no title
オーガポンと旅をするようになってからしばらくの月日が経った
キタカミでの偶然の出会いから始まった僕とオーガポンの旅
驚くほど、僕とオーガポンは息がぴったりだった
かわいい顔とは裏腹に、バトルは滅法強いオーガポン
一緒に冒険していると、僕ひとりではできないようなたくさんの巡り合わせがある
オーガポンがいれば、僕の宝探しは永遠に続くような気がして、胸が高鳴る
オーガポンも、僕と一緒に冒険するのが楽しいみたいだ
いつのまにか、オーガポンと僕は立派なパートナーだ
------パートナーって言葉、非常に曲者だな
------僕とオーガポンの関係は、それだけなのだろうか?
伝承から察するに、オーガポンには過去に連れ添っていた男がいたようだ
彼もパートナーだったのだろう
------どんなパートナーだったのだろう
これは嫉妬心ではなく、ただの好奇心、だと思う
オーガポンが、過去に人間とどこまでの関係を築くことができたのか
キタカミの近くのシンオウでは、人とポケモンが結婚していた、なんて伝承もあるらしい
------もしかして、オーガポンも?
そういえば、オーガポンの仮面の名前は、かまど、いど、いしずえ
家にゆかりのある名前がつけられていた
仮面を贈った職人が、オーガポンと男の生活を、ひっそりと祝福した
なんて逸話があれば、納得してしまうような名前だ
僕はそのことを考えると、どこか得体の知れない気持ちが芽生える
オーガポンを"そういうもの"として考えていいんだ、という、新しい発見のような気持ち
現代では実際に見たことはないし、そんなことは誰も思いもしない
っていう素振りで、みんな生活している
犯罪でもないし、誰も否定はしない
僕は今、そういう選択肢もある、ということを理解した段階にいる
いや、"そういうもの"に、興味がないと言われたら嘘になる
時々、自分の気持ちがよくわからなくなって、悶々と眠れなくなる------
オーガポンは相棒になってからすぐ、ボールの中ではなく、僕と一緒に寝たいと訴えかけてきた
僕にとって、ポケモンと一緒に眠ることに抵抗はない
家ではお腹のところにいつのまにか、ママのホシガリスが忍びこんで、
一緒にあったかく寝ていることもある
"いつものこと"として、オーガポンの訴えかけを受け入れ、
僕は、学園の寮で、オーガポンの芳しいオレンジの香りに包まれて眠るようになった------
今日もオーガポンの芳しいオレンジの香りに包まれて僕は眠りにつく
今夜はなぜだか、悶々として、眠れない
思わず、その愛らしい角に手が伸びる-------