に言いくるめられてしまいます。

そして高崎侑に逆らうものは誰もいなくなり彼女の天下が始まります。極めつけは最終話。なんと観客のみんなに向けて歌うステージの上で、9人が手を合わせて歌った曲は「あなたのための歌」高崎侑のための歌でした。ここでは存在しない記憶(メンバーそれぞれが高崎侑と2人で映っているカットが9人分)が映像として流されます。少なくとも4~9話にはそのような描写はなかったのに。なんと物語では述べられていなかったものの、誰もがコンサル高咲にお世話になっていたことが明らかになるのです。

先ほど、ラブライブ!はスクールアイドルの甲子園という表現をしました。虹の物語を甲子園に例えると、野球を見て感銘を受けた高咲侑が、解散しかけの野球部を「甲子園に出なくてもいい!」という一言で立て直し、神がかったマネージメントで野球部を強くし、野球部員から信頼を得た高咲侑は野球好きのための親善試合計画します。その野球部たちはその親善試合で神マネージャーである高咲侑にマウンドの中心で感謝を叫び物語は幕を閉じる。こんな感じに要約できると思います。(ちょっと雑ですが)さて、マネージャーへの感謝を試合中に叫ぶというのは、まぁ微笑ましいと思えるのですが、ひとつ都合が悪いことがあります。

虹ヶ咲というのはもともとスマホ向けリズムアクションRPGゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS」が初出で、それがアニメ化されたものが、虹のアニメです。そこでプレイヤーとしてでてくるのが通称「あなたちゃん」です。アイマスで言うプロデューサーみたいなものですね。あなたちゃんは虹ヶ咲のマネージャーとして虹ヶ咲の物語に深く関わってきます。さて、アニメ化に際してあなたちゃんはキャラクターデザインとともに名前が公募されました。それで決まった名前が「高咲侑」です。つまり高崎侑=プレイヤー自身なんですね。

(詳しくはhttps://dic.pixiv.net/a/%E9%AB%98%E5%92%B2%E4%BE%91#h4_1)

つまり、13話で送られた「あなたのための歌」はプレイヤー(画面の前にいる私たち)への歌でもあるんですよね。

何が都合が悪いの?って思った人もいることでしょう。都合が悪いのは高崎侑が物語の外側にルーツを持ってるという点なんですね。物語の外側とは紛れもなく私たちの世界のことです。第四の壁という言葉をご存知でしょうか、これは舞台と観客とを分け隔てる見えない壁のことです。

(詳しくはhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E5%9B%9B%E3%81%AE%E5%A3%81)

私たちはその壁を通して物語を俯瞰します。物語の中からは私たち=観客を知覚することはありません。逆に言えば、私たちが物語に干渉することもありません。しかし、私たちにルーツを持つ高崎侑はなんと物語に大きく干渉し大きく話を動かしていくんですよね。これで彼女が虹ヶ咲の一員としてみんなと共同して共に歩んでいけば良かったのですが、ラブライブ!を冠するアニメの内部で「ラブライブ!なんて出なくていい」という衝撃の一言で物語を根幹から揺り動かし、物語の中心に座し、最終的には自分のための歌を彼女らに歌わせてしまいました。人の手によって書かれた物語にとっての神はそれを自由に書き換えることができる現実の人間そのものです。序盤錯綜した虹ヶ咲の物語は現実の人間=神にルーツをもつ高崎侑に「ラブライブ!なんか出なくていい」という一言によって虹ヶ咲が抱えた問題を解決に導き、さらには物語そのものを彼女中心のものに書き換えてしましました。

ーー劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥った時、絶対的な力を持つ存在()が現れ、混乱した状況に一石を投じて解決に導き、物語を収束させるーー

これはもうデウス・エクス・マキナと表現するしかないでしょう。なんなら物語を書き換えてるのでデウス・エクス・マキナ以上かもしれません。

「ヒトリダケナンテエラベナイヨ~」という有名なセリフに象徴されるように、彼女は彼女らを選べる立場にあるんですよねぇ、ムカつきます神かお前は。虹ヶ咲はお前のものじゃないっつーの。お互いにインタラクティブに登場人物の人間関係が構成されているのではなく、車輪の中心の様に高咲侑がそこにドドン!と君臨してるんですよね。私が中心に世界は回っているぞと。2期でもそんな感じになるんですかね。たぶんみんなが高咲侑にぞっこんで高咲侑を頼りにするんでしょうね。そんなんコンサルに頼りきりのダメ企業ですやん。そうして虹ケ咲は高咲侑のための物語、そこまで言わなくとも、高咲侑を中心とした物語としての側面を孕むようになってしまいました。虹の主題は「あなたと叶える物語」。そういうオチになってしまうのは元から予定されていたんでしょうね。どちらかと言えば私が「これはラブライブ!じゃない!」つってる老害サイドでコンテンツにとっては有害なのかもしれません。


終わりに

この記事を書くために虹のアニメの要所要所を一応見直しました。改めてみると、別にそこまで虹のアニメ嫌いじゃないなって思いました。割と書きながら気持ちが変わっていくのを感じました。やっぱリアルタイムから時間をおいてみると違うものが見えてきますね。高咲侑が嫌いでしょうがなかったのですが、ここまでの話を纏めると、高咲侑はデウスエクスマキナとして使い捨てられた被害者なのではないかと思うようになってきました。高咲侑がデウスエクスマキナだったのは割と最後だけで、途中までは割と虹の一員、普通の女の子だったのではないでしょうか。嫌いな物が多いより好きな物が多い方が良いに決まっているので、時間をかけてこの記事を書いたのは私にとって有意義だったかもしれません。りなりーやっぱかわいいですね。天使天才天王寺!要所要所しか見ておらず、私も神ではないので物語の一言一句を覚えて全てを有機的に繋げて解釈したわけでもないし、できるわけでもありません。もちろん印象に残っているところを過分に切り取っているでしょうし、誇張していることでしょう。国の数だけ歴史があるように、星の数だけオタクの解釈があります。このような自覚があるからこそ、私はあなたの解釈を尊重したいし、私の解釈もあなたに尊重して頂きたいと思います。もっと書きなぐることはあるような気はするのですが、話のまとまり的にもここで筆をおこうと思います。ここまでつまらんとんでも解釈記事を読んでくれた人、ありがとうございました。さて、次回は「いたるの絵が苦手なのでKeyが無理」です。書きません。ありがとうございました。





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