透明人間 第13話(手紙の内容)

透明人間 第13話(手紙の内容)

TODA RABA

こんばんは。 

もしも世界に出口があったら。 

誰もが一度は考えることではないでしょうか。 

世界が始めから透明だったら、悩むことも考えることもなく 

出口から出ようとすることもなく、そして 

透明になりたいと思うこともないのではないでしょうか。 

透明とは状態であり、選択肢であり、そして 

目的や目標といった、主体と客体の分離を前提とした次元とは異なるもので す。 

この世界における透明が、常識と一致しないのは当然だと思います。 

システムによって利益を搾取る人達はいつでも 

システムを破壊する存在に、恐怖を抱くものです。 

透明の概念は、これまでの常識や価値観を根本から覆すものです。 

選択するかどうかは個々人の自由意志。つまり 

望む人には今までの世界が続くこと。 

透明を選択することはこれまでの世界にさよならを告げること。 

覚悟はできていますか? 

通信手段が途絶えた時、頼りになるのは電子機器ではなく 

肉体を持った自分自身と、目の前にいる生身の人間です。 

ゴールとスタート。時間軸の分離。 

誕生と死。自我と全体性。 

あらゆる空間、あらゆる周波数で、世界は点滅しています。 

常軌を逸すること。それが日常から見た透明への出口です。 

二度と戻ってこられない幻の部屋。入口はいつも、そばにあります。 

最後まで駆け抜けてください。 

息を止めて走ってください。 

呼吸と鼓動が続いているうちは、せめて 

何も見えない霧の中を進んでいくしか方法はありません。 

私は消滅します。存在しない人間です。 

それでは、いつかまた別の世界でまたあなたに会えるのを楽しみに待って 

さようなら。


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